5話 我は何と幸福な獣よ!
ここへ来る餓鬼どもを氷像にしながら魚を狩っていたら1日立ったのだ。
1日も立てば開けやすくなってるであろう。
罠が治ってもらっても困る。
さっさと行くとしよう。
良し、まずは宝箱だ。
幸い罠はまだ死んでいた。
素晴らしい。
昨日散々苦しめられた分、スッキリとした気持ちが満たしている。
宝箱は中々に豪華そうな見た目をしていた。
期待ができよう。
さぁ、開けるぞ!
─カパッ
これは、布か?
ふむ、赤と白で分かれている。
分からぬ。
取り敢えず帰ってから確認するかの。
豪華な宝箱も持って帰るとしよう。
良い飾り付けをしておる。
気に入った!
─キュイン
では扉に向かうとするか。
うぬ、昨日も思うたが何とも大きな扉よ。
最早門と言った方が正しいかもしれんの。
昨日よりは開けやすそうだが、我の氷は中々溶けてはくれない。
爪で隙間と真ん中に切れ込みを入れてみるか。
うぬぅ、冷たい。
冷たいのぉ、我の氷は。
爪で引っ掻くと余計伝わるぞ。
だが、先が気になる。
頑張るのだ、我よ!
良し!
これで頑張って押せば開くはずじゃ!
せーの!
「きゅるあ!」
!
開いたぞ!
随分と広い部屋だ。
どのような場所だのだここは。
真ん中に台座があるだけか?
『ステータス確認』
!?
なんじゃ!?
台座が光っておる!
『
個体名 未登録
種族名 氷君
年齢 0歳
level 25
状態 幼体
筋力:521 知力:829 魔力:801敏捷:620 幸運:100 魅力:225
スキル
氷魔法lv10 氷結魔法lv10 氷極魔法lv3牙爪術lv5 隠密lv5 魔力技術lv7
進化条件 【未確認】
』
ふむ?
これは我の事か。
幼体に0歳。
我じゃな。
ふむふむ、これは良いのか?
分からぬ。
だが種族名が分かったのが嬉しいぞ。
我が種族は氷君というのじゃな。
氷の君、実に我にピッタリだ!
気に入ったぞ!
さて、ここはそういうだけの場所か?
我の事を教えてくれるだけであるなら、まぁちょっと残念だのう。
鞄の様な道具は無いのかえ。
お!?
台座の裏に白く輝く丸い石があったぞ!
おお、綺麗じゃ!
持って帰ろう!
これは我のじゃ!
では帰るとしよう!
うむ、今日は良い物が手に入った。
布に豪華な箱、綺麗な石!
実に素晴らしい。
これほど充実感を感じながら生きる獣など我以外いなかろう。
我は何と幸福な獣よ!
まさに伝説の獣に成るべく産まれた存在じゃ!
─ぐぅう
ふむ、少し小腹が空いたの。
まだ入口では無いが、弁当を食べるとしよう!
今日の弁当はちょい冷凍した泉の魚!
鮮度を保っておるからいつ食べても新鮮なのだ!
本当は火が使えれば良いのだが、我はどうやら氷属性以外は持ち合わせておらんらしい。
まぁ何でも出来る完璧な獣などおらぬ!
いたとしても何とつまらぬ獣よ。
ただ全部を載せた豪華な物が良いとは限らんのだ。
そういうものは深みがなく、同時に品の浅さが露呈するもの。
多種多様な金ピカだらけの光を纏った獣の様なものだ。
それは我の美しさとはかけ離れておる。
一つを洗練した先に見える深さと信念こそが自らの品性を自ずと高めよう。
それが我の美しさの価値観よの。
良し、食べ終わったのだ!
遠足は帰るまでじゃ!
行くぞ!




