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19話 この我に呆れておるのか?

朝日が登り、我はその光で目を覚ました。


朝の狩りの時間だ。


基本我は魚か鳥を食ろうておる。


肉も行けるが、我ははぐれの鹿や牛、猪などしか獲るつもりはない。


我が群れに手を出せば生態系が崩れかねん。


致し方なく戦うことがあればそれらを喰らうくらいか。


そんなわけで我は今魚を狩っており、ついでに鳥も狩っておる。


中々の収穫だ。


凍らせておるので長く持つであろう。


5日分程の食料となった。


では今日は行きたい所があるのだ。


というより猿が何か知っておる様で我をそこまで導きたいらしい。


奴ら賢いからな、何か理由があるのだろう。


さて、いったい何が待っておるのだ。





これは、なんと。


滝の側まで近づいて我は気付いた。


滝の裏に洞窟があったのだ。


「ウキキ!」


ふむ、此奴らこの森についてかなり知識を蓄えている様だ。


他にも似た洞窟を知ってるやもしれぬ。


よし、入るとするか。





雰囲気から我の拠点とする洞窟に似ておると思っておったが、ここはまた少し様子が違うのだ。


壁は青白いのだが、何やら嫌な気配もする。


様子を見るため探ってみるとするか。


「グギャ!」


ぬ、餓鬼が棲みついておるのか。


「ヒュイ!」


『氷結魔弾(アイスバレット)』!


「グギャ!?」


此奴らは手加減無しだ。


一匹も逃さん。


─バシュ


ぬ!?


奴の死体が消えよった!


どうなっておる!?


「ピィ!」


倒した餓鬼のところへ子竜が先に観に行くと妙な石を咥えておる。


鈍い青の石か。


なんだこれは、我の金銭には全く触れぬが妙な力を感じる。


一応持って帰ろう。


─キュイン


さて、あの部屋までの通路よりはずっと広いが一体ここはどういう場所だ。


我の生まれた場所も広かったがここはそれ以上に広そうだ。


うぬ、大変且つ死体が消えるなど奇怪極まるが、子竜の修行場に良いかもしれぬ。


それに鞄の様な道具が見つかるやもしれん。


ぐぬぬ、あの猿の剣の様なモノ、我も欲しいぞ。


ならばここは探索するしかあるまい。


あの猿ももしやここで手に入れたやもしれぬしな。


では行くとするか。





洞窟を探索する我と子竜は妙な生き物に出会った。


─ピチャピチャ


なんだ、あれは。


獣か?


何やら丸い液体の様な物が固まって動いておる。


なるほど、これが噂に聞く“すらいむ”という奴か。


透き通る水の玉の中心に赤い石がある。


あれが恐らく核であろう。


「ヒュイ!」


『氷結魔弾(アイスバレット)』!


我の氷弾は真っ直ぐ奴の核を撃ち抜き、破裂する。


うぬ、防御は大したことなさそうだ。


これまでこの洞窟で出会った獣は目を赤く染めた犬の顔をした二足歩行、犬頭と餓鬼、そしてこの“すらいむ”だ。


数は疎(まば)らで、多い時に5匹ほど固まって出るくらいだ。


大したことはなかった。


子竜でも簡単に倒せる故、やはり修行に良いかもしれぬ。


だがなんだ、この奥から感じる嫌な気配は。


何か邪な力がこの洞窟に存在している様だ。


我は美しく気高い獣だ。


そんな我が伝説の獣として邪なモノを処理できれば更に泊が付こう。


例え誰も見ていなくとも実績というのは自信につながる物だ。


その自信の高さが我をより荘厳で優美な伝説の獣へと至らしめよう。


ぐふふふ!


「ヒュルルル!」


「ピィ!?」


待っておれ!


邪なモノよ!





また行き止まりじゃ〜!


「ヒュル・・・」


「ピィ・・・」


なんじゃ子竜よ。


妙に呆れた様な顔をしておる。


この我に呆れておるのか?


子竜が?


我に?


有り得ぬ。


「ピィピィ!」


何か訴えておるが分からぬ。


「ピィ!」


ぬ、先に行ってしまった。


これ、『氷雪絨毯(ホワイトカーペット)』の外は危ないぞ。


どの様な罠があるか分からぬでな。


取り敢えず追ってみるかの。





「ピィ!」


おお!


子竜が先行した先に豪華な宝箱を見つけたのだ!


でかしたぞ子竜よ!


「ピィー・・・」


うむ、まだ呆れた顔をしておる。


何が言いたい子竜よ。


「ピィピィ!」


尻尾か?


そうか、褒美に尻尾で遊んでやろう。


「ピィー!」


うむ、その調子で遊ぶが良い。


何かガシガシと噛まれておる様な気がするがこれは新しい遊びか?


うむ、遊ぶが良い。


では宝箱の中身を拝見するとしよう!


今までの経験から全く使えぬものは無いはずじゃ。


まぁ全く使えぬものでも可笑しな物でも良い!


我は不思議な物が欲しいのだ!


さぁ、開けるぞ!


─パカ


ぬ、これは、苗木か?


まさか植物が入っておるとは。


道具では無いな。


だが何か、良い匂いがする。


落ち着くのだ。


「ピィ」


子竜も何か感じる様だ。


ふむ、これは─分からぬが良い物だ!


そうに違いない!


豪華な宝箱に入っておったのだ!


きっと良い物だ!


うぬ!


これは我のものじゃ!


持ち帰ろう!


よし、では鞄に入れるとしよう。


頼むぞ!


─キュウヴン


ん?


鞄よ、頼んだぞ!


─キュウヴン


ん?おかしいの。


鞄に入らぬ。


まさか中がいっぱいになったか?


魚出してみるとしよう。


─キュイン


よし、これならば大丈夫であろう。


鞄よ、頼む!


─キュウヴン


ぬ、おかしい。


鞄に入らぬ。


この様なことは初めてだ。


困ったの。


取り敢えず魚を仕舞うか。


─キュイン


うぬぅ、何かないか。


幸いそれほど大きくはない。


尻尾に巻いて持ち帰るか。


だとすると一度拠点に帰りたいの。


これを持ったまま探索は難しい。


よし、帰るとするか!


「ピィ!」


邪なモノよ、次来た時はちゃんと浄化してやろうぞ!


ではな!

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