第19話②『開戦』
第20話です。
長髪ロリっていいですよね。
ロンドの街を鉄の箱が闊歩している。
その噂は人々の注目を集めた。
湾岸整備隊の面々がその鉄の箱を縄で引きながら、ロンドの道をゆっくりと牛歩のような歩みで運んでいた。
「こっちだニャー!! この街道を真っ直ぐ進めニャー!!」
「それぶつけないでよね〜。それ1台で、2100万デフィーもするんだから〜。」
「ッ――! お前らマジでぶつけんニャよ!!」
ロンドの港への街道を進むのは、竜槍という2機の兵器である。
ロンドの家屋よりも高い、鉄の槍は竜を思わす、装飾がされており、ロックされている槍は万物を貫けそうだ。
その鉄の槍が2台も並んで、街を山車のように練り歩いている。
「コマちゃ――違った。副代表、材料費は100万デフィー程度じゃ……それに、それって開発費なんじゃ……」
「いいの、いいの。運搬で一つ、壊れちゃったから、これぐらい言っとかないと損だよ。それに、研究所も貧乏だしさ〜。」
「所定の位置に置いたニャら、後は俺がやるニャ! お前たちは他の指示を仰ぐニャ」
「はい!」
「うす!」
モウトウの命令を聞いて作業をしていたのは、40名の少数精鋭で構成された沿岸整備隊であり、今作戦の貴重な人員たちである。
そして、作業を一人で引き受けたモウトウは完成図面を手に取り、目の前の光景と見合わせる。
大掛かりな作業となることが安易に予想でき、後ろには建材がすでに運ばれていた。
「さてと、“建築”の時間だニャ!!」
手を地面に付いて、図面を下に敷きながら唱えた。
「権能解放“構築図面”!!」
すると、図面が塵になったと思いきや、巨大な図面が港を背に浮かび上がった。
図面の枠線は光となり、空に絵を描くような光景が広がる。
そして、建材がひとりでにそこにハマっていった。
竜槍もそのなかに組み込まれていき、建材に取り囲まれる。
まるで、腕利きの職人が数人いるかのように、建材たちは運ばれ、図面に描かれていたような台座が完成した。
「よっしゃー! できたニャ! いつ見ても惚れ惚れするニャ!」
その様子を遠目で見ていたのは、船上にいるマコト一行であった。
「なぁ、今の見たか? どうやったんだろうな?」
「何かの権能じゃないですかね? 勝手に台座ができたようにも見えましたし」
「あんたたち! 仕事しなさいよ!! そのせいで私が連れ戻しに来ないといけないじゃない!」
ユウリがよそ見をしているゲンマとマコトを叱りに来た。
「そんなこと言って、あっちでやる作業が複雑すぎて逃げてきたんじゃないのか?」
「んなっ! そんなことは……ちょっとだけあるけど……」
「だろ? じゃあ、俺らと一緒だ。俺は裁縫が苦手だ。ゲンマは?」
「ふふっ…そして、僕は何をするかを理解すらしてません。」
「訂正、こいつは論外だ。一緒にしないでほしい。てか、あの作業は俺らには出来ないだろ。なら、たまにしか乗れない大型船を楽しもうぜ」
「……それもそうね。乗ったわ!船だけに」
「――」
「何か言いなさいよ!!」
ユウリの大声が戦場で響く中、黙々と作業をしていたのはこの船の船長のダイオウである。
「あの、お嬢ちゃんも消えたな。ミイラ取りがミイラになるだな。」
「ミイラ取りがミイラになる? 何それ〜。不思議な言葉。」
団子状の髪を解き、自身の髪を抜いて、それを網に縫い込んでいる。
「オレ様の国のことわざってやつだ。教訓っていうか、あるあるというか。そういうのをまとめたやつだ。」
「へぇ~、そうなんだ~。」
コマ・フントリの権能“絶毛”は常時発動するタイプの権能である。
その効果は自身の毛髪に対して、不壊と不切を常時与えているのである。
そのため、彼女は生まれてこの方、髪を切ったことがないのである。
「さっきからよ。ブチブチ抜いているが痛くねえのか?それ。」
「ん? 痛くないよ〜。そういう改造を頭皮に施したからね〜。便利なら何でも使うが研究所のモットーだしね〜。」
「ふ~ん。まぁ、俺ら的にも壊れない網をくれるってなると約得だし、気にしねえわ。」
黙々と作業を進める中で、他の船でもコマの髪の毛を網に縫い込んで、決して破れることのない網を4つ作っていた。
そして、夕刻頃には、黒い刺繍の入った大網が4つ看板のうえに広げられていた。
そして各々の準備が終わり、時は流れ――
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
翌日――
ミヤビ・エピタフが港で演説を行っていた。
その場には、ロンド市民会計64名。湾岸整備隊計40名。ダイオウ大船団計210名。ダイオウ大船団の保有する大型船が4隻が港につけられていた。
「――この場にいる強靭な者たち。家族や街を守りたくて集まった勇敢な者たち。賢明な調査によって脅威を突き止めた者たち。この街を守るために力を貸してくれる者たち。
そして、この街を愛している者たち。集まってもらってありがとう。まずは、礼を言わせてもらうわ。
――この街は幾度もの水害、災害を乗り越えてきたわ。私たちは商業の民でありながら海の民なの。
故にこの戦いは決して負けることはない。何故ならあなたたちにはこの私、“エピタフ家領主”“海の民”のミヤビ・エピタフがついてるもの!
皆んな! この戦い、誰も死なずに絶対に完全に勝つわよ!!」
「うおおおおぉおぉお」
「やってやるぜ!!」
「勝つぞ!お前ら!!」
雄叫びと共に、このクラーケンとの戦の火蓋を切る。
俺たちは船に乗り込み、合図を待った。
「よしっ! お前ら! 陸上と全体のリーダーはミヤビさんかもしれないけどな! 海ではオレ様がリーダーだ! わかったな! ――よっしゃ!! 第2艦、第3艦、第4艦はオレ様の船に続きな!!――そして、早速お前らに仕事だ! “マーキン”とやを使いやがれ!!」
「了解、――愛しき姫よ、その護り手よ。その手綱を戻し、赤き糸を結べ!――“マーキン”――」
「よしっ! 出港だ!!」
ダイオウの声が地平線の彼方まで響く。“マーキン”の赤い線が海上の地平線の遠くまで伸びていく、「次はここですわ!」とハーレーが言えば、取舵、面舵、を回し、クラーケンの方へと舵を取るのだ。
そして、この大海原の何処かにいるクラーケンとの戦がついに始まったのだ。
リアル現場猫ノシ(๑•̀ㅂ•́)و✧




