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20話 我の拠点、見窄らしいのじゃ・・・。

それから我と子竜は3日かけて拠点へ帰った。


道中もまた我に挨拶をしにくる獣や挑む獣が現れたりし、しっかりと相手してやったのだ。


挑む獣の中には中々骨のある奴もおり、戦いが終われば互いに認め合い友人になれたであろう。


そういった奴らにはしかと我の結晶を与えてやったぞ!


そう言えば我が拠点に帰るまではこの結晶、どういった物かあまりよく分かっておらなかったのだ。


ただ、美しい!


我の象徴としてやっても良いと思っておる!


それほど美しいのだ!


この美しさに目が眩んだ獣が何度か我を襲ったが、我に不意打ちは効かぬし、我の氷は未だ負けておらぬ。


故に、全員もれなく“ぼこぼこ”にしてやったのだ!


どの奴もまだまだ甘いわ!


あと100年鍛えてから挑むのだな!


ふはははは!


「ヒュルルルル!」


「ウキキキキ!」


ええい、鬱陶しい!


「キィ!?」


今は寄るな!


「ウキィ!」


はぁ、そうなのだ。


あの猿共、我の森まで付いて来たのだ。





我は拠点に帰るまでに森の様子を見て回ったのだ。


3日かかったのはそういう事だ。


森の様子は随分と変わっておった。


我の“まーきんぐ”した氷の木の下に、我が目をかけた獣の群れが住み始めたのだ。


一番我の拠点に近い木の元には最初に挨拶をしに来た狼の群れだ。


我が拠点に戻る際、そこを通った時に狼の長が挨拶に来よったのだ。


相変わらず勇ましい面をしておったのだが、色が変わっておったのよ。


真っ白になっておったのだ。


胸に我の氷の模様が描かれているのを見るに、此奴我の結晶を喰らったらしい。


つまり、このよく分からない我の結晶は、喰らうと白くなり、氷属性を持つ様なのだ。


うぬ、恐らく眷族化したのだろう。


少し我は頭を悩ませた。


無闇矢鱈にばら撒きすぎたかも知れぬと。


どれほどの数眷族に出来るか分からぬのだ。


いざ子竜が我の眷族になる時にもう増やせなくなったとあれば我は子竜に顔向けできぬ。


しばらくは控えるとしよう。


そして我の拠点から2本目の氷の木にはなんと狸が群れで住んでおったのだ。


そう、我らが遠征に行く時に子竜が戦ったあの狸だ。


思えば彼奴にも渡しておったの。


面白い奴と言う理由でな。


うぬ、後悔はしておらぬが渡さなかった獣達に少し罪悪感を覚えたのだ。


我がその群れに近づくと、所々白い毛に生え変わり、我の模様を腹に描いた狸が近づいて来よった。


子竜と戦ったあの狸だ。


我が元に駆け寄っては立ち上がり此奴、なんと我に語りよったのだ。


『主様!』


とな。


我は大層驚いた。


今まで言葉と言う概念など存在せぬ獣が言葉を使いよったのだ。


眷族化の恩恵は凄まじい。


我は大層驚いたが、我が言いたい事を伝えようとせぬ限り我の言葉は届かぬ様で内心ほっとしたものだ。


無論、驚いたが姿勢は荘厳且つ優美を保ったままよ。


しかし、よかった。


我の気持ちまで見透かされたとあっては伝説の獣に相応しくない。


伝説の獣とは滅多に姿を表さず、滅多に声も漏らしてはならぬ。


その所作一つ一つが一字千金の様な価値になるといっても過言ではない。


故に我は一言だけ申したのだ。


『励(はげむ)が良い』


とな。


この言葉を聞いた狸は感涙で肩を震わせ、我が去るまで顔を上げなんだ。


素晴らしい!


良いぞ、狸!


お主の“りあくしょん”は我の心を喜ばせてくれる!


それだけでお主は眷族にしてよかったと思えるぞ!


やはり後悔などない!


他にも色々と森の様子が変わっており、その都度また話をしようと思う。


それよりも重大な事がある。


我は眷族が出来て目下、緊急の問題があったのだ。


我の拠点、見窄らしいのじゃ・・・。


今まで我は持ち帰ったドラゴンの巣に氷の膜を張っておるだけのもの。


つまり遠征の時の“きゃんぷ”で使ったあれじゃ!


これでは示しが付かぬ!


さて、どうするか。


そうやって頭を悩ませておる我は一時問題から目を背け、持ち帰った苗木をどこに埋めるか探索しておる。


う、うぬ。


分かっておる。


苗木を植えてからでもよかろう?


どの様な木に育つか分からぬがこれを埋める場所次第でも城の位置は変わるのだ。


だから一旦城の問題は脇に置くのじゃ。


そうするのだ。


さて、この苗木どこに埋めようか。


水辺に近い方が良いか。


立派な大樹に育つならばやはりそれは素晴らしい場所に植えるべきだ。


うぬ、どうするか。


よし、泉の近くに埋めるとしよう!


我は目印にしていた泉のちょうどいい場所へ向かえば、もう既に穴が掘っておった。


「「ウキキ!」」


お主ら、まぁ良い。


一々叱りつけるのも面倒だ。


それに此奴ら、別に我の邪魔をしておらぬ。


寧ろした事がないのだ。


ただ頭が回り過ぎて先回りし続けておるのが気に食わぬ。


猿程度に我の荘厳で優美な思考が読めておるだと?


とても認められん。


だが、我の手先になる様な献身的な動きは評価してやる。


子竜に続き、我の側に今は置いてやろう。


よし、では、苗木を置いてみるか。


うぬ、置けたの。


後は立派に育つと良いな。


楽しみだ。

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