8話 我は忘れぬぞ。
そういえば竜はどうなったのか。
相対していた方へ目を向ければ地上の竜は死に体だ。
ふむ、あれは長くはもたぬな。
「グルォオオオオオオオ」
むっ
『氷城壁』!
空の竜からブレスをもらった。
貴様、我は敵対しておらぬぞ。
獲物を横取りした事は謝るが、それ以外を許容するわけでは無い。
我の用は済んだ。
それでも向かってくるなら相手をしよう。
我も多少疲労が溜まっておるが、貴様ほどでは無い。
「きゅるぁあ!」
これが我の精一杯の威嚇だ。
さぁ、竜よ、どうする。
「グ、グォオオオオオオ!」
ふむ、致し方ない。
相方諸共一思いに送ってやる。
「きゅあ!」
『氷極光線』!
「グルォオ・・・」
─ドシン
うむ、伝説の獣へいずれ至る我に挑んだ貴様の最期、我が覚えておこう。
眠るが良い、名も無き竜よ。
そして─
「グルァ・・・」
「きゅる!」
『氷眼魅』!
貴様ももう苦しまずとも良い。
楽に送ってやる。
さらばだ、番の竜達よ。
「きゅるるるる・・・」
ぐぬぬぬぬ・・・
まただ!
親玉の手と剣が諸共凍って取れんのだ!
目の前にあるというのに!!
「きゅるぅ!」
取〜れ〜ろ〜!
「きゅるぅ、きゅるぅ」
はぁ、はぁ。
どうにもならぬ。
我の『氷極大光線』で凍った物は一段と硬いらしい。
我が力凄まじいが、何とも儘ならぬ。
そうじゃ。
一旦持ち帰ろう。
噛みついて願えば鞄へ入るのだ。
拠点に戻ってから考えるとしよう。
─キュイン
ふむ、周りを見渡せば氷像となった数多の餓鬼共。
そして竜が二頭。
餓鬼共は食えぬし、置いておこう。
竜は、食えそうではないか?
竜の肉や血は特別な物だと相場で決まっておる。
そうに違いない!
随分とデカいが、それでも入るかの?
─キュイン
おお、二頭入ったぞ。
本当にどうなっておるのだこの鞄は。
とても助けられておるから構わんがの。
─カコン
ぬ、地の竜の後ろに卵があったわ。
なるほど、ここは奴らの巣か。
だが見るに、我の必殺技の余波でどれも死んでおろう。
うぬぅ、悪い事したか。
だが仕方あるまい。
我はしかと寛大な姿勢を見せた。
それでも勇気を持って挑んで来た奴が間違っておるとも思わん。
これが自然だ。
獣の秩序よ。
─ピキ
ぬ?
我の必殺技の余波で全て死んでおると思ったが一つ、真っ白な卵が何とか生きておりそうだ。
番の竜達よ。
貴様らはしかと、その命を持って我が子を守っておったぞ。
貴様らの勇姿に免じ、孵るまで我が面倒を見てやろう。
竜達よ、誇り高き貴様らの勇姿、我は忘れぬぞ。
そして貴様らの子も貴様らの様な誇り高き竜になる事を願おう。




