24話 我についてくるが良い!
─ギシ
ぬぅ、重い。
「ぴぃ、ぴぃ」
ぬ、子竜か。
「ぴぃ、ぴぃ」
ぬぅ、我の口に尻尾を捩じ込むでない。
食ってしまうぞ。
「ピ!?」
ふはは、それでいい。
毎朝それくらいの早さで起きれば我は言うことないぞ。
寝ぼけ眼で魚の狩りをするのは毎度危ういのだ。
寝ぼけていつか自分に『氷結魔弾』を撃ち込んでしまうぞ。
「ピィ!」
するわけがないとでも言いたげな目だ。
だが我は確信しておる。
いつかやると。
「ピィ!ピィ!」
ふははは、我の尻尾とでも戯れていろ。
そう言えば、随分子竜の考える事が分かってきたな。
まぁこれだけ長くいるのだ。
表情と後は“ふぃーりんぐ”で分かるのだ。
いや、認めよう。
これは恐らく眷族が増えたおかげだ。
我と眷族の間で回線が繋がり、それに合わせて仮眷族の子竜の回線が広がったのだ。
それしかあるまい。
そして分かった事がある。
我の命は我だけのものではなくなったのだな。
これが王か。
ふむ、まぁ高々数頭の獣の命だ。
我に背負えぬ道理は無い。
決して我が眷族の命を軽んじている訳では無い。
我ならば問題ないと我自身が確信しておるだけの事。
だが、思わぬ事態だったのは事実だ。
倒れたことも、知らずに彼奴らの命を我が握っておった事も。
納得せぬものも居ろう。
一度、獣達全員を集める必要がある。
幸い、この城はずっと大きく作ったのだ。
高々一万も満たぬ獣達、謁見の間で事足りる。
では、誰に話を通すとよいかの。
我自身が足を運ぶのは、恐らく狼が認めぬ。
そして狼に頼めば、何処かの種族と衝突し、要らぬ争いを呼びそうだ。
奴ら気高いからな、どこかの種族が我への不満一つ漏らせば怒り狂いそうだ。
それは我の望むところではない。
ふむ、では猿あたりに聞いてみるか。
『お待ちしておりました』
相も変わらず先回りが好きな奴らだ。
ここで待っておるなら我の言いたい事も分かっておろう。
『すでに各縄張りへ使いの者を出しております』
ふん、全く可愛げのない奴らだ。
『お褒めにあ預かり光栄でございます』
褒めてないが?
『いえ、我が主人。私は今の表情から最大級の褒め言葉を頂いたと認識しております』
はぁ、勝手にせよ。
『そうさせて頂きます』
ただし、我の在り方と異なる動きをすれば容赦はせん。
分からぬならば我に聞け。
これを守らねば最低限側には置けぬ。
『畏まりました』
なら良い。
そう言えば随分身なりが良くなったな。
見違えたぞ。
『いつまでも裸のままでは主人の側には居られませぬ。それに進化の恩寵も頂き思考力が上がりました。最早どのような場面でも裸は落ち着きません』
そうか、その執事服、よく似合っておるぞ。
『ありがとうございます』
さて、では謁見の間の調整、よりはまずはご飯にするとしよう。
『用意しております』
では行くか。
『こちら、本日のコースです』
・・・コース料理じゃと?
お主らそこまでに至ったのか?
『はい我が主人。我らの種族は元はただの手長猿だったのですが、恩寵により人間並みの思考力を持ち、更により器用な種族となりました。毛も白くなったことから白人猿と言ったところでしょう』
そ、そうか。
わ、我の料理も悪くないがな。
『我が主人。それは比べようもございません。天と地ほどの差があります』
わ、我が天よな?
『語るまでもない事です』
う、うぬ。
わ、分かっておるなら良い。
ただ、時たまに我にも作り方を教える事を許す。
普段何を食べておるのか我自身で“ちぇっく”せねばならぬからな。
『勿論です。いつでもお待ちしております』
う、うぬ。
子竜にはなるべく素材のままで食わせよ。
竜とは本来そういうモノだからな。
あまり舌を肥えさせてはならぬ。
『畏まりました』
「ピィ!?」
・・・美味かった。
「ピィ!」
『お褒めに預かり我ら種族一同光栄に思っております』
う、うむ。
精進するが良い。
だが、あまり難しくなく美味しい物のレシピを作っておく様に。
これはお主ら種族への1番の命令だ。
『すでに40のレシピ帳を作っております。後ほどご確認を』
うむ、よくやった。
褒めて遣わす。
『光栄でございます』
さて、では腹を満たせた所だ。
食後の運動も兼ねて改めてこの城を散策するか。
「ピィ!」
うむ、ここが今日から我らの住処だ、子竜よ。
『案内いたしますか?』
ふ、我が貴様に頼りきりになっては他の獣に示しが付かぬ。
それにこの城は我がゼロから作り上げたのじゃぞ?
部屋の場所など全て把握しておるに決まっておろう。
お前はお前の仕事をするが良い。
『畏まりました』
では行くぞ子竜よ!
我についてくるが良い!
「ピィ!!」




