85 最終フェーズ
それから俺は自分の名前と所属をエルフリーデに言った。
「ニュードラグーン連邦国? 聞いたことない名前だねぇ。ドラグーンの血筋かい?」
そうエルフリーデは不思議そうに聞いてくる。
「たぶん……。そこに寝ているファブリスがドラグーン家の人間だって言ってたんで」
「アタシの頃はドラゴン平和連邦っていう国があったと思うんだけど話を聞いてるかぎり無くなっちゃったのかい?」
俺はそれに頷いた。
「そうかい……。ところでまだアタシはアンタがここに来た理由をまだ聞いてないんだけど」
「ああ、すみません。実はそこのバカが勝手に行方不明になりましてここまではるばる探しにきたんですけど記憶喪失になっていて、あなたに記憶を消されたのかと……」
「ちょっと待って。アタシが記憶を消した? アタシはそんなことやってないよ?」
「え?」
俺はその言葉に硬直する。
この人が記憶を消していないとすれば一体誰がファブリスの記憶を……?
「アンタ、もしかしてあのクソ女神にここまで送られたりしなかったかい?」
「はい。しましたけど」
俺がそう返すとエルフリーデは大きくため息をついた。
え? なに? なんかやっちゃった?
「たぶん、記憶消したのあのクソ女神だよ」
予想外の言葉に俺は目を見開く。
「いやぁアタシもアイツに追放されちゃったんだよねー」
「へ、へぇ……」
あんのクソ女神!
図ったな! シ〇アじゃないけど!
その時、寝言を言いながらファブリスが起き上がった。
「まぁ、いつかは記憶戻ると思うから心配しなくて大丈夫だと思うけどね」
と、エルフリーデは小声で言ってくる。
俺はそれに微笑んで感謝の意思を伝えた。
それからしばらく三人で色んな話を30分ほどしてから俺たちは家を出た。
よし、あっちに帰ったらまずはクソ女神をぶっ殺そう。
と、その時。
目の前のアスファルトが円を描いて輝きそれが俺たちと同じ高さまで伸びた。
そしてその光が消えると、そこには一人のメイドがいた。
これよりすこし前。
例のクソ女神は天にいた。
「照山さん」
そうクソ女神が言うと彼女の目の前に一人のメイドが現れる。
「お呼びでしょうか、トルスマン様」
このメイドは十二賢人の一人で、NO.2の『語るもの』を持つ人物でクソ女神にホイットニーの監視役としてドラゴナイトに送られたことがあるほどの実力者だ。
ちなみにメイド服を着ているのはクソ女神の趣味である。
「『千年越しの悪夢』の最終フェーズに移行します。あなたも準備を進めてください」
「了解しました」
そう言うとメイドは口のなかでなにかを呟き、どこかへと消えてしまった。
それを黙ってクソ女神は見送る。
(絶対にこれだけは失敗してはいけません。あの先代の創った世界を超える世界……完全無欠の素晴らしき世界を創るためには……!)
そう固く決意しクソ女神は再び天界から下界の様子を見始めた。




