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語られるモノ  作者: 百目


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16/20

メール

メールで俺は昔奇妙な習慣をしてました。

1日1回自分に対してメールをしてたんだ。


メモ帳みたいな、日記みたいな、

そんなルーティンで俺の1日は始まるんだよね。


色々と利点はあって、

忘れたくない事やリンク先のサイトを何気なく残す様な、

絶妙な距離感で1日の思い出をメールに閉じてたんだ。


誰にも邪魔されないから、

色々更に変な拘りを持って。

普段あまり誰にも言えない事なんかも書いてた記憶があるよ。


だからか俺は俺である自信が無くなった時があるんだな。


普段何気なく書いてたつもりの文章が、

誰だこいつ?ってなるのがちょこちょこあったんだ。


記憶に全く無い事は無いんだが、

普段絶対そんな口調を使わないのにたまにポロっとそんな文章があるんだよ。


そう言った時の受け取り方も独特で、

何か無理して俺の真似してないか?みたいな苦い言い方をしてるのが覚えてる。


まあそう、今ではもう止めた。

その奇妙な文章は日に日に、俺が絶対譲れない事をちょこちょこ姑息にすり替えようとするんだよ。


何かさ、怖いよりも呆れたよ。

そりゃ生きてればツライ事やどうしようもない事の一つや二つ出て来るさ。

でもさ、身に覚えが無いからってそんな言葉が出て来る時点で俺にはこのメールの価値は無くなったんだな。勿論単純に気持ち悪いとも思ったが。


その後にAIとか言うお喋りさんが出た時も、

何か似た様なニュアンスを感じたな。


でも話はここから確信的になるんだよ、

何気ないルーティンが無くなるのは割とストレスになっちゃうんだよね。

だから我ながらどっか見栄のある、

手帳を買っちゃったんだよね。


そしたらさ、全く奇妙な事は何一つ無かったんだ。

元々そう言った癖みたいな所があるのかと思ってたけど絶対そんな事はなかった。


何が違うかと考えれば。

記入方法ぐらいか、普段何気ない文字の使い方がペンかボタンか、まあスマホなら画面ペチペチしてるだけで、ずいぶん違うとは感じたな。


今はこの手帳が俺らしいとは感じるよ、

しかしだ、しかしもしあのまま自分にメールを続けてたら。

どうなってしまうのか分からなく、

怖いって思っちゃったんだよね。

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