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37話 久しく我、健康診断にでも行くか!

ここ一週間、我は私室で縄張り争いを見続けていた。


やはり狼の成長は著しく、他の獣を圧倒した。


その中で圧倒的な強さを前に五角の戦いをした獣がいた。


そう、鹿だ。


狼の動きが研ぎ澄まされた剣であるなら鹿のそれは柔軟な盾の動きだ。


狼の動きに合わせ、まるで空の上から操る様に動く鹿の群れは、最小限の消耗且つ最大限の利益を徹底して狼へ襲いかかった。


あの時ばかりの動きかもしれぬが、あまりに激しい争いに両種族の怪我が激しく、あと一歩で死ぬ獣が出たほどだった。


狼と長年争い続けていたとは聞いていたが、あの指揮は神の如き采配であったな。


実に見応えのある戦いであった。


結果的には狼が勝ちを握る事になったが、あの狼達の顔を見るに狼達は勝ったとは思っておらんだろう。


だが、狼達は他の種族に圧倒的な勝利を見せつけた。


これでより我の権威も高まるであろう。


だが問題もある。


鍛錬の為の洞窟だ。


猿に聞けばあの件以降ケダモノは現れなくなったらしく、鍛錬は出来なくなった。


うぬぅ、我が直接相手して鍛錬しても良いが、余り我の力を見せつければ権威に翳りが見えかねん。


この身の力は安易に見せられぬ。


さて、どうしたモノやら。


よし、久しく我、健康診断にでも行くか!





『あら、主ちゃん。どこか行くの?』


『うぬ、ちょっと特別な部屋に向かうところだ。随伴頼むぞ』


『了解、主ちゃん』


一週間経ち本来は狼が今日から側付きに戻る予定だったのだが、最終日に影狼と激しくぶつかり、現在は両種族と共に孔雀の縄張りで治療中だ。


特に眷族の巨狼と影狼が重傷ときた。


しばらくは安静にせねばなるまい、と思ったが孔雀達の回復力が途轍もなく上達したおかげで明日から復帰できるそうだ。


ただ、孔雀からは休暇が欲しいと子竜と共に鳴いていたそうだ。


うぬ、すまぬ孔雀よ。


安息日を作るのを忘れておった。


許せ。


そうして蒼幻の間へ着く。


『ウリよ、変わりないか』


『お館様!某らは無論変わらず元気でござる!ただ、御使の子はまだ眠っているでござる』


『そうか、変わりないか』


桜の幹の枝の間に精霊の入った石が光か輝いておった。


『見たところ傷は癒えたでござる。ただ、それでも起きないでござる』


『ふむ、どうしてであろうな』


『傷や病じゃないならきっと心の病気じゃないかしら』


象がその石に近づき鼻で撫でて言う。


『心の病気か』


『そうよ。私たち象はその辺かなり敏感だから、この子を見てるのそうなんじゃないかって思ってしまうわ』


『そうだったでござるか・・・』


『こういう時はそっとしてあげるか近くにいてあげればずっと良くなるわ。きっとウリちゃん達が側にいてあげてるから、そのうちひょっこり起き上がるわよ』


『ふむ、であるならウリよ。引き続き頼んだ』


『合点承知でござる!』


「「「「ウリ!!」」」」


そして泉を過ぎてあの洞窟の入り口に向かう。


『象よ、ここまでで良い』


『あら、中は一緒じゃなくて大丈夫?』


『ふふ、まるで子供扱いだな』


『あら、主ちゃん。子供でしょう?』


『っほう。なぜそう思う』


『ふふ、ママには分かっちゃうモノなの』


『お主雄であろう?』


『あら、心にママを飼ってる子は皆ママなのよ。子供にはちょっと難しいかしら』


『・・・、まぁ良い。ここから先はまだ知られとうない。入り口で待機せよ』


『了解。気をつけてね、主ちゃん』


『うむ、では行ってくる』


我は洞窟へ足を踏み入れた。





『氷雪絨毯(ホワイトカーペット)』を発動しながら我は通路を歩いていく。


この通路は相変わらずだな。


薄青い光を放つ壁達、所々穴がありトラップばかりだ。


ここへ最初に来た時はいつだったか。


そうだ、憎き餓鬼共が森のそこら中に蔓延っておった時だ。


餓鬼共のお陰でこの場所を知り、奥の部屋で色々な指標が出来たのであったな。


随分懐かしく感じるの。


我は今色々抱え過ぎておる。


だからこそ今ここで自分を見つめ直し、今後の動きを決めるのも悪くはないであろう。


それにしても随分仲間が増えたモノだ。


最初は我一頭で餓鬼共を殺し回る獣だった。


そして子竜に出会い、様々な獣に出会った。


それはこれからもずっと続くであろう。


我の夢は伝説の獣よ。


荘厳且つ優美な伝説の獣。


今でも荘厳且つ優美だが、現状で満足しては成長が見込めぬ。


獣の王として君臨した今、足を止めてはならぬのだ。


そうこう考え事をしていれば門の如き扉につく。


さて、我はあれから成長したか。


少し胸が高なっておる。


うむ、我、ドキドキでいっぱいじゃな!


いざ!


『ステータス確認』


久しぶりじゃな、謎の声よ!


頼むぞ!


『

個体名 未登録

種族名 氷雪王(ヒョウセツオウ)

年齢  0歳

level 183

状態  成体【特殊変異】

筋力:8353 知力:8442 魔力:9328敏捷:8119

幸運:108 魅力:628


スキル

氷魔法lv10 氷結魔法lv10 氷極魔法lv9 剣術lv8 牙爪術lv8 隠密lv8 魔力技術lv10 魔力操作lv8 環境構成lv- 王権lv- 世界樹の権能lv- 理剣内包lv-


進化条件 【①一定範囲自分に最適な環境の構成 61% 達成】

【②眷族を一定数増加 13/15 達成】

【③lv500到達】

【④別個体の王の討伐】

【】

』


な、なんとここまで変わったか。


やはり何度見てもよう分からぬが、うぬ。


我凄いのじゃ!!!


だが分かるものはある。


眷族の回線(パス)の条件を変更したのは恐らく[王権]によるもの。


そして森が薄い氷に覆われつつも成長しているのが[環境構成]と[世界樹の権能]じゃろう。


その環境構成により進化の条件がだいぶ進んでおる。


ただのぉ、今の森の倍ほど大きくするととんでもない広さになるぞ。


うぬぅ、まぁ大丈夫じゃろ。


眷族は子竜の分を確保する故、あと一頭って所かの。


よし、では決めたぞ。


荒れた大地を生き返らせながら洞窟を探し、邪な物があれば浄化する。


ついでに眷族になりそうな誇り高い獣が居れば、それを迎えてみよう。


うむ、これで良い。


では行くか。


謎の声よ、またの!

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