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18話 絶対我は負けぬぞ、猿よ!

野宿するに良い物を持って来た。


竜の巣だ!


元々木の枝で出来ていた大きな竜の巣は、我が改良し腐らぬ様凍らせ、枯葉と藁を敷いてふかふかだ!


子竜もこれに大層喜んでおったのだ。


我らは氷属性を持っているため、寒さには滅法強い。


故に氷で周りを囲ってもなんら問題ない上に床が氷でも全く気にならぬ!


この一ヶ月隙間を見て枯葉と藁を集めておったが、これがなんとも大変であった。


幸い藁になり得る草を我の剣の練習に使ったため、一石二鳥ではあったが。


よし、では開けた場所でまず竜の巣を置く。


そしてそれをさらに覆う様に氷の膜を張る。


これで雨風を凌ぎ、外敵から身を守るのだ。


そしてその中で子竜の修行も兼ねた成果を発揮する。


さぁ、子竜よ。


あれを頼むぞ。


「ピィ!」


子竜の鳴き声と共に氷の中に雪が降った。


よくやった!


これが子竜の雪の技だ。


この雪、積もっても水にならずしかも少し暖かいのだ。


拠点で遊んでいた時に偶々出た子竜の雪の技。


これは良い技だ。


我の演出にも役立てそうである。


では、次は料理をするとしよう!





ふふ、驚くがいい。


今までの料理とは別次元に“ぱわーあっぷ”したのだ!


その秘密が我の二又の尻尾よ!


我は今までなんで思いつかなかったのか分からぬがまぁ良い。


この尻尾は細かく器用に動く。


子竜を持ち上げる力もあるし巻きつけることができるのだ。


細かいことができよう。


この事実に気付いたのは難易度の高い料理をしていた時、布を持ち上げ顔の汗を拭く尻尾の存在に驚いた時だ。


お主らで料理すれば良いではないか!


我の二又の尻尾もそう言われて震えておった。


それからというモノ、一つの尻尾が素材を持ち上げ、もう一つの尻尾が木の棒を突き刺す。


とても作業が“すむーず”になったのだ!


そして出来栄えも美しい!


今までは何処か肉を潰している所があったがそれもない!


まっすぐ綺麗に突き刺さったのよ!


そしてそれを地面に突き刺し、燃える布で焼くのだ。


我は初めてこれが出来た時、感動のあまり泣いてしもうたものよ。


これが“らいふはっく”かと。


さて、そんな大変な苦労のあった過去を振り返りつつ、我は“ぱわーあっぷ”した料理を披露しようぞ!


今日のご飯は鳥だ!


今日は遠征1日目。


我も子竜と一緒の飯を食うのだ。


ではまず火を灯し、鳥を氷の皿に乗せる。


そして─


─ガサ


「ウキキ!」


ぬ、あの時の猿か。


貴様らにはやらんぞ。


肉を食うか分からぬがな。


「キキ!」


なに!?


別の個体が我の用意した丁度いい木の棒を持って行きよった!


また悪戯(イタズラ)か!


「ピィ!」


なに!?


子竜が連れ去られておる!?


待て、貴様ら!


「ピィ〜!」


何処か楽しげな子竜の声にも聞こえるが許せぬ!


「ヒュイ!」


『氷結魔弾(アイスバレット)』!


「ウキ!?」


威力は最小にしてある。


仮にも子竜の友だ。


殺しはしないが、止まらぬならこちらもそれなりに考えがあるぞ。


「ヒュイ!」


『氷結魔弾(アイスバレット)』!


「ウギャ!?」


ふふ、我の技に当たり気絶し落ちよったわ。


「ピィ〜」


よしよし、大丈夫か子竜よ


ぬ、木の棒は何処へ。


「ウキキ!」


また別の個体か!


いいだろう。


貴様ら我の料理を邪魔する覚悟は出来ておるんだな。


あと何匹おるか分からぬが、覚悟するがいい!





「「「ウキキぃ〜」」」


まったく、ようやく取り返した頃にはすっかり日が暮れたではないか。


貴様ら、なんでこんなことをしたのだ。


「ウキ!」


「ウキキ!」


「ウキィ!」


・・・うぬ、分からぬ。


手をバタつかせたり足をバタつかせたり忙しない奴らだ。


ただ何かに苛立っておる様だ。


だがまぁ良い。


貴様ら如き猿の事など子竜がいなければどうでも良い。


それよりも料理だ。


ぬ?


料理していた場所の上に黒煙が立っておる。


しまった!


火を灯したままであった!


「ヒュイ!」


貴様らもついて来い!


貴様らのせいで火から目を離したのだぞ!


その惨状を貴様らもしっかり目に焼き付けよ!


「「「ウキキ!」」」





料理場に着いた。


だが、おかしい。


妙に良い香りがするのだ。


「ピィ〜!」


「ウキキ!」


な!?


そこには我に挨拶をしに来た猿と何かを頬張る子竜がいたのだ!


「ヒュイ!」


貴様、子竜に何を食わせた!


「ピ、ピィ!」


む、子竜、そこをどけ。


そいつから何を食わせたのか聞き出さなければ─なんだ?


子竜の尻尾に何か肉が刺さっておる。


それを我の前に差し出して来た。


「ピィ!」


む、食えと?


この様なよく分からない食べ物を我が?


「ピィ!」


ぬぅ、その目で見られると我は弱いのだ。


貴様、変な物入れておらぬだろうな。


「ウ、ウキキ!」


・・・まぁ良い。


先ほどから我が鼻腔をくすぐるこの匂いは恐らくこの目の前のもの。


・・・あむ。


!?


なんだこれは!?


口の中が爆発した!?


いや、これは肉汁か!


だが、この様な小さな肉など一体、いや、この

肉我の獲った鳥か!?


それにこの舌を刺激する味は、正体はなんだ!


「ウキキ!」


ええい!


貴様、我の表情で考えておることでも分かるのか!


鬱陶しい!


それより答えろ!


どの様にしてこれを作った!


「ウキ!」


これは、挨拶の時の粉か!


「ウキ!」


だがこの様に小さく肉を切るなどどの様にして─


「ウキ!」


そ、それは!


我の持つ鞄の様な物か!


小さな剣だ、刃も薄い。


だが、料理では大変役に立ちそうだ。


欲しい!


我も欲しいぞ!


「ウキキ!?」


ぬぅ、どこかへ仕舞うてしもうた。


奪うのは容易い。


容易いが、その様なことをすれば今も幸せそうに猿から食べさせてもらっている子竜に嫌われてしまう。


くぅ、致し方ない。


なんだ、望みを言え!


この様な美味い食に挨拶の時の我の失礼な態度の詫びだ!


我より料理に精通しているなど認めたくないが、褒美を取らせてやる!


「ウキキ!」


ふむ、手振りから見るに我の結晶、そしてなんだ。


「ウキキ!」


「ウキ!」


「ウキキキ!」


我の近くに住まうのか?


ぬぅ、だがもう少し離れて過ごせ。


我の目に映るか映らないかくらいの距離でならば許そう。


我は木々で隔たれた隣の広場へ氷を落としてみる。


あそこ程での距離でなら許すという事だが、伝わるか?


「「「「ウキキ!」」」」


大丈夫そうだ。


しかし奴め、あの様な物を持っておったり我を凌駕する料理を出したり、中々好かん。


これが“らいばる”という奴か。


奴の料理している姿を見て、その技を盗んでやろう。


このままじゃ終わらぬ。


絶対我は負けぬぞ、猿よ!

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