6話 ・・・我の氷の方がすごいがの。
ふむ、魚、飽きたの。
我は今魚を頬張っておるが、そろそろ飽きてきたのだ。
と言っても餓鬼共のせいで獣が中々見つからぬ。
兎は土の中から滅多に姿を現さん。
誠に困った。
餓鬼共は見つけ次第殺して回ってるが減る気配がまるで無い。
血肉の腐臭も臭うてたまらんから全部氷像に変えてやったわ。
はぁ、何かないかのぉ。
ぬ、そういえば宝箱の布。
あれは一体何なのだ。
取り出してみるか。
─キュイン
ふむ、何なのだこれは。
赤と白で半分に区切った布。
これは一体何なのだ。
我じゃ咥えることしか出来ぬ。
前脚では持てぬ。
尻尾を綺麗にするのかの。
うーぬ、それも違う様な気もするな。
引き裂いて遊ぶか?
それは悪く無さそうだが、はてさてどうしたものよ。
取り敢えず咥えてみるか。
「きゅむ」
うぬ、唾液が吸われていくの。
布じゃ。
何なのだろうなこれは。
歯応えは、意外と丈夫やもしれん。
簡単には破け無さそうだ。
はぁ、破けるまで遊ぶかの。
「きゅる─る?」
─ボッ
「きゅる!?」
ぬあ!?
布の先が燃えよったぞ!
思わず離してしもうたが、まだ燃えよる!
すぐ消さなければ!
『氷結魔弾』で大丈夫か!?
破きそうだ!
どうするか、そうだ!
泉だ!
泉に浸そう!
─ジュッ
ふぅ、慌ててしまい魔弾でズタズタにする所だったぞ。
必殺技ばかりに頼っていれば周りのものに気付かぬ事がありそうよの。
それにしても、はぁ。
せっかく綺麗な布じゃったのに。
「くぅん。」
焦げたところ大丈夫かの。
はぁ、それにしても、なぜ燃えたんじゃ。
我氷属性なのだぞ。
急に燃えよってビックリしたぞ。
そろそろ綺麗になったかの。
─ちゃぽん
ぬ?
焦げ後の一つもないじゃと?
どうなっておるのだ。
燃えた時何があった。
我は確かあの時──少しブレスを吐くように息を吐いたのだ。
内なる力が少し漏れ出たのか?
もう一度試してみるか。
「きゅむ」
咥えて、少し吐く。
─チョョロチョロ
「きゅあ?」
今度は水が出よった!
だが分かったぞ!
これは内なる力を吸って何かが起きるのだ。
そしてそれは恐らくこの赤と白が重要なのだ。
であれば白い方を咥えて吐けば─
─ボッ
赤い布の先端が燃えよった。
なるほど。
これは─良い物じゃ!
これで魚が焼けるぞ!
「きゅるぁああ!」
美味い!
美味いぞ!
このような美味い物、産まれて初めて食べたのじゃ!
炎とは素晴らしい物だな!
・・・我の氷の方がすごいがの。
だがこれで炎と水が手に入った。
更なる遠出も行けそうだ。
一度餓鬼共の様子を見ておくとするか。
「クギャックギャ」
「クギャギャ」
「「クギャギャ!」」
彼奴ら、相変わらず遊び呆けてばかりおる。
数も相変わらずだ。
いや、少し増えたか?
ぐぬぬ、何と憎き奴等だ。
目を離せばすぐ数を増やし、森を荒らす。
我がこの森にいなければあっという間に森を埋め尽くし草木一本も残らぬ荒れ果てた大地と化していただろう。
やはり許せぬ。
1匹残らず氷像にしてくれる。
「「グギャ!?」」
ぬ?
一斉に慌ただしく動きよった。
彼奴の親玉から何か指示が出たか。
ぬぅ?
奴ら持ち場を離れて一点へ向かいよる。
ようやく親玉の登場か!
追うぞ!
「グルォオオオオオオオ!!!」
なんと!?
この森を揺るがす地ならしのような雄叫び、そのような獣がこの森にいたか!
餓鬼共は声の方に向かっておる。
一体何が待ち受けているのやら。




