表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白と黒の特異点〜互いの家族を殺した2人が出会うまで〜  作者: 福岡へむ
第五章 革命の光
114/122

AY 侵略者(黒)

「ぅぉらぁ!!死にやがれ!」


「極道どもが!!ここで全員殺してやる!!」


 東軍の敷地内では大量の戦闘員によって激しく戦いが起きていた。数においては極道が少し優勢、しかし守る側の方が有利と言うこともあり、戦局はほぼ五分であった。

 それでも20ある戦場の中で、敵を圧倒している場所があった。


「おらおら、こんなモンか!?帝国のワンコども!!」


 今回の作戦において唯一、単独で一軍への攻撃を命じられた後藤は、東軍最強である第一軍相手に1人で無双していた。後藤の能力によって生み出された大小様々な鉄球が、まるで襲いかかる蜂の様に軍人たちにまとわりつく。


「何だこの鉄球は!?グハァ!」


「チッ!厄介な能力だ!!」


 軍人たちは急所に鉄球を打ち付けられ、次々と倒れていく。襲撃開始からおよそ30分、第一軍の人間は既に半数近く気を失っていた。


「ふん、何が東軍最強だよ。俺1人で十分じゃねぇか…雑魚どもが。このまま将軍まで俺がやっちまうか…っ!?」


 その瞬間、目の前にいきなり現れた男が後藤の懐を取った。そして男は強烈な拳を放った。


「よっと、危ねぇ。」


 しかし後藤は強烈なバックステップを踏んで回避した。


「アンタ、速いな。何モンだ?」


「…侵略者に名乗る名は無い。」


「はぁ?侵略者はテメェらだろうが。都合の良い解釈してんじゃねぇぞ。」


「…参る。」


「そうだなぁ、結局話し合いで解決する話じゃねぇよなぁ!!来いや!」


 後藤とその男の戦いが火蓋を切る。そして別の戦場でも戦いは激しさを増していく。



ーー第二軍基地ーー


「女神よ!大丈夫ですかな?」


「私は大丈夫です、純平は?」


「はい、何とか。」


 3人は既に第二軍の基地内に侵入しており、現れた数人の軍人を撃破していた。香夜と道草は無傷だが、南は腕から少し血を流していた。


「流石だな、3人とも。」


「イタタ…皆んな大丈夫ですか?」


 そこに伊東と百合も合流する。


「戦況は?」


 香夜は伊東に質問した。


「はい、ここ第二軍基地ではややアチラが優勢です。基地内の至る所に罠があり、的確にコチラの戦力を削ってくる上に、敵の統制も取れている。敵の指揮官はかなり優秀ですね。」


「確かに、私でも気付けない罠がいくつかありました。兄貴がいなければやられていたかもしれません。」


「ふむ…では比較的ゆとりのある我々が狙うべきは、その指揮官と言うわけですな。」


「あぁ、その通りだ。だが、倒した軍人の数人に尋問したが、指揮官の居場所は分からなかった。どうやって指揮官を見つけるか…」


「普通に考えれば、敵が多い方に進み続ければ指揮官がいるはずよね。…少し戦った感じだと、多分あれね。」


 香夜はそう言って少し遠くにある大きめの建物を指差した。


「確かに正論だ、ではあの大きな建物に向かって進もう。」


「ええ、そうしましょう。」


 そうして5人はその建物を目指して敵陣を駆け抜けた。



「ふんっ!…この辺り、敵が増えてきましたな。皆さん、お気を付けて進んでくだされ。」


 道草は走りながら敵を倒して前に進む。共に走る5人も敵を牽制しながら前へ進む。目的の建物に近づくにつれて敵も増えてきている。しかし帝国側は数で劣っている為、前線にほとんどの人員を送り込んでおり、守備は万全では無い。


 5人は建物が見える物影に身を潜めながら、建物の様子を偵察する。


「うーん、これ以上奥に行くのは少し危険かもね…この辺りの敵を減らして、味方が来るのを待った方がいいかと。」


「確かに…俺たちだけでこの建物を制圧するのは多分無理だ。この辺りで待機し、指揮官らしき者が出てきたら仕留めるぞ。」


「了解ですぞ!……っ!!危ない!!」


 その瞬間、人間サイズの巨大な瓦礫が飛んできた。それは正確な軌道で5人の元へ向かっており、その威力も凄まじい。


「キャアア!」


 百合は驚いて叫ぶが、その瓦礫は目の前の氷の壁に止められた。初めに気付いた道草が氷の壁を展開し、瓦礫を弾いたのだ。


「流石です、兄貴!ありがとうございます!」


「いえいえ、何のことはありませんよ。」


「…今のは偶然じゃない。威力と精度が明らかに…」


 そうして香夜が瓦礫が飛んできた方向を見ると、そこから4人の男女が現れた。

その特徴は、

瓦礫を投げたと思われる隻腕の男

右肩に棍を背負い、悠然と歩く黒っぽい肌の男

ボブカットで眼鏡をかけた知的な女

気怠げな表情で辺りを見渡す女だった。


 その中で、瓦礫を掴み上げた隻腕の男が話し始める。


「やっぱり、あん時の氷使いか。久しぶりじゃねぇか、極道!!」


 その男は殺気を爆発させた。それを見て南と百合が怯む。


「コイツ…相当強い…」


「…ひっ!…この人、凄く強そう。」


 しかし残りの3人は怯むどころか逆に殺気を放つ。


「誰かと思えば、あの時の雑魚では無いですか。せっかく片腕を残してやったのに。次はそっちも落として差し上げますよ。」


「お前ら4人、相当出来るな。だからこそここで潰す。」


「ようやく真打登場って感じかな。悪いけど今日が命日だよ軍人さん。」


 それを受けて軍人4人も臨戦態勢に入る。


「言ってくれるじゃねぇか侵略者。ここがテメェらの墓場だよ!」


「グッド!さっきまでの雑魚と違って、ユーたちはストロングだ。俺たちの相手に相応しい!」


「うわぁー、可愛い女の子が2人も。どうしよーかなー、捕まえて奴隷にして一生可愛がってあげたいなぁー。」


「変な事言わないでください。ここで全員殺しますよ。」


 そうして軍人たちと極道たちは互いを睨み合った。



《!?》



 今にも戦闘が始まろうという刹那の静寂の瞬間、両者の横から1人の人物が現れる。銀の鎧に身を包み、腰に剣を下げるその女の姿を見た瞬間、5人の極道は戦慄する。


「…っ!!コイツは!?」


「…ふぅ…コレはヤバいね…凄い存在感ね、まるで神保の兄貴みたい。」


 鎧の女の強烈なオーラに極道たちは警戒を向け、いつでも戦闘できる構えをたった。しかし、鎧の女はキョロキョロと周りを見渡して何かを探している。


「うーん…1番強い波動はここに…あっ、いた。」


 その瞬間、女が剣を抜いて神速の踏み込みを見せる。


「っ!?」


 女が向かった先は道草だ。しかし、ギリギリで反応した道草は前面に氷の壁を展開するが、あっさりと両断される。


「…取った…」


「チッ!舐めないでくだされ!!」


 女の剣が道草の身体に迫るが、道草は目一杯の波動で自身の身体をガードする。


ガキィ!!


 氷と剣がぶつかる激しい音がした。しかし、女の剣は道草の身体の氷に止められる。


「…硬い。」


「甘く見てもらっては困りますぞ。」


「…うん、少しは楽しめそう。」


「グオッ!」


 その瞬間、女は剣に力を入れて思い切り振り抜いた。その凄まじい膂力で道草は遠くへ吹き飛ばされる。


「兄貴!!」


 香夜は咄嗟に銃を抜いて速射するが、女は軽々と回避する。そして香夜を無視するように更に、地面を転がる道草を、ゴルフ打ちの要領で遠くまで弾き飛ばした。そうして2人はどこかへ行ってしまった。


「道草の兄貴ぃ!!」


「チッ!不味いな、早く助けに行かねば…っ!?」


 伊東が道草の元へ走ろうとした瞬間、伊東の元へ棍を持った男が迫る。


「ユーの相手は俺だよ!!」


「クソッ!はぁ!!」


 男の打ち込んだ棍を伊東はドスで受けた。


「グッドなレスポンスね。そんじゃ、次はマジで行くよ!!」


「来い、エセ外国人!」


 そうして伊東と男の戦いが始まった。


「おいおい、ソイツは俺がやろうと思ってたのに…あと残ってるのは、チビ女とデカ女、それと若い男…はぁ、仕方ねえが消去法だな。おい、若いの。コッチ来い、俺とやるぞ。」


 隻腕の男はそう言って南を指差した。しかし香夜がそれを遮る。


「はっ、何勝手に決めてんのよ。アンタの相手はこの私よ。よくもチビって言ってくれたわね…絶対殺してやるわ。」


 チビと言われた事に内心ブチギレていた香夜が刀を抜いて構えるが、隣にいた南は香夜の前に立ってそれを妨害する。


「純平、アンタ何のつもり?」


「姉貴、すみません。ここは俺にやらせてください。」


「はぁ?アンタ、私に逆らうの?舐めてんじゃないわよ!!」


 香夜は怒りを露わにして南に詰め寄るが、南も引かない。


「すみません姉貴、ですが売られた喧嘩は買わせてください。俺も極道ですから!」


 その表情は真剣そのものであり、香夜はその覚悟を感じ取った。しかもその表情は実の父親である田淵に重なって見えた。


「…おじちゃん…ふぅ…アンタも言うようになったわね。でも、アイツは私がやるわ。アンタじゃアイツに勝てないわ。」


「そんな事は関係ありません。ここで逃げたら俺は極道でも男でも姉貴の舎弟でもなくなってしまいます!!ですからやらせてください!お願いします!!」


 南はそう言って香夜に頭を下げる。それを見て隻腕の男も感心する。


「いいヤツじゃねえか。おいチビ女、これは男と男の勝負だ。これ以上、外野の女が口出しすんな。」


「私はチビじゃないって言ってるでしょ!!」


 キレた香夜はいきなり発砲するが、男は弾丸を掴み取った。


「イッテェ…いきなり撃つなよな…これだからヒステリックな女は嫌いなんだ。」


「…シュリスさん、それって私の事を言ってるんですか?殺しますよ?」


 男の隣の女が横目で男を睨みつける。


「おぉ、怖。まぁヒス女どもは置いといて、男の勝負と行こうぜ若いの。こっち来な。」


 そう言って隻腕の男は背を向けて歩き出した。


「姉貴、行ってきます。」


 香夜にさえ一歩も引かない南の覚悟を受けた香夜は仕方なく諦めた。


「…分かったわ。でも死ぬんじゃ無いわよ。」


「分かってます、姉貴もご武運を。」


 隻腕の男と南は2人でどこかへ行ってしまった。


 そして、その場に残された4人は睨み合う。


「うーん、女の子だけ残っちゃったねー。どうする?闘いなんか辞めて女子会でもするー?」


「しません。私たちは敵同士、ここで殺し合うしか無いんです。」


「そうね、私も同意見だわ。それじゃあ、相手はどうする?私は2人がかりでも構わないわよ。」


「香夜ちゃん!私だって闘いますよ!!」


「冗談よ、流石に私でもこの2人はキツいわ。片方お願いね。…ところで殺す前に一つだけ聞きたいことがあるわ。」


「うーん?何かなー?」


「アナタたち、()()()()って男を知ってるかしら?知っていたらどこにいるのか教えて欲しいのだけれど…」


 それを聞いた眼鏡の女は少し間を置いてから質問を返す。


「…何故ヴァルスくんの事を?」


「私が殺したいからよ、さぁ答えて。もし案内してくれるのなら、アナタたちはここで見逃してもいいわ。」


「元気な子だねー、私は嫌いじゃない。でも、敵に仲間の情報を売るわけないよねー。…あぁ、でももう仲間じゃ無いのかも…」


「ヴァルスくんは私たちの友人です。彼を殺したいのなら自分で探す事ですね。」


「あっそ、まぁ知り合いって情報だけでも十分。アナタたちを拷問して話聞けばいいだけだし。それじゃあそろそろ始めましょうか。」


「よし決めたー!私はそっちの色々と大きい子とやるー!!私はねー純真無垢な子をメチャクチャにするのが1番好きなのー。そっちの小さい子はなんか捻くれてそうだからいやー。だからねー、私が勝ったら今夜一晩…」


「うわぁ…」


 女の言葉にもう1人の女はドン引きしていた。


「…だから、私は小さくなんか…それに百合がそんな約束受けるハズが…」


「分かりました!!私が負けたら貴女の言う通りにしましょう!!」


「ゆ、百合!?」


「でも私が勝ったら、そのヴァルスっていう人の居場所を教えてもらいます!!」


「百合…アナタ…」


「うんいいよー、私に勝てたらねー。それじゃあ、百合ちゃん?はコッチに来てー。」


「分かりました!香夜ちゃん、行ってきます!!」


「ええっと…百合、色々と気を付けてね。」


「はい!…えぇっと…その…もし2人とも生き残ったら…私と……」


「え?何?」


「い、いえ!何でも無いです!!それじゃあ、香夜ちゃんも頑張ってください!!……うぅ…また言えなかった…」


 百合と女は2人で別の場所へ消えていった。そして最後には香夜と眼鏡の女が残される。そして少し間を置いて香夜が話す。


「…私ってそんなに小さいかしら?」


「…まぁ、そう見えなくはないですね。ですが、可愛らしい範疇だと思いますよ。」


「…うう…気を遣われてるのが惨め過ぎる…」


 そう言って落ち込む香夜だが、少しして直ぐに立ち直る。


「うん!そんな事はよしとして!早速やろうか!!」


 そう言って刀を構える香夜に対してモルモンが話しかける。


「少し待ってください、貴女には話があります。」


「何よ、時間稼ぎのつもり?」


「いいえ、そんな事はする必要がありません。どう見ても私の方が強いですから。」


「へぇ、アナタも私を舐めてるのね。それじゃあ分からせてあげるわ。」


 香夜が刀を構えるが、眼鏡の女は動こうとしない。


「待ってください、手短に済ませますので。…貴女、本当は西()()()()なのでしょう?何の目的で極道なんかやってるんですか?」


「はぁ?アンタ何言ってんの?」


「他の4人と違って、貴女だけは目が合っても何も感じない。つまり、東の人間では無いのでしょう?」


 モルモンは香夜の目を見ながらそう話す。香夜が『特異点』であることを知らないモルモンは香夜が西の人間であると勘違いしたのだ。


「あぁー、そう言うこと。私がもしかしたらスパイかもって話ね。説明すると長くなるからしないけど、私は西の人間じゃ無いわ。だから、ちゃんとアナタの敵よ。遠慮なく殺しに来なさい、私もそうするから。」


「…分かりました。最後に忠告です、今投降すれば命は助けますが?」


「アンタら帝国軍人に投降するくらいなら死んだ方がマシよ。死になさい!!」


 そうして2人の闘いが幕を開けた。

香夜vsモルモン

道草vsレムナ

南vsシュリス

伊東vsベルク

百合vsンレナ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ