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『女神から授かった権能“模倣”で悪魔ダンジョンを生き抜く』  作者: 近藤セカイ
『パーティ結成編』

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3/6

『第2話 パーティーを組め』

第2話の前編です。

買い物シーンはどんな物語でもいいですよね。

僕的にはマルコがお気に入りです。

書いててセリフを考えるのが、楽だからおっさんが好き。

「――お前らでパーティーを組め」


「はっ?どういうことよ。」


 ユウリが勝手勝手な提案に反発する。


「あのなぁ、もとはといえばユウリ。お前がパーティーを誰とも組まないからだぞ」


「ぐぬっ、」


「俺はギルドに来た最初の日に言ったよな。冒険者になるのはティーチに黙っててやるが、なるならさっさと仕事をしろってな。」


「ぐぬぬぬっ……」


「なのに、お前は誰ともパーティーを組まずに仕事もせずにギルドに入り浸り、夕方になれば宿に帰る毎日。まるでニートだ。」


「、でも!」


「そうだな。周りがパーティーを組みたがらないのもあるだろうな。特に7貴族のご令嬢なんて怪我でもさせたら大変だ。しかも、それが天下のパウンド家だからな。余計にだ。」


 なるほど。何で、俺がここに呼ばれたのか何となくだが分かった気がする。


「それで俺とユウリがパーティーを組めばいいってことですよね。」


「ああ、そうだ。話が早くて助かる。」


「え?は?何でマコトが出てくるのよ?」


 マルコは深くため息をつき、理由を説明した。


「あのなぁ、マコトは他所から来たんだろ?だから、ここの常識をあまり知らない。だから、7貴族と言われてあまり萎縮していなかったろ。今、7貴族である俺やユウリと普通に話しているのが何よりの証拠だ。それに昨日、路地裏で仲良く話していたのは上から見えてたぞ。それが決め手だ。」


 あのとき、ギルドの方から見られていた視線の正体はマルコさんだったか。ユウリの方を見るともう納得するしかないという顔だった。


「分かったわ……。マコト。あなたさえよければ私とパーティーを組まない?」


「ああ、もちろん。こちらこそ喜んでだ。」


「ふふ、何も知らないあなたを私が導いてあげるわ!」


「なあ、大変言いにくいんだが、まだマコトとはパーティーを組めないぞ。」


「は?なんで!」


「マコトは冒険者登録を終えてないからな。途中で抜けてきたろ。」


 そういえばそうだったな。てっきり、冒険者登録は終わっていたと思った。


「それを先に言いなさいよ!私が大空振りしたみたいじゃない」


「まあ。正式なパーティー登録はマコトの冒険者登録が終わってからだ。それまでは下で待っていればいい。じゃあ、出ていっていいぞ。」


「ありがとうございます。マルコさん。おかげで助かりました。」


「いいんだよ。こっちもいろいろと助かるからな。また後でな。」


 そう言って、俺たちはギルド長室を後にした。先に冒険者登録を済ませてしまおう。


「お疲れさまです。マコト様。これで冒険者登録の方は完了です。次にパーティー登録の件についてですね。ギルドでは冒険者は2人以上の集団。つまりはパーティーを組むことを義務付けています。それを結成できればこちらから任務を斡旋したりできるのです。マコト様はユウリ様とパーティーを組まれるのですよね。パーティーリーダーはどちらがされるのですか。」


「あ〜、少しだけ話してくるんで待ってもらっていいですか?」


「大丈夫ですよ。パーティーリーダーは結構大事な役割ですからね。その選択は間違ってません。」


 リーダーか。俺はこの世界のことを知らないし、できればユウリにやってもらいたいんだが。やってくれるだろうか。


「ユウリ。冒険者登録が終わってパーティー登録をするんだが、来てくれないか?」


「いいわよ。何をすればいいの?サイン?」


 そう言うと、我先にパーティーカウンターの方へとつかつかと歩き始めた。


「それもだが、パーティーリーダーを決めなくてはならないらしい」


 俺の言葉を聞き、ピタッと足が止まる。そしてよく考えながら言った。


「……パーティーリーダーね。……マコトがやってくれないかしら?」


「何で、俺が?ユウリの方が適任じゃないか?」


「……パーティーリーダーはパーティーの顔なの。つまりはパーティーが有名なれば自動的にリーダーにも注目が集まるの。私は諸事情であまり注目されたくないのよ。」


 俺は名前が売れても問題ないしな。ユウリは7貴族だし、何かしらの言えない事情もあるのだろう。


「そうか。分かった。そういう理由があるのなら俺に任せてくれ。俺がリーダーで話を進めていいな。」


「ありがとう。構わないわ。」


 そのまま二人でカウンターまでいき手続きを進める。


「はい!完璧ですね。これが通ればパーティー登録が受理されて、パーティーとして活動ができます。お疲れさまでした。それで初任務の話なんですけど。」


 もう初任務なのか。早いな。ユウリがいるからか。


「なんでしょうか。俺たちが受けていい任務なんですか?」


「それについては俺から説明しよう。」


 後ろから声が聞こえ振り向くとマルコさんがいた。


「あっ!ギルド長!また仕事を抜け出して!」


「げっ、すぐ戻るからさ〜。お願い。これは俺からの依頼だし説明させてくれよ。」


「はぁ、今回だけですよ。」


 何となくだが、ギルド長としてのマルコさんの扱いが理解できた。


「ほんと!ありがとう。おっほん……。お前たち二人にはこの書簡を届けてほしい。俺からある人物への手紙だ。それを無事に届けるのがお前たちの今回の任務だ。場所はアーム領で相手は俺と同じ領主のダンカンさんだ。」


「ええ〜……。アーム領でダンカン……。私は嫌なんだけど。」


「何があるのか?」


「いや、何かあるわけではないんだけど……そこの領主のダンカンがね……。苦手なのよ……。」


「ダンカンさんが苦手か?珍しいヤツめ。んで、この任務はDランクの昇格も入っている。それで書簡は後日、出立日に渡すからそれまではゆっくりしていてくれ。移動手段についてもこちらが準備しておくから考えなくていい。お前らは自衛とかができる装備でもまとめとけ。」


 するとマルコさんはこちらに袋を投げてきた。それは妙にずっしりとしていた。


「これは何ですか?」


「装備にでも使いな。ユウリのことやスティンガーのことで手間を掛けたな。その御駄賃だ。遠くから来て金がないんだろ?」


「ありがとうございます。助かります。」


「いいってことよ。じゃあ、マコト。ユウリのことを頼んだぞ。」


「はい。任せてください。」


「ちょっと、何で私が介護されるみたいなのよ。おかしいじゃない?普通はマコトでしょ!」


 ギルド内で大きな笑いが起きた。

その後、装備を整えるために武器商のところで買い物をした。


「マコトは何を使うの?ハンマー?パイルバンカー?それともモーニングスター?」


「何でそんな扱いにくそうな武器ばっか進めるんだよ。俺は普通の武器でいいよ。普通で。」


 そう言いながら武器を眺めているが、正直言ってどれにしようか迷う。どれも扱ったことがあるから得意っていうほどのものがない。


「ユウリは何を使っているんだ?」


「私?私はこれよ。レイピア。これで蝶のように舞って、蜂のように刺すの。」


 そう言って、レイピアをシュッシュと刺すふりをしている所を店主に見られて怒られていた。そんなこんなで武器を選ぶ作業は続いていった。


「これはどうかしら?」


 そう言ってユウリが勧めてきたのは日本刀だった。あるんだ日本刀。


「東洋の武器らしいんだけど。昨日もスティンガーを倒したときに剣みたいな感じに振ってたじゃない?だから丁度いいかなって。」


 受け取るとずっしりとした重量感があるが自然と手に馴染む。まるで今まで愛用してきたようだ。


「いいな。これ、気に入ったよ。ありがとうユウリ。」


 そうやって褒めると、すごく喜ぶのがこいつだ。出会ったのは昨日だが既に扱い方が分かってきたような気もする。


「大将。これで、」


「おお。いい商品モノを選ぶな兄ちゃん。これは昔ある鍛冶師が来た時に置いていったものだ。いい武器なんだが形が不思議だろ?誰も使わないんだ。」


「確かに、不思議な形ですよね。それでもすごくいい武器だってことは分かりました。」


「見る目があるな。そういう奴は好きだ。だが、安くするわけにはいかねえからな。しっかり3100リデフィーを払いな。」


 俺はマルコさんから貰った袋からお金を取り出す。全て使ったがまだ余裕がある。どんなけ入れているんだあの人は。その後、薬屋、鎧屋、服屋、食料に行った。魔法屋は素通りし、そのまま籠屋に向かう。


「マルコから話は聞いてる。荷物はそれか?積んでおくから置いときな。」


「ありがとうございます。当日もこの馬車で行くんですか?」


「そうだぜ。今のアーム領は少しだけ行きにくいがまあ、郵送の任務だから難しくはないだろ。じゃあ当日な。」


 そう言って俺たちは籠屋を後にした。当日の準備は十分なほどにできたようだ。ユウリもようやく冒険者らしいことができて満足そうだ。


「私ね。小さい頃から家で押しこめられて生きてきたの。それはもう花よ蝶よとね。でも、そんな生活は苦しいじゃない。人間、誰しもこうやって自由に生きてこそ意味があると思うのよ。だからね私は家を出たの。だけど、家を出てもギルドに引きこもる生活を続けて、ずっとこうかなって思ってんだけど……。あなたが来てくれた。私はとってもあなたに感謝してるの。」


 ユウリは夕日をバックに思いを打ち明けてくれた。そんな経験があったのか。つくづく、俺はこの世界を知らないな。


「俺も感謝をすることがある。あの日、権能がないと言われた時にユウリが連れ出してくれなければ俺はもっと周りから白い目で見られていただろう。お金を貸してくれなければ俺は路頭に迷っていたし、もしかしたら野垂れ死んでいただろう。最初に出会ったのがユウリで良かったよ。」


 感謝の旨を伝えると、くねくねしながら喜びを消化しているようだ。ユウリは可愛いよりも先に面白いが来るので困る。


――そして翌日。出立の日になり、マルコさんが見送りにやってきた。


「おう、お前ら。いい顔してんじゃねえか。なあに難しい任務じゃねえから気楽にやってこい。ダンカンさんにもよろしくな。」


「分かったわ。マコトのことは任せなさい!」


 ユウリは自信満々に答えた。


「マコト。ユウリのことを頼んだぞ。こいつはどこが危なかっしいからな。」


「なんでよ!私がこど――」


「だって、マコトがパーティーリーダーじゃねえか。メンバーに心配されるのがリーダーか?」


 核心を突かれた言葉にまたもやユウリは言い返せなくなっている。


「行ってきます。マルコさん。ユウリのことは任せてください。」


「おう、気軽にな。」


 その日、俺たちはこの広い街から世界へと飛び出した。

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