77 俺の妹
しばらく一週間ほど投稿はお休みです。
詳しくは活動報告に書いています。
お昼休み。
俺は教室で本を読んでいた。
この本はいつもあっちの世界で読んでいた本だ。
「……さん。枢木さん」
俺は声に気づいてその方向を見た。
そこには髪を後ろで束ねている少女がいた。
「はじめまして。私、境田ゆかりって言うの。よろしくね」
俺は彼女の顔を見る。
なんか見覚えがあると思ったらユカか……
ユカというのは俺の妹のあだ名だ。
「よろしくお願いします……」
俺はそう返事をすると握手をするために手を差し出す。
しかしそれをゆかりは、はたいてしまった。
そしてゆっくりと顔に近づく。
彼女は俺の顔の横で静止するとボソッと呟いた。
「(勘違いしてんじゃねぇんだよ。別にアタシはアンタと仲良くしたいんじゃない。ただ黒宮君の近くから消えてもらいたいだけなんだよね)」
「…………」
・・・
こいつ、性格変わってねぇ……!
俺はユカの性格の悪さに驚いていた。
その反面、呆れる自分もいた。
ユカは昔からこういう風に人に暴言を吐いたり、暴力を振るうことがあった。
しかし……まさか高校生にまでなって性格が変わっていなかったとは……
俺は立ち去っていくユカを見送ると再び本を読み始めた。
しかしすぐにチャイムが鳴りそんなに本が読めなかった。
俺は本に栞を挟む。
この栞はフレイヤに最初に会ったときにくれた花を押し花にしてつくった栞だ。
いまではお守りのようなものである。
俺は懐かしい思い出を振り返りながら次の授業の準備を始めた。
その後もユカによる嫌がらせは続いた。
恐らくユカはあいつのことが好きなのだろうが、俺という存在が邪魔であるようである。
非常に厄介なことに巻き込まれたと俺は顔をしかめる。
俺はただファブリスの記憶を取り戻したいだけなのに、なんでこんなことに……
あのクソモテ男が!
と、俺は心のなかで彼に八つ当たりした。
そもそも勝手に龍神になろうとするから悪いんだ。
ったく……俺たちだって心配してるんだから……
そう……心配…………
俺は唐突にあのファブリスが泣いていた日のことを思い出した。
「ばっばばば……!」
俺は顔を赤面させる。
そして今度は声に出して「あいつが全部悪い」と呟いた。
ちなみに彼女からやられた嫌がらせは具体的に上履きを隠される、なにかが消えていて次の日にゴミ箱にぶちこんである、それから椅子が消えている、などだった。
一番最後はちょっと意味わからないがどれも困ることに違いはない。
先生にも一応言ったがあまり効果はないようだ。
俺はそれらの行動を無視していたが、ついに俺をキレさせる出来事が起こった。
ある日、俺が机に戻ると俺の栞がビリビリに破かれていたのだ。
俺はこれに大いにショックを受けその場で固まった。
そこにユカが現れる。
「あれれぇー?壊れちゃったのぉ?ざーんねん!」
そう言ってバカにしてくる。
俺はさすがに堪忍袋の緒が切れてユカにむかって大声で怒鳴った。
「あなたがやったんですか!?」
俺はなんとか『俺』という単語を出さないように心を静める。
「さぁ?どうでしょう?たとえ私だとしても証拠がないからねぇ」
「ぐっ……」
そうだ。
彼女がやったという証拠は一切ない。
「じゃーあ、勝負をしましょう」
ユカが突然そんなことを言ってくる。
「勝負?」
「はい。私が勝ったらなんでもしてもらう。枢木さんが勝ったら私が認める。これでどう?」
「……いいでしょう。その勝負とは?」
俺がそう質問するとユカは元気よくその言葉を言った。
「剣道よ!」




