表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神から授かった権能“模倣”で悪魔ダンジョンを生き抜く  作者: 近藤セカイ
第1部 第2章『エピタフ編――歌わない歌姫――』
PR
24/46

第22話『さい ぜ、んのて』

第22話です。


これからは2日に1回で、00:10に投稿する予定です。

 マコトは水面に対して、刀を向けた。


「出てこい!! この全ての現象の根源!!」


「何が出るか、分からん…気をつけろ…」


 深い場所から気泡がボコボコと溢れ出てきた。海面がせり上がり、何かが浮上してくる気配を感じる。


 ここ、で いちばん、つよい やつ、からだ、とれば かてる。  


 それでも、 よわいやつにまけた、 くだもとら れた。


 だか ら、でて、ぜんぶ、う ばう。


 接近してくる影は、マコトたちが船上で見たであろうあの黒い影に似ていた。

 その容姿はある生物に酷似していた。この世界の…忌み嫌われし生物に――


「あ、…悪魔ぁ! 悪魔だぁ!!」

「こっ…殺されるっ!! 逃げろぉ!!」


 市民やハウルとマコトを取り囲んでいた者たちは散り散りになって逃げていく。

 それがマコトにこの世界にとっての悪魔の恐ろしさを再認識させる。


 パニックになっている群衆の中で、冷静でいたのはマコトとハウルの2人だけであり、ポツンと港に悪魔の3つの影が立っている。


「…すまないな、若いのは悪魔を知らぬ」


 ハウルは逃げ惑う民衆を横目に呟く。


「――だからこそ、我らのような強い力が必要なのだ…協力してくれるか?」


 ハウルの静かな問いにマコトは冷静に答えた。


「はい。」


 マコトは短く頷いた。


「…ただ、戦う前に一つ聞かせてください。」

「なんだ?」

「ハウルさんの“権能”って、何ですか?」


 ハウルはマコトの突然の質問に、悪魔を眼前にしているのに考え込んだ。


「私の“権能”は“刹那化(せつなか)”だ、――思考と身体機能を1秒を60の刹那に分割し行動する“権能”だ」


 ハウルは剣を抜き、空を切った。


 すると、悪魔の管のようなものが切れているではないか。

 ぽとり、悪魔の操る管の、一本が落ちてくる。


「このように、咄嗟の判断で相手を斬ることができる、師事を受けたいのならば辞めておいたほうがいい」


 また、剣を振るえば、――ぽとり、管が剪定される茎のように、落ちてくる。


「私の“権能”があってこその剣だ。他に特別なことは何もしていない」


 ハウルさんの剣は“刹那化”の“権能”。

 それだけじゃないことは俺にもわかる。“刹那化”だけではこうはならない。

 剣を振る速度、型、呼吸、目線、見えない些細な動き、それらを無意識でしている。

 すべてが完成されている剣だということを。

 俺には足りていない剣術である。


「…この場でやるのは大変、危険なことは重々承知しているんですけど…真似していいですか?」


「真似!? 今か」

「今です」

「…話は聞いていたか」

「はい、一から十まで全て」

「……そうか、…やってみるがいい」

「本当ですか」

「見ててやる」


 悪魔は自身の不可視に見える管が斬られたことを飲み込めていないようだ。

 俺はハウルさんの肩に触れて、万が一に備えて、声に出す。


「…権能解放 “模倣”!! 対象 ハウル・エピタフ “刹那化”!!」


 ――その刹那、


 いや、今は刹那ではない、明確に見えている景色が変わった。

 音や景色、陽光、風のざわめき、すべてが感じれるほどに遅くなっている

 考えていることが、意識だけが先行して動いているようだ。

 目を凝らさなければ見えない管も、この世界ならば時間をかけて見ることができる。

 不自然な動きをする管も、この“権能”ならば、見れる、見て動ける、見て――


 管に刀の刃が入っていく、斬り始めから――斬り終わりまでを見ることだってできた。

 しかし――


 この速度、俺は次の動きを探してしまう。刀を振るだけなのに、思考は増幅する。

 管に刀の刃が入っていく。

 斬れる。

 そう理解した瞬間、俺は次の行動を考えていた。


 斬った後はどうする。


 右の管か。


 左の管か。


 前に出るか。


 下がるか。

 ――気づけば、刀を振る手が止まっていた。  


「けぇ ん をぉ ふ るぅ、とぉきぃい――」


 当然、音も、それに準ずる身体感覚も鈍化する。

 マコトの“刹那化”は精々、身体機能の加速による世界の遅延に過ぎない。


 マコトは“刹那化”を解除した。


 その瞬間、音の同期、世界との統合、加速ともとれる感覚を感じる。

 緩く当たる風が速いものに変化した。


「――きに、お前は一度固まる癖がある。次の動きを探すようにだ、それは誰を師事しての動きだ?」


「師事? …剣道…フェンシング…空手…薙刀…野球…沢山です…」

「……それが何か分からないが、多様な技を重ねているようだな」


 ハウルは暫しの間、思考の時間に入った。“刹那化”での思考の中では、悪魔の攻撃も容易く防ぐことができていた。


「――お前は、その経験をまとめることができていなのではないか?」


 ハウルはマコトを諭しながらも、管を次々ときり落とす。


「察するに、お前の“権能”は“模倣(コピー)”や“同調(シンクロ)”のようなものだろう。この悪魔なら、死ぬことはない。…」


 管を弾き、斬る、言葉通り片手間だ。


「…音の捉え方は、引き伸ばす感覚だ。…もう一度、――“刹那化”をしてみろ。動きを教えてやる。――構えろ!!」


 構え、剣道の構えを取る。

 剣先を向け、そして相手を捉える。


「おとぉをぉ、ひぃ――」


 音を引き伸ばす感覚だ。、感覚が伸びていく――


「き伸ばす―音を引き伸ばす、聞こえるか?」

「はい、聞こえています!!」


「第一段階はこれでいい。第二段階、これで最後だ。“一を究めろ”」


「“(いち)”を究めれば、十を極めることができる。百を知れど、“(いち)を究めた”者には勝てない、“百の型を知る者”よりも、“一の型を百万回振るった者”の方が経験則で強い」 


「というと――」


「――お前は見すぎている。“(いち)”、つまりは“剣を振るう”それだけに集中しろ」  


 集中、集中、模索するな。

 俺は“斬る”、“斬る”、“斬る”機械(マシーン)だ!!

 斬る、

 何があっても斬る。

 斬る――


 こっちに来てから、今まで振るった中で最も不格好で、最も力が籠もっていない刀だった。


 しかし、俺の刀で斬ったという感触は、この“刹那”の時間の間に体感することができた。


「良い、それがお前の“型”の“(はじめ)”だ。そこから模索していけ“最善の手”を――」


「はい。」


 マコトは短く答えた。今は自分の感覚をもう一度、味わいたい。


 ぼ、 くは、ご、 うだ…


 音だ、耳を研ぎ澄ませていたので、“刹那”の間にもその声は捉えることができた。


「ぼ、 くは、ご、うだ、あ、 くま、だ、」


 喋るのか!? 悪魔が?――


 マコトはハウルの方を見たが、同様に驚きを隠せていないようだ。


「いた、 いな、 おま、え つよ い、だ、  か ら 、にげる」


 ――速い――


 “刹那化”は思考と身体機能の加速、足が速くなったり、動きが速くなるわけではない。

 動きのロスをなくせるだけであって、身体的な速度差を補えるものではない。


 それが逃げている相手だと、顕著である。


「ハウルさん!! ヤツが町中に逃げるぞ」


 悪魔は速度を維持しながら、振り向き、そして笑いながら答える。

 見えない管をワイヤーのように巻き付けて、加速する。


「、にげ、る? きょ、り をとっ、て いるだ け、だ」


 悪魔は…いや、ごう、だは考えていたのだ。

 どうすれば、この街を乗っ取ることができるのかを海中でずっとだ。

 人を見て、人を借りて、生き物を借りて、そして、分かった。


 人には2種類の区別がつく。


 一つは、従う人間。


 もう一つは()()()()()だ。


 この街には、従える人間が2人いることを知っている。


 一人はさっき、挿した人間だ。


 もう一人は、女、居場所はしれている。


 ここ、にいる、おんな させ、ば だれも おそえ、ない


 ごう、だの視線の先には、領主邸があった。窓から見えるのは、黒い長髪の女性。


 こい、つが むれ、の おさ


 ごう、だは考えたのだ――


 りょ、う しゅ を、させ


 ――()()() ()()()()() ()()()()()()――だと

脳って凄いですねよ。

勝手に脳内で文字を変換・補完してくれるんですよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ