街灯
俺の家は入り組んだ先にあるんだ。
だから街灯もボチボチあって、
帰宅時はちょっとしたステージみたいでワクワクもした。
ただ一つだけ、
そう一つだけの街灯は何時も切れかかってて、
夜道のホラースポットみたいな感じがしたんだ。
そこに誰かが立ってたら、
コレはそれだけの話で終われるが、
そうにはなれなかった。
その日も変わらずに、
ずいぶん暗くなった日の帰り道。
疲れた体を引きずりながら、
とぼとぼ歩む俺は帰宅していた。
疲れからだろうか。
どこか焦る俺は早めに鍵を準備して、
ちょうどホラースポットでうっかり鍵を落としてしまった。
最悪だ、落とした音で何となく場所は分かる。
だが、このパチパチ切れる街灯で屈む体勢には抵抗があったんだ。
本能か何なのか、怖かったよりは、
危機感の方が上回っていたが。
ここで駄々を捏ねても何も始まらない。
僅か数秒で覚悟を決めて、
いざ屈む体勢になった時。
プツンと暗闇が俺を覆った、
そして次に明るくなった時、
俺は冷や汗が一気に溢れて来た。
だって屈んた視線の少し上に、
人の足が、いや靴が綺麗に並んでたのだから。
何が何で?俺の硬直は先程の数秒と同じくらい経ってただろう、
しかし先程よりも酷く疲れる数秒だったのは確かだった。
そして何より恐ろしかったのは、
靴だけだ。靴だけが並んでたんだ。
しかし勿論俺は、屈むまでそんな靴を見てなかった。
いくら疲れててもそんな事はあるはず無い。
でも靴はあった、しかも綺麗に並んで。
パニックではあったが直ぐに鍵を見付け拾い上げ。
俺はそそくさと家に帰る事にしたんだ。
次の日は休みで、
俺は俺の中の答え合わせを急いでた。
現場の再確認は勿論、似た様な話はないかと思い色々調べた。
でも奇妙な程に同じ話や、
それっぽい話が見当たらなかったんだ。
あの日から、
俺は暗闇が明るくなるのが怖くなった。
特に疲れてる時の足元は目を逸らしてる気がするんだ。




