AX 激励(黒)
「各員傾聴!!これより帝国軍東軍への侵攻作戦の概要を説明する!!私は柏木組の若頭の立松だ。今回の作戦の指揮を取らせてもらう!!高木組の諸君もよろしく頼む!」
広場に集められた組員たちに対して立松が大声を発する。
《へい!!》
組員たちの返事を受けて立松が続ける。
「先日の『世界議会』において、帝国皇帝は我々を含めた大陸の全てを攻め滅ぼすと宣言した。あと半年もすればヤツらは柏木組へと本格的に侵攻を開始し、その次は佐々木組、高木組とその毒牙は伸びていくだろう。ハッキリ言って我々を含めた『五木』単体では帝国には勝てない。故に我々は同盟を結び、少しずつ帝国の戦略を削っていく。先ずは目下の危険因子である東軍だ。奴らを叩けば、帝国の侵攻計画を大幅に狂わせることができるだろう!」
そして隣に立つ赤川も話し始める。
「今回の作戦には高木組5103人、柏木組3065人が参加する。連携の観点も考え、それぞれの組の人員を22に分割した。それぞれで東軍の第一軍〜第二十軍を各個襲撃してもらう。目的は幹部クラスの捕縛、もしくは暗殺だ。特に各軍隊長は確実に始末しろ。それ以外の兵隊に関しては現場判断で生かすか殺すか決めていい。悩んだのなら殺せ、しかし俺たちは極道だ。無意味に殺し合う帝国のヤツらとは違う。己の信念を持って相手を殺す事、いいな!!」
《へい!!》
「では全員準備しろ!!我々の力をヤツらに見せつけるのだ!!」
《うぉおお!!》
2人の若頭の激励により士気は最高潮となった。香夜と道草もその内の1人として大声を上げていた。
「流石は姐さん、もうすっかりカシラって感じだね。」
「えぇ、誇らしい限りです。」
「そうですね、俺もいつかあんな風になりたいです。」
香夜の隣で拍手しているのは南だ。南も今回の作戦に参加する事が決まっており、非常に張り切っていた。
「そうね、でもアナタは先ずは強くなりなさい。結局私たちにはそれが全てなのよ。」
「勿論です!今回もしっかり姉貴の役に立ちますから!」
「女神よ!私も女神のために頑張りますぞぉ!!」
「いやいや、兄貴は私たち第二班の主力なんだから私の事なんか気にしないで、全力で暴れてきてください。」
3人は第二班に組み込まれていた。第二班は第二軍に当てられる班であり、因縁が深い柏木組のメンバーが多く割り当てられている。
「3人とも張り切りすぎて空回りするんじゃないぞ。」
「香夜ちゃん、私も頑張るからね!」
そこに現れたのは伊東と百合だった。高木組である2人は本来、別の班に所属する筈だったが、百合の強い希望により香夜と同じ班に入る事が決まったのだ。新人とて、組長の娘である百合の希望を無視できなかった為、赤川は伊東を同行させる事を条件に第二班への加入を許可したのだ。
「えぇ、頑張りましょうね。」
香夜がそう言った瞬間、最前列にいた者たちが動き出した。
「動き出したわね、私たちも続きましょう。」
それを合図に組員たちが続々と敷地の外に出て行く。5人もそれに続いて外に出た。
柏木組の正門前の広い道を極道たちが所狭しと駆け抜ける。その中の1人として香夜も走っていた。
「こんなペースで走ってたらバテる人が出そうね。大丈夫かしら?」
「ああ、だがそうも言ってられない。おそらく中幸に入った時点で奴らに襲撃は知られてしまう。だから敵が少しでも混乱している間に攻めたいというワケだ。」
「それは分かってるけど、皆んな疲れて肝心の力が出せないんじゃ無いかって心配してるんですよ。ほら、案の定…」
香夜が指差した場所では若手の組員が激しく疲労した様子で膝をついていた。
「大丈夫だ、疲労して動けない者は後から合流するか、後方支援に回ってもらう手筈になっている。」
「そう、なら良いわ。」
そうしてしばらく走っていると周りの空気が変わり始めた。
「はぁはぁ…姉貴、もうすぐじゃないですか?」
「ええ、前の方も少し詰まってきている。おそらくそろそろ…」
ドォオオン!!
その瞬間、前方で激しい爆発音が聞こえた。
「始まったぞ!皆んな、気合い入れろよ!」
「もちろんよ!」
「腕が鳴りますな!」
「よぉし、やるぞ!」
「こ、怖い…けど、私はやるんだ!!」
そうして極道と東軍との戦争が幕を開けた。




