第11話『ロンド調査隊』
11話です。
長崎を想像して書いてました。
「着いたわよ! 港町ロンド!」
「ここがエピタフ領と海ですか! 何度か行こうと思ってましたが綺麗なところですね!!」
「あっ! 焼きそばあるわよ! 海鮮の! 食べましょう!」
「いいですね! 4つ買いましょう!」
ユウリは我先にと馬車から飛び出し、焼きそばを買いに行った。ゲンマも初めて見る港町に夢中になっている。
それにしても人の数もそうだが船も数も凄いな。様々な人がいるが同じ国から来たとは思えないな。
俺の感性で言えば洋風、和風、洋風、英国風なんでも来いといった感じだ。当に交易都市といったところだな。
「騒々しいお仲間ちゃんだね。リーダーさん。いや~昨日はごめんね。俺ちゃんも少しだけ調子に乗っちゃってた」
「いいですよ。全然気にしていないので。期待してますよレイチェルさん。あなたにここの命運がかかっているので」
「そんなに言うなって〜。俺ちゃんが優秀なことは誰もが知ってるし、サクッと解決しちゃうか!行くよ〜! 皆の衆!――」
「待ってください。まずは依頼主のミヤビ・エピタフさんのところに行かなといけません。いくぞ!ユウリ、ゲンマ!」
「は~い! 今行きます! ――行きますよ! ユウリさん!」
「待ちなさいよ! 今、焼きそば受け取るから! おじちゃんこれお金ね!」
「依頼主のミヤビさんはこの時間なら交易館にいることはリサーチ済みだ。だから、今のうちに行って内容を把握しとかないと」
「ふぁふほどね……。」
「ふぁしふぉいでふね。」
「お前らな……。ご飯を食べるのはいいが……、せめて口のなかのものをなくしてから喋れよな!」
「……ふぁい、……マコトの分と……これは一応、レイチェルのね。」
ユウリは焼きそばの容器をこちらに渡してきた。湯気が立っていて熱そうだ。ソースのいい香りと大きな海鮮が目を引く。
「……いただきます。……これ!? うまいな! ソースの酸味が絶妙な塩梅だ。海鮮のうま味が引き立っている!」
「食レポ上手ね。私ならうまい! 美味しい! 、で終わりよ。」
「俺ちゃんならもっと上品に――ちょっと聞いてよ!」
俺たちは焼きそばを食べて、交易館へと向かった。
「お待ちしておりました。ギルドから来られたレイチェル・クロン様とその護衛の皆さんですね。あちらの応対室でミヤビ様がお待ちになられています。どうぞよろしくお願いします。」
「任せちゃって! 俺ちゃん達にかかればこの異変も解決しちゃうから!」
「ありがとございます。いこうか。俺が挨拶するからレイチェルさんは待機で。」
「何で?」
レイチェルの疑問を無視してそのまま扉をノックする。
「失礼します。ギルドから来ました。マコト・アラキです。」
「あ!、どうぞ入ってください。」
扉を開けると長髪できれいな黒髪の女性が座って待っていた。服装はノースリーブでどちらかと言うとチャイナ風の衣装なのか?たしかチーパオとかいう。そんな感じだ。絶対的な歌姫と噂されるほどの美貌の持ち主とはまさにこのことだというのが納得できるほどだった。
「座ってください。えーと、どなたが専門家のソーシャル・フアンさん?
ご挨拶をしたいのだけど、」
「ふふ……地質学者のソーシャル・フアンだ。よろしく頼むよ。」
「この方はレイチェル・クロンさんです。俺たちはその護衛の俺がマコト、そっちの焼きそばの容器を持っているのがユウリ、同じく焼きそばの容器のゲンマです。」
「僕が焼きそばの容器みたいじゃないですか!」
「あ、ごめんなさい。私また人の名前を間違えちゃった?」
「いいんですよ。あなたの声で呼んでいただけただけで俺ちゃんは嬉しいのですから!」
本当に調子のいいやつだな。この2人に話させていると話が進まなそうだ。
「それで俺たちギルドが派遣された理由の詳細は何なんですか?」
「それは、1週間前ぐらいですかね。私たちは普通に暮ら――」
その時、周りの地面が横に揺れた。カタカタと周りの小物が鳴り、ソファーに腕だけを置いていたゲンマが倒れた。
体感だと震度は3か4ぐらいか。ちょっと強い揺れだがこれが続いているのか?
「これは……地震ですか……それもかなり大きい」
「そのようだね。内陸型の直下型の地震か、海洋側の海溝型地震か調べる必要がありそうだね。恐らくですが地形的には海溝型地震なのですが、稀に内陸型地震もあるから早計になってはダメだ。」
「おお……」
「へぇ~やるじゃない!?」
「どういうことですか?」
「凄いですね?」
「俺ちゃんの凄さに気づいちゃった? そうなんですよ。俺ちゃんはれっきとしたギルドの地質学者ですから。」
多分だけど反応的に俺以外は理解できてなさそうだが、レイチェルの知識や実力は本物そうだな。
「これが複数回、それも何回もですか?」
「ええ、そうなんです。防波壁のおかげで波がこっちに来るのは抑えられているのですが、それでも貿易船は揺れて、市場や観光客の方にも被害が出ているため早急な解決が嬉しいのです。」
「小さな余震もありか……。いずれ大きな本震や余震が来るかもしれない。それまでにこちらで大まかな対策を取りましょう。」
「本当ですか!? 助かります。機材の運搬などは明日には終わりますのでその際の指示の方はお願いしますね。私はこのあとも執務があるのですみませんがお先に」
ミヤビさんはその後、執務室に閉じこもるように帰っていった。
俺たちはレイチェルに連れられて海岸線の調査に来た。
「それではまずは味見といこうか」
レイチェルは地面の一部を削り、口のなかに入れた。口のなかで咀嚼をして暫し考えているようだ。
「ふむふむ……ほうほう……ここは違うか?海水の方も見ておこうか……? ……ほかの場所に行こうか。」
その後も同じような流れを繰り返しながら土を食い、砂を食べ、海水を飲み、石を丸のみする。
ゲンマとユウリはしていることが理解できなかったのか、遠くの方でヤドカリをいじめたり、砂をいじったりしていた。
「ふむふむ……おかしいな……これはどちらも該当しない……。どういうことだ?」
「なあ、レイチェルはさっきから口にいろいろ物を入れて何をしているんだ?」
「これはだね〜! 俺ちゃんの権能の“味見”だよ! 俺ちゃんは口に入れたものを解析することができて、石に砂に土に海水を飲み食いして地震について調べていたところだよ。」
知識もある。更に権能を使うことによって、確実に目標にたどり着ける権能持ちということか。
「マコトちゃん……これね。何かおかしいよ。何ていうか両方にも当てはまらないんだ。まるでそうだな地震が生きているかのように不規則に起きているんだ。」
「生きてる? どういうことだ?」
「俺ちゃんもおかしなことを言っていることは重々承知してるんだよ。それでもね、おかしいんだ。地面を直接、たたくように揺らす感じが海の中から来てるんだ。それに揺れもランダムだ。縦揺れに横揺れ。なんだこれは?」
「海そのものが地震になっているということか?」
「どうなんだろうね。2つの地震の性質を持ち合わせながらもそのどちらにも当てはまらないんだ。それにねなんか凄いエグみがある。」
「えぐみ? 苦いのか?」
「なんて言うだろう……。処理してない動物の味。臭いというか。本当に理由が分からない……。」
「とりあえず、機材が来るまでは待機にしないか?これで分からないなら考えたってしょうがないだろ……。」
「それもそうだね! 俺ちゃんは帰って寝ることにするよ!」
「そうしな。ユウリ! ゲンマ! 遊んでないで帰るぞ!」
「分かったわ! 行くわよゲンマ!」
「わー待ってくださいよ! こんなとこで一人にしたら一生帰れないですよ!」
俺たちの地震調査一日目は不穏な感じで幕を閉じた。




