36話 妾達にそろそろ休みを下さいまし!!!
「これで大丈夫ですわ。二度とこないで下さいまし」
「かたじけぬ、が聞けぬ相談だ」
「っさっさとお行きなさい!!」
妾達は狼をも逃げ出すような現場を捌いていますわ。
先日我が君が妾の調合した薬で体を癒し、全快したと褒美の言葉を賜り舞い踊っていましたの。
でも、そんな時間は束の間。
直ぐに妾は死ぬ様な勢いで働きまくる事になりましたの。
ただでさえ忙しかった城にある妾の縄張りは、ここ数時間前から獣達が象の鼻によって何頭も運ばれ、出ていき、そして運ばれますわ。
これも全部狼が縄張り争いに参加したせいですわ。
狼の戦闘は凄まじく、苛烈の一言。
鷲獅子が高々と空を飛び、暴風を森へ叩きつけ狼を攻撃を繰り返すんですの。
そこを狼は一頭の獣の様に群れを二つに分け、攻撃をやり過ごし、合流し鷲獅子の元へと駆けて行く様は余りに綺麗な流れで妾は思わず見惚れましたの。
でも、どちらにせよ空にいる鷲獅子に手を出すことは不可能だと、狼の戦闘を見ていた獣達は皆思ったんですわ。
でもそんな条理を狼は食い壊すが如く覆しましたの。
一瞬、我が君が狼の群れの先頭に立ち、駆けている姿を幻視しましたわ。
そんなバカな。
我が主人は森の獣達に深く直接干渉しないはずですわ。
森の獣達は謁見の間以来誰も姿を、声も賜らず、群れの長にもあの会議から姿をお見せになっていない。
でも、そんな我が君を幻視する様な事が起きたんですの。
狼の長、巨狼の娘が空を駆けましたわ。
思い出すは謁見の間、雪が降り、光を背に、氷の結晶を伴い降りる神の如き獣。
我が君の御業を巨狼の娘はその身で体現なさったんですの。
そして鷲獅子よりも空を早く駆け、爪の一撃で地に落ちましたわ。
これで空は鷲獅子だけのものでは無くなり、状況が傾いたんですの。
地に落ちる程度では死ぬことはない鷲獅子でも、再度飛び上がるタイミングで地にいる狼達に潰されれば何も出来ませんわ。
三頭も落とせば鷲獅子は引いて行きましたの。
そこから先は知らないですわ。
怪我をした獣が次々に運ばれていくのを見ながら必死に回復魔法をかけ続けていましたわ。
中々練度が上がらない回復魔法は、この城に来てからあっという間に熟達しましたの。
それも妾だけではなく、群れの皆、熟達しましたわ。
それほど怪我をする獣が多い。
寧ろ多少骨の一本や二本折っても良いと思いながら戦っている節があるんですの。
なんて野蛮な戦い方ですわ。
一体誰が癒すと思っているのかしら!!!
そして一番多くの獣達が入って来ましたの。
そこにはまだ1、2頭しか運ばれなかった狼達が10頭以上運ばれ、それと同じ数程の鹿が運ばれて来たんですの。
激戦だった様ですわ。
そしてこの縄張りもこれから大激戦になりますわ。
我が君が先ほど天を貫く塔の上から一瞬姿を出したのも拍車がかかっている様子。
我が君!
妾達にそろそろ休みを下さいまし!!!
「ピィーーーー!!!」
殿下も言ってやって下さいまし!!!




