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語られるモノ  作者: 百目


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3/20

街灯

俺の家は入り組んだ先にあるんだ。

だから街灯もボチボチあって、

帰宅時はちょっとしたステージみたいでワクワクもした。


ただ一つだけ、

そう一つだけの街灯は何時も切れかかってて、

夜道のホラースポットみたいな感じがしたんだ。


そこに誰かが立ってたら、

コレはそれだけの話で終われるが、

そうにはなれなかった。


その日も変わらずに、

ずいぶん暗くなった日の帰り道。

疲れた体を引きずりながら、

とぼとぼ歩む俺は帰宅していた。


疲れからだろうか。

どこか焦る俺は早めに鍵を準備して、

ちょうどホラースポットでうっかり鍵を落としてしまった。


最悪だ、落とした音で何となく場所は分かる。

だが、このパチパチ切れる街灯で屈む体勢には抵抗があったんだ。


本能か何なのか、怖かったよりは、

危機感の方が上回っていたが。

ここで駄々を捏ねても何も始まらない。


僅か数秒で覚悟を決めて、

いざ屈む体勢になった時。

プツンと暗闇が俺を覆った、

そして次に明るくなった時、

俺は冷や汗が一気に溢れて来た。


だって屈んた視線の少し上に、

人の足が、いや靴が綺麗に並んでたのだから。

何が何で?俺の硬直は先程の数秒と同じくらい経ってただろう、

しかし先程よりも酷く疲れる数秒だったのは確かだった。


そして何より恐ろしかったのは、

靴だけだ。靴だけが並んでたんだ。

しかし勿論俺は、屈むまでそんな靴を見てなかった。

いくら疲れててもそんな事はあるはず無い。

でも靴はあった、しかも綺麗に並んで。

パニックではあったが直ぐに鍵を見付け拾い上げ。

俺はそそくさと家に帰る事にしたんだ。


次の日は休みで、

俺は俺の中の答え合わせを急いでた。

現場の再確認は勿論、似た様な話はないかと思い色々調べた。

でも奇妙な程に同じ話や、

それっぽい話が見当たらなかったんだ。


あの日から、

俺は暗闇が明るくなるのが怖くなった。

特に疲れてる時の足元は目を逸らしてる気がするんだ。

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