25話 我が道こそが正道で王道だ!
「ヒュン・・・」
「ピィ・・・」
っ、ここは何処じゃ。
まずい、今の声、聞かれておらぬだろうな。
それにしても、何処を見ても美しい氷で出来ておるのだ。
そう、右を見ても左を見ても、青暗い氷の壁なのじゃ。
今、我は何処におるのだ。
「ピィ・・・」
いかぬ、子竜が不安に思っておる。
大丈夫じゃ子竜よ。
案ずるな、今正しき道を我が示めそう。
よし、姿勢を正せ我。
我は荘厳且つ優美な獣。
その姿勢を持って我は伝説へと至るのだ。
その姿勢が崩れれば、我が伝説が汚れるぞ!
故に正せ!
姿勢も、心も!
迷うな、我よ!
迷えば続く者が不安になる。
そして迷いは姿勢に現れる。
故に迷うな、我よ!
我が道こそが正道で王道だ!
行き止まりだとしても、また戻り、道を選べば良い!
「ピ、ピィ!」
うむ、我頑張るぞ!
行き先は我と子竜の部屋だ。
つまり四階だ。
階段が何処かにあるはずなのだ。
だが、おかしくないか?
我が作った城よ?
我の知らぬ通路が何故か幾つかあるのだ。
あれか?
外面ばかり意識して中身を深く考えなかった結果かの?
つまり、我のせいか?
いや、そんなわけはない!
あれだけの内なる力を注ぎ込んだのだ。
恐らくそれが影響したのだろう。
よく分からぬが、きっとそうに違いない!
うむ、我のせいではないな!
いっそ我の角の力を使い、穴を作り、我が道を行こうかと何度も考えた。
恐らく一番簡単であろう。
だが、その我を真似して壁を壊しながら我の元に来る子竜。
それは荘厳ではない。
それは優美ではない。
品がなく、美しくない!
故に我は我の力を使う事なく道を探しておる。
それにしてもここは何処──お?
頭を振って見れば遠く通路の先に美しいルビーが落ちておる!
あ、あれは!
あれは、我のじゃ!!!
この城にある光る石、我の物に決まっておろう!!
行くぞ子竜よ!
誰かに取られる前に急ぐのじゃ!
「ピ、ピィ〜」
ほほぉ!
うむうむ!
良く磨かれ綺麗に光っておる!
間違いなくこれは我のものじゃ!
しかし、何故この様な物がこんな所に──なぬぅ!?
あ、あれは!
エメラルドじゃ!!
あれは、あれも我のものじゃ!
ついて参れ、子竜よ!
どうやら我は随分と沢山落とし物をしていたらしい!!
「ぴぃー」
なんだ子竜よ。
「ピ、ピィ!」
う、うむ。
城の紹介じゃな。
では落とし物を拾いながら我が説明してやろう。
落とし物を拾いながらな!
「ぴぃー・・・。」
むほほ!
大量じゃぁ!
全部我のじゃあ!
ふはははは!
「ヒュルルルル!」
「ピィ・・・。」
む、そうだな。
次の部屋じゃな。
うむ、どうせここもただの部屋じゃ。
そう変わらぬ景色──ではない。
おお、立派な“ばるこにー”じゃ!
「ピィ!」
うむ、そうだ。
ここが我とお主の部屋だ。
道は覚えたか?
「ピィ!」
うむ、なら良い。
くれぐれも壁を壊して進むでないぞ。
「ピィ!」
それにしても随分広いバルコニーにしたものだ。
我二頭分の高さと広さをしておる。
少し落ち着かぬな。
これでは雨風が凌げないのではないか?
いや、どうやらバルコニーの入り口は薄い膜が貼っておる。
氷の薄い膜だ。
ふむ、氷であるなら我の自由が効きそうじゃ。
硬さ、そして色を変えられるのか。
うむ、寝る時に暗くすればぐっすり眠れそうよの。
これは良きものだ!
そして中央にある我が3頭寝れそうな台座。
壁には我を象徴する結晶の模様。
うむ、素晴らしい。
派手すぎぬ厳かな意匠を凝らし、実用性も重視しておる。
ここが我と子竜の寝台となろう。
そしてこの部屋は我ら以外は決して入ることは無い。
ならば、今まで貯めていた宝石をここへ置き寝る前に少し鑑賞しようでは無いか!
幸い宝石を入れるための箱もある。
格も良い物だ。
うむ!それが良い!
そうするとしよう!
「ヒュルルルル!」
ふはははは!
「ピィ!」
うむ、お主も何か飾るが良い!
「ピィ!」
む、それは、我が料理に使っていた木の棒では無いか。
わざわざそれを集めておったのか。
「ピィ!」
─っ、うむ、うむうむ、それは我とお主の思い出の品じゃな。
一番良いところに飾ってやろう。
「ピィ!」
うむ!
これがこの部屋で1番の宝物よ!




