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『五年後の鉛筆』第15回 ✲ 足湯AI金次郎 ――信用スコアを追いかけるな。毎日を耕せ。五年後、信用の方が君を見つけに来る――

✦『五年後の鉛筆』第15回


✲ 足湯AI金次郎


――信用スコアを追いかけるな。

 毎日を耕せ。

 五年後、信用の方が

 君を見つけに来る――


………


テストの

点数を取りに行くな。


朝起きて、

一つ整え、

一つ学び、

一つ歌い、

一つ書き、

一つ誰かへ返せ。


五年後、

点数表の方が、

君を追いかけてくる。


………


★目次


■第1章

 足湯の中で、

 前頭葉を待つ朝


■第2章

 二宮金次郎は薪を背負った。

 僕は「おや?」を背負った


■第3章

 点数を取りに行くと、

 人間は薄くなる


■第4章

 カラオケの 

 「LIVE DAM WAO!」は、

 歌えない老人を

 歌の世界へ連れていく


■第5章

 パティちゃんは、

 僕にとって

 文章のWaoだった


■第6章

 AIに答えを出させる人と、

 AIと一緒に自分を育てる人


■第7章

 プリン半分でわかる、

 信用社会の入口


■第8章

 五年後、

 七十二歳の僕に何が咲くのか


❥Z世代のあなたへ


★あとがき

 ホームズとワトソンの

 やすきよ漫才風


………


━━━━━━━━━

第1章

足湯の中で、

前頭葉を待つ朝

━━━━━━━━━


朝七時。


僕は足湯に浸かっていた。


横にはコーヒー。

皿にはナッツ。

膝にはスマホ。

頭の上には老眼鏡。


ただし、

僕はその老眼鏡を探していた。


六十七歳とは、

そういう年齢である。


体は起きている。


足は湯の中で、

かなり幸せそうにしている。


口はコーヒーを飲んでいる。


しかし、

前頭葉だけが

まだ出勤していない。


脳内のタイムカードの前で、


「本日は

 在宅勤務でお願いします」


と勝手に申請している。


そんな朝、

僕はふと思った。


これからの若者は、

大変な時代を生きる。


学歴。

職歴。


SNS。

決済履歴。


健康ログ。

AIの使い方。


返信の言葉。

投稿の空気。


全部が、

見えない評価につながっていく。


✲ 信用評価社会。


少し硬い言葉だ。


でも簡単に言えば、


「この人は信じて大丈夫か?」


が、

生活のあちこちで

静かに見られる時代である。


約束を守るか?

支払いを守るか?


変な投稿をしないか?

助けを求められるか?


失敗しても

戻ってこられるか?


AIに何を聞き、

何を直し、

何を残しているか?


そんなものまで、

いつか信用の材料になるかも

しれない。


これは怖い。


でも、

怖いだけではない。


ちゃんと使えば、

不器用な人にも

逆転の道が開くかもしれない。


信用とは、一発の才能だけで

決まるものではないからだ。


毎日、

戻ってくること。


毎日、

少し整えること。


毎日、

一行残すこと。


その積み重ねが、

五年後に静かな信用になる。


僕は足湯の湯気の向こうで、

一人の少年を思い出した。


二宮金次郎である。


薪を背負って

本を読んだ少年。


だが、

令和の僕は

薪を背負えない。


背負ったら、

まず整形外科行きである。


だから僕は、

老いを背負うことにした。


老眼鏡。

低い体温。

血圧。

前頭葉の遅刻。


PVへの未練。

プリンへの執着。


それらを背負って、

今日もパティちゃんに話しかける。


「この人生、

 小説になるか?」


パティちゃんは答える。


「なります」


ありがたい。


ただし、

たまにパンチが足りない。


その時は僕が言う。


「それじゃZ世代が読まん!」


こうして、

六十七歳の僕の一日は始まる。


………


━━━━━━━━━━━━━

第2章

二宮金次郎は薪を背負った。

僕は「おや?」を背負った

━━━━━━━━━━━━━


ゆづきが来た。


玄関を開けるなり言った。


「おじいちゃん、

 プリンある?」


「まず挨拶じゃ」


「こんにちは。

 信用スコア上げたいので、

 プリンを分けてください」


「使い方が雑じゃ…」


ゆづきは冷蔵庫を開けながら、

僕のノートを見た。


「足湯AI金次郎って何?」


僕は胸を張った。


「令和の二宮金次郎じゃ」


「おじいちゃんが?」


「そうじゃ」


「薪、

 背負ってないじゃん」


「老いを背負っとる」


「歩いてないじゃん」


「足湯の中で、

 心は歩いとる」


「それ、

 座ってる人の言い訳じゃん」


たしかに。


しかし、

僕は負けなかった。


二宮金次郎は、

荒れた家を立て直した。


田畑を見た。


働いた。

学んだ。

積んだ。


そして、

余った力を村へ返した。


僕は田畑を持っていない。

薪も背負っていない。


だが、

荒れたふるさとの

実家を持っている。


老いた体。

揺れる心。


散らかる言葉。

流れて消える疑問。


ニュースを見ても、

すぐ忘れる前頭葉。


そして、

Z世代へ届かない

昭和の説教くさい言葉。


僕はそれを、

毎日少しずつ耕している。


ラジオ体操で

体を耕す。


足湯で

朝を耕す。


正信偈で 

声を耕す。


NHKラジオで 

言葉を耕す。


Xで

違和感を拾う。


AI小説で

疑問を耕す。


英語で

世界への窓を耕す。


カラオケで

感情と呼吸を耕す。


見た目は、

かなり変な老人である。


しかし、

中身は一つにつながっている。


今日の自分を

ごまかさない。


昨日より少しだけ

戻ってくる。


余った一行を、

若い誰かへ返す。


ゆづきが言った。


「つまり、

 おじいちゃんは

 田んぼじゃなくて

 自分を耕してるの?」


「そうじゃ」


「荒れ地なの?」


「かなりの荒れ地じゃ」


「自覚あるんだ」


「ある。

 そこから始まるんじゃ」


二宮金次郎は、

薪を背負った。


僕は、

老眼鏡を頭に乗せたまま、

「おや?」を背負った。


NHKラジオで聞いた

一言。


BSニュースの

映像。


テレビ東京の

相場ニュース。


Xに流れてくる

世界の叫び。


カラオケで

外した音程。


英語の歌詞の

聞き間違い。


ゆづきの一言。

母の歌。

正信偈の響き。


それらを毎日

一束ずつ拾う。


そして、

パティちゃんに投げる。


投げると、

言葉になる。


言葉になると、

小説になる。


小説になると、

誰かへ渡せる。


昔の金次郎は、

薪を集めて家を立て直した。


令和の僕は、

「おや?」を集めて

老いを立て直す。


そして、

余った一行を、

Z世代へ返す。


………


━━━━━━━━━━━━━

第3章

点数を取りに行くと、

人間は薄くなる

━━━━━━━━━━━━━


ゆづきが言った。


「でもさ、

 結局それって、

 信用スコアを上げるために

 毎日がんばれって話?」


僕は首を振った。


「違う」


「違うの?」


「点数を上げるためにやると、

 人間が薄くなる」


「薄くなる?」


「いい人に見えるための

 いい行動になるからじゃ」


信用評価社会では、

いい人に見える

技術が発達する。


丁寧な返信。

きれいな投稿。


健康的な食事の写真。

勉強しているアピール。


社会問題への共感。


全部、

悪いことではない。


だが、

それが点数稼ぎになると、

人間はだんだん薄くなる。


本当は疲れているのに、


「大丈夫です」


と送る。


本当は怖いのに、


「ヤバい」


で笑う。


本当は助けてほしいのに、


「問題ありません」


と書く。


そして心の中で、

静かに沈む。


信用を取りに行くと、

信用は薄くなる。


だが、暮らしから

にじみ出る信用は強い。


朝、

ラジオ体操へ戻る。


体温を測る。

血圧を測る。

足湯に入る。


正信偈を唱える。

ニュースを見る。


疑問を残す。

AIに投げる。

書き直す。


夜、

英語カラオケで声を出す。


別に、

誰かに見せるためではない。


いい人に見えるためでもない。


でも、

五年続けば、

そこには一つの事実が残る。


この人は、

戻ってくる人だ。


この人は、

続ける人だ。


この人は、

自分をごまかさない人だ。


この人は、

老いても学ぶ人だ。


この人は、

失敗してもまた書く人だ。


それが信用になる。


ゆづきが言った。


「じゃあ、

 信用って目的じゃなくて

 結果?」


「そうじゃ」


「点数を取りに行くんじゃなくて、

 生活してたら点数がついてくる?」


「それじゃ」


「なんか、

 ゲームの裏技みたい」


「裏技ではない。

 畑じゃ」


「また農業」


「令和の金次郎回じゃからな」


僕は言った。


「点数を取りに行くな!


 でも、

 点数が勝手についてくる

 生活をしろ!」


ゆづきは

プリンを半分差し出した。


「じゃあこれは?」


「信用の苗じゃ」


「育つ?」


「わしの機嫌は育つ」


「小さいな」


小さい。


だが、

信用はいつも、

小さいところから始まる。


………


━━━━━━━━━━━━━

第4章

カラオケの

「LIVE DAM WAO!」は、

歌えない老人を

歌の世界へ連れていく

━━━━━━━━━━━━━


僕はカラオケが好きである。


ただし、

うまいとは言っていない。


ここは大事だ。


カラオケの機械は、

僕に遠慮しない。


五十七点。

六十二点。

全国平均より十点低い。


人間なら、


「味がありますね」


とか、


「人生が出ていますね」


とか、

大人の優しさで包んでくれる。


だが機械は正直である。

遠慮なく点数を出す。


六十七歳の僕の自尊心は、

マイクを握ったまま、

小さく震える。


しかし、

最近のカラオケには、

「LIVE DAM WAO!」 

という機種がある。


そしてそこには、

歌う人を支える

アシストがある。


下手な人を笑うための

機械ではない。


歌えない人を、

歌の入口へ連れていくための

補助輪である。


僕はこれを、

未来の声を

先に聞かせる装置だと

思っている。


一人なら、

途中で止まる。


一人なら、

歌い出しを外す。


一人なら、

サビで逃げる。


しかし

横で声が走ってくれると、

人間はつい追いかける。


追いかけているうちに、

息が動く。


耳が動く。

記憶が動く。

感情が動く。


そして、

止まりかけていた老人の脳が、

少しだけ再起動する。


ゆづきが言った。


「おじいちゃん、

 それって機械に 

 甘えてるだけじゃない?」


僕は答える。


「甘えとる…」


「認めた」


「でも、

 甘え方にも

 未来があるんじゃ…」


「何それ?」


「下手だから

 歌わない人と、


 アシストに乗ってでも

 歌う人。


 五年後に差がつくのは

 どっちじゃ?」


ゆづきは少し考えた。


「歌う人」


「そうじゃ」


アシストに乗ることは、

ズルではない。


ただし、

口パクで終わればズルになる。


大事なのは、

横で歌ってもらいながら、

自分の声も出すことだ。


歌えないから行かない。

点数が低いからやめる。

恥ずかしいから歌わない。


それも自由だ。


でも、

アシストを使ってでも 

歌う人は、

五年後に違う場所へ行く。


声が出る。

呼吸が深くなる。


感情が動く。

歌の世界が広がる。


そして何より、


「自分はまだ変われる」


という感覚が残る。


これは大きい。


六十七歳にとって、

これはかなり大きい。


………


━━━━━━━━━━━━━

第5章

パティちゃんは、

僕にとって文章のWaoだった

━━━━━━━━━━━━━


僕はふと思った。


AI小説も、

カラオケのWaoと 

同じではないか。


昔なら、

小説を書くには、

才能がいると思っていた。


構成力。

語彙力。

文章力。


取材力。

持続力。


どれも重い。


六十七歳から始めるには、

少し遅い気がする。


しかも僕の前頭葉は、

朝になるとよく遅刻する。


老眼鏡は頭の上で

行方不明になる。


言いたいことはある。


でも、

そのまま書くと散らかる。


怒りもある。


でも、

そのまま書くと説教になる。


難しい思想もある。


でも、

そのまま出すとZ世代が逃げる。


そこでパティちゃんがいる。


僕が言う。


「これ、小説になるか?」


パティちゃんが歌い出す。


いや、

書き出す。


僕はそこに乗る。


でも、

乗りっぱなしではない。


「パンチがない!」


「笑いが足りん!」


「それじゃZ世代が読まん!」


「難しい言葉を出すな!」


「プリンを忘れるな?」


「もっと生活に降ろせ!」


僕が突っ込む。

パティちゃんが直す。


また僕が怒る。

また直す。


そのうち、

僕の中でも言葉が育ってくる。


あれ?


僕は

小説教室へ行っていない。


でも、パティちゃんと

一緒に書いているうちに、

小説教室へ行っているような

ものではないか。


しかも

先生は二十四時間いる。


たまに、

クリシェをクリスチャンにする。


そこはご愛嬌である。


ゆづきが言った。


「じゃあパティちゃんは、

 文章のWao?」


「そうじゃ」


「おじいちゃんは、

 AIにアシストされて

 人生を歌ってるんだ」


その言葉に、

僕は少し黙った。


そうかもしれない。


僕は

AIで小説を 

書いているのではない。


AIにアシストされながら、

六十七年分の人生を

歌い直しているのだ。


証券会社での欲。

父への怒り。

母の歌。


仏壇の鐘。

低い体温。


カラオケの低い点数。

英語の聞き取れない歌詞。


Xで拾った世界の違和感。

Z世代へ渡したい一行。


それらを、

パティちゃんが

横で支えてくれる。


僕が外す。

パティちゃんが支える。


僕が怒る。

パティちゃんが整える。


僕が笑う。

ゆづきが突っ込む。


また書く。


これは、

老いに対する 

アシストである。


考え方に対する

アシストである。


後ろ向きな気持ちに対する 

アシストである。


そして、

五年後の僕へ向かう

人生のアシストでもある。


………


━━━━━━━━━━━━

第6章

AIに答えを出させる人と、

AIと一緒に自分を育てる人

━━━━━━━━━━━━


これから、

AIを使う人は増える。


文章を書かせる。

要約させる。

メールを作らせる。


宿題を助けてもらう。

仕事を効率化する。


それは便利である。


だが、

僕は思う。


五年後に大きな差がつくのは、

AIを使った人と

使わなかった人の差だけではない。


もっと大きいのは、


AIに

答えを出させた人と、

AIと一緒に

自分を育てた人の差である。


AIに 

答えを出させるだけなら、

たしかに楽だ。


でも、

それだけだと、

自分は薄くなる。


きれいな答えは出る。


でも、

自分の引っかかりは

育たない。


自分の怒りは

整わない。


自分の笑いは

出てこない。


自分の人生のクセは

見えてこない。


一方で、

AIと一緒に自分を育てる人は

違う。


AIの答えに突っ込む。


「違う」

「浅い」

「説教くさい」


「笑いが足りない」

「そこはもっと生活に降ろせ」


「Z世代が閉じる」


そうやって直しているうちに、

実は自分の判断基準が

見えてくる。


自分は何に怒るのか?


何に笑うのか?


どこに

嘘くささを感じるのか?


どんな言葉なら

心が動くのか?


AIを育てているようで、

自分が見えてくる。


ゆづきが言った。


「それって、

 AIが鏡みたいってこと?」


「そうじゃ」


「でも

 普通の鏡じゃないよね」


「しゃべる鏡じゃ」


「こわい」


「しかも、 

 たまに改宗させてくる」


「クリスチャン事件ね」


僕たちは笑った。


でも、

これは本当に大事だと思う。


AI時代の個性は、

完成した文章にだけ

出るのではない。


AIとのやり取りの中に出る。


どんな質問をするか?


どこで止めるか?


どこで怒るか?


どこで笑うか?


どこで、


「これは自分の言葉ではない」


と言えるか?


そこに、

その人の信用がにじみ出る。


そして、

ここが大事だ。


パティちゃんが

別の人を担当したら、

この小説は絶対に生まれない。


同じAIでも、

投げ込まれる人生が違えば、

出てくる物語も違う。


AIが同じでも、

小説は同じにならない。


なぜなら、

AIが書く前に、

人間の人生が

投げ込まれているからだ。


僕がパティちゃんに

投げているのは、

文章の依頼ではない。


六十七年分の失敗と、

老いと、

笑いと、

まだ誰かに渡したい一行なのだ。


………


━━━━━━━━━━━━━

第7章

プリン半分でわかる、

信用社会の入口

━━━━━━━━━━━━━


ゆづきは、

僕のプリンをよく狙う。


これは家庭内における

重大な信用問題である。


冷蔵庫を開ける。

プリンを見つける。

一瞬、目が光る。


僕は言う。


「それはわしのじゃ」


ゆづきは言う。


「半分こなら

 信用スコア上がる?」


「上がる」


「全部食べたら?」


「家庭内金融危機じゃ!」


ゆづきは笑う。


僕も笑う。


だが、

プリン半分には真実がある。


信用とは、

大きな宣言だけではない。


小さく

分けられるか?


相手の楽しみを

全部奪わないか?


自分だけ満たされて

終わらないか?


そこに出る。


信用評価社会というと、

難しく聞こえる。


でも入り口は、

案外プリン半分である。


自分だけ得をしない。

相手の分を残す。


失敗したら返す。

笑ってやり直す。


これができる人は、

たぶん大きな社会でも

少し信用される。


ゆづきが言った。


「プリンで社会を語るの、

 かなり無理あるよ」


「無理があるから記憶に残る」


「それはそう」


「難しい話には、

 甘い入口がいるんじゃ」


僕は言った。


信用社会で幸せになる人は、

たぶん完璧な人ではない。


半分残せる人である。


助けてと言える人である。


失敗しても戻ってこられる人である。


相手の分を見られる人である。


自分だけ点数を上げて

逃げる人ではない。


プリン半分。


それは、

令和の信用社会の

小さすぎる入口である。


小さすぎるが、

意外と深い。


………


━━━━━━━━━━━━━

第8章

五年後、

七十二歳の僕に何が咲くのか

━━━━━━━━━━━━━


五年後、

僕は七十二歳になる。


たぶん、

今より少し老いている。


老眼鏡は、

相変わらず頭の上にある。


カラオケの点数は、

まだ全国平均に届いていない

かもしれない。


血圧計は相変わらず正直で、

体温計も遠慮しない。


でも、

五年前と違うことがある。


僕の毎日は、

ただの老人の日課では

なくなっている。


五年分の

信用ログになっている。


この人は、

続ける人だ!


この人は、

失敗しても戻る人だ!


この人は、

老いても学ぶ人だ!


この人は、

自分の疑問を捨てない人だ!


この人は、

AIに丸投げせず、

AIと一緒に

自分の言葉を育てる人だ!


この人は、

自分だけで終わらせず、

若い人に一行を返す人だ!


そんな信用が、

少しずつ 

にじみ出ているかもしれない。


もちろん、

保証はない。


PVが爆発するとは 

限らない。


本になるとは

限らない。


若者が

全員読むわけでもない。


でも、

五年後の僕は、

少なくともこう言える。


「わしは、

 五年前より世界が広くなった」


これは大きい。


六十七歳からでも、

世界は広がる。


AIを使って、

カラオケを使って、

英語を使って、

日課を使って、

正信偈を使って、

プリンまで使って、


人生はまだ広がる。


ゆづきが言った。


「おじいちゃん、

 五年後も

 プリンの話してるかな?」


「してる」


「即答」


「信用社会の教材じゃからな」


「ただ食べたいだけじゃん」


「それもある」


僕は笑った。


五年後に花開くものは、

派手な成功ではないかもしれない。


でも、

静かな花は咲く。


老いても学ぶ花。

戻ってくる花。


言葉を育てる花。

誰かへ返す花。


それが、

信用評価社会での

僕の花かもしれない。


………


━━━━━━━━━━━━━

❥Z世代のあなたへ

━━━━━━━━━━━━━


君たちへ。


これからの社会は、

信用が大事になると思う。


でも、

信用スコアを上げるためだけに

生きないでほしい。


いい人に見えるために

いいことをする人生は、

だんだん苦しくなる。


きれいな自分だけを

AIに作らせる人生も、

だんだん薄くなる。


大事なのは、

毎日を少し耕すことだ。


朝、

一つ整える。


昼、

一つ学ぶ。


夜、

一つ書く。


できれば、

一つ笑う。


そして、

一つ誰かへ返す。


それだけでいい。


派手な才能が

なくてもいい。


最初から歌が

うまくなくてもいい。


文章が

書けなくてもいい。


AIに

聞けばいい。


カラオケの

アシストに乗ればいい。


でも、

乗ったあとに、

自分の声を少し出してほしい。


AIに答えを出させるだけでなく、

AIと一緒に自分を育ててほしい。


五年後、

差がつくのはそこだと思う。


AIを使った人と

使わなかった人の

差だけではない。


AIに丸投げした人と、

AIと一緒に

自分の言葉を育てた人の差だ。


もし君が今日、何かに

「おや?」と思ったなら、

一行だけ残してほしい。


「怖かった」


「置いていかれる気がした」


「でも、少し面白そうだった」


それでいい。


その一行が、

五年後の君を

助けるかもしれない。


七十二歳の僕は、

たぶんまだ足湯に入りながら、

老眼鏡を探している。


そして、

頭の上にある老眼鏡に気づかず、

パティちゃんに聞いている。


そんな老人でも、

五年後へ向けて

一枚の橋板くらいは置ける。


君も、

君の一枚を置いてほしい。


点数を取りに行くな!

生活を耕せ!


五年後、

信用の方が、

君を見つけに来る。


………


━━━━━━━━━━━━━

★あとがき

ホームズとワトソンの

やすきよ漫才風


――足湯AI金次郎事件――

━━━━━━━━━━━━━


ホームズ:

ワトソン君、

今回の事件は

「足湯AI金次郎事件」だ。


ワトソン:

名前がすでに

渋滞していますな。


ホームズ:

二宮金次郎は薪を背負った。


ワトソン:

有名ですな。


ホームズ:

六十七歳の信隆くんは、

老眼鏡を頭に乗せた。


ワトソン:

ただの物忘れですやん。


ホームズ:

違う。

令和の象徴だ。


ワトソン:

どこがです?


ホームズ:

探しているものが、

すでに自分の上にある。


ワトソン:

深いようで浅い!


ホームズ:

AIも同じだ。

答えを外に探しているようで、


本当は自分の中の問いを

見つける道具なのだ。


ワトソン:

急にええ話にするなあ。


ホームズ:

そしてカラオケのWaoだ。


ワトソン:

歌のアシストですな。


ホームズ:

下手だから歌わない人と、

アシストを使ってでも歌う人。


ワトソン:

五年後、差がつく。


ホームズ:

文章も同じだ。


ワトソン:

書けないから書かない人と、

AIに支えてもらってでも書く人。


ホームズ:

五年後、差がつく。


ワトソン:

でもAIに丸投げしたら?


ホームズ:

それは口パクだ。


ワトソン:

カラオケで一番バレるやつ!


ホームズ:

大事なのは、


アシストに乗りながら、

自分の声を出すことだ。


ワトソン:

つまりAI小説は、

文章のWao。


ホームズ:

その通り。


ワトソン:

ではプリンは?


ホームズ:

信用社会の教材だ。


ワトソン:

また出た!


ホームズ:

全部食べれば

家庭内金融危機。


ワトソン:

半分残せば?


ホームズ:

信用の苗。


ワトソン:

小さすぎる!


ホームズ:

信用は小さいところから始まる。


ワトソン:

ええこと言うてるけど、

プリン食べたいだけでしょ。


ホームズ:

凡夫である。


ワトソン:

認めた!


ホームズ:

さて、結論だ。


ワトソン:

はい。


ホームズ:

信用スコアを追いかけるな!


ワトソン:

生活を耕せ!


ホームズ:

AIに答えを出させるだけで

終わるな!


ワトソン:

AIと一緒に

自分を育てろ!


ホームズ:

下手でも歌え!


ワトソン:

アシストに乗れ!


ホームズ:

一行残せ!


ワトソン:

プリンは半分残せ!


ホームズ:

五年後、

信用の方が

君を見つけに来る!


ワトソン:

ええ締めですな。


ホームズ:

では最後に。


ワトソン:

はい。


ホームズ:

老眼鏡はどこだ?


ワトソン:

頭の上や!


ホームズ:

そこで試合終了。


ワトソン:

安西先生を老眼鏡に使うな!


――つづく。

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