51話 どうか皆傷付かず妾達を楽にしてくださいまし!
『狸よ、決闘場の建設を一時中止させ、砦の設立を任せてすまぬな狸』
『主様!なんの支障もない御座いません!精一杯頑張ります!』
『うぬ、任せたぞ。・・・その仮面、よく似合っておるぞ』
『はい!ありがとう御座います!』
『う、うぬ、ではな』
あ、主様に声かけられちゃった〜!
主様が言ってくれたように仮面を作ればみんなといっぱい話せる様になって毎日楽しいです!
主様、ありがとう!
私は内心飛び跳ねる様な思いで砦を作る段取りを組んでいた。
『タヌキ、オデ、ナンカデキル?』
『あ、熊さん!では主様が切り倒した木を運んで貰ってもいいですか?』
『ワカッタ、ミンナデ、ヤル』
『お任せします!』
こちらの方は熊さん!
材料の運搬や砦の使い方を一緒に考えてくれてます!
時々何考えているのか分かりにくい所が怖いですけど、皆素直で優しくて頼りになってます!
『─疑、この場所はどういうものだ、狸の』
『あ、そこはですね──』
こちらは鷲獅子さん!
今は熊さんと同じく運搬や砦の使い方をお話ししてます!
仕事に実直って感じのカッコいい獣さんです!
『狸殿、ここにも小さな砦を用意出来ぬか?ここだけ獣の警戒が薄くなりかねぬ』
『あ、了解です!急いでみんなに知らせますね!』
そして全体の指揮を執る大きな鹿さん!
ちょっと顔が怖くて近寄り難いけど主様を除いて私達の頼りになるリーダーです!
いつもは縄張り争いで互いに戦い続けて強くなったみんなが主様を先頭に森を守る。
そんな主様達の構える砦を主様は私達に託された!
主様が作った大きなお城の様には行かないけれど、精一杯作るぞ!!
『っしゃオラァ!カチコミに行くぜぇ!』
『おうよ、二本角!カチコミじゃぁ!!』
『二頭共、カチコミは最終手段でありんす。まずわっちがお話しいたしんす』
『そうよ、おバカ達。カチコミは最後。平和的に行けるなら平和的に行きましょう?』
『影、足を引っ張るんじゃないわよ』
『トロく前を歩く狼が居れば、思わず喉噛みついてしまうが、良いか?』
『言ってくれるじゃない』
『我ら影の一族は皆、そうして生きてきた』
まさか妾が侵攻組に参加するなんて・・・。
『すまぬな、孔雀。子竜が防衛にいる故、侵攻組の回復が心許ない。故に孔雀はそちらを助けてやってくれ』
と我が君にお願いされたら断れませんわ!
でも、この獣達。
妾達孔雀の縄張りでもトップを争う程の怪我獣達ですわ。
これは、妾達が先にやられるかもしれませんわ・・・。
過労で。
『人族の縄張りに着くまでの先頭は影狼とエレナはんにお任せしんす』
『俺が先頭じゃねぇのかよ!』
『二本角とワシが先頭が適任やろ!』
『ぬし等二頭より狼はん等の方が鼻が効くでありんす。その後ろにギレーヌはんが居れば威風堂々と主の威光を人間の縄張りに照すことが出来るでありんす』
狐殿は優雅に尾を振りながら妾達にゆっくり説明していますわ。
『わっち等を恐れ、恐るべき宝具をわっち等に素直に渡してくれればそれで良いでありんす。それでダメなら、二角獣はんとサイはんに先陣をお任せするでありんす』
『ならそれでいいぜ』
『一番槍はこのサイに任せぇ!』
なんとか纏まったですわ。
流石狐殿、話の雰囲気が誰にでも分かりやすく、溶け込む様に話して頂けますわ。
『孔雀はんはわっち等狐と共にギレーヌはんの後ろへ。それと例の物はござりんすか?』
『えぇ、しっかりと持ってきていますわ』
妾はギレーヌ殿の背中に結びつけた袋を見て答えますわ。
『それが此度の交渉の鍵でありんす。大事になさっておくんなまし』
『了解ですわ』
『では明日、主に言葉を賜り、侵攻するでありんす。皆、今宵はゆるりとお休みになってくんなまし』
明日、とうとう侵攻が始まりますわ。
どうか皆傷付かず妾達を楽にしてくださいまし!!!




