26話 我と一緒に特訓するぞ!!
我と子竜はそれぞれの宝物を大事に飾った後、落とし物拾いながら謁見の間に来ていた。
全く、なんでこんなに我は落とし物をしてしまうのだ。
まさかこの鞄、穴が空いておるのではないだろうな?
後で猿に見せてみよう。
さて、謁見の間だが、これがなんと素晴らしい。
玉座と言える我の座る場所は、眷族の獣が立つ場所から我一頭分の高い場所となっておる。
随分と高いがこの謁見の間は恐ろしく広い。
後ろの者まで見える様にせねばならぬのだ。
滅多に見ることがない我が玉体をその時ばかりはしかと目に焼き付けさせてやろう。
そうなれば、この高さは必要だ。
そして我が玉座にも我の紋章が描かれておる。
手前に来る眷族達は良く見えるだろう。
そして我の座る場所の後ろには大きな13本の氷の剣が扇状に刺さっておる。
この剣の数は我が眷属の数だけあるのだ。
そう、我の気まぐれで眷族になった13頭の獣がおる。
恐らく次の謁見で何頭か姿を消すだろう。
その時にこの剣も砕けるのだ。
我が認めた獣達だ、出来れば消えてほしくはないがどうなるやら。
そしてその謁見だがどうやって我登場しようか。
ただ脇から出てくるのはは違うな。
それは王ではない。
入り口から堂々と入るか。
うむ、無難だ。
だが我が無難で良いのか?
やはり趣向を凝らそう。
初めての謁見は我が森の全ての獣が集うのだ。
伝説の一面となる。
無難ではならぬ。
素晴らしい演出を考えようでは無いか。
我は空に小さく嘶く。
「ヒュイ」
『ここに』
謁見の日を何時と皆に伝えておる。
『明日と』
五日後にせよ。
『はっ』
それと、それまでは城に立ち寄らせるな。
『はっ』
謁見の間はしばらく我と子竜のみ利用する。
猿も入るな。
『はっ』
もう良い。
さて、では子竜よ。
「ピィ!」
我と一緒に特訓するぞ!!
「ピィ!!」
「ウキキ!」
『謁見が五日後に変更になされた?』
「ウキ!」
『ふむ、相わかった。我ら鹿の種族は五日後謁見の間へ向かおう』
「ウキ!」
主人、ご無事で良かった。
先日、我が主人の絶大な御業によって生み出された巨大な城。
それと同時に主人へ危機が迫った時、我も同族を何頭か連れて急いだが、すでに狼のが城の周りを囲っておった。
確かに我らは遅れたが、他の種族を一頭も入れぬとは何事かと狼へ問いた。
危機が迫っているなら我らも、眷族こそ向かう出来だと。
だが、眷族が故に入れられぬと言いよった。
どういう事かと問いただそうとするが、恩寵を賜り、進化してクリアになった頭が理解した。
我らの命を握った主人を恨み、弱った今を狙う愚か者がいるやもしれぬと。
それを理解した我らは狼と共同で城を囲い、他の種族を近づけないよう共に防衛へ回った。
まさか我ら鹿が狼と行動を共にするとは、一月前では考えられなんだ。
それもこれも我らが支えるべき主人を見つけたからに他ならぬ。
狼に聞くと主人の側ではあの巨狼が守っておるらしい。
ふん、ならば大丈夫であろう。
まだ小娘だが、あの気高い狼達を束ね、群れの長として君臨しているのだ。
我も幾度と戦いアレの強さをよく知っておる。
そして今側に最も適している眷族だとも理解している。
あの巨狼が弱った獣を襲うことは決して無い。
常に相手が全力を振るえる環境のみで戦う誇り高き狼だ。
我以外の他の鹿達は中々理解せぬがまぁいい。
理解できぬ内は主人から言葉を賜る事もないだろう。
鹿の指揮を執り始めてから狼も我の指揮下に入った。
この様な事、夢にも思わなかったぞ。
そうして多種多様な種族が我らとの睨み会いという名の監視が続いた。
そんなヒリついた空気が漂う中、大きな鷲獅子の姿がこちらへ向かってくる。
空は我らではどうしようも出来ぬ!
そう思ったが3頭の鷲獅子のうち、一頭がその中でも一際大きく、真っ白な翼を持ち、胸に眷属の紋章の模様が描かれていた。
主人は鷲獅子までも眷族にしておったのか。
地上では負けるつもりは毛頭ないが、空の防衛を任せれるなら正直助かった。
『鹿のよ、我が主人は』
『気高き巨狼が側に付いておる。大丈夫だ。そして見ての通り空が手薄だ。任せるぞ』
『是。空は我らの領域。任されよう』
「ピョォォオ!」
白い鷲獅子は一鳴きすると高度と速度を上げ空を巡回する。
これで上は気にせずに済む。
我らよ、気を抜かず主人が目覚めるまで警戒体制を続けろ。
結果無事に事なきを得たそうで、我らは安心し縄張りへ戻った。
謁見の間で御身の玉体を拝見が許される時が楽しみである。




