65 レクイエムの空と海
「さぁどうぞ」
俺はアリスの父に促されて椅子に座った。
この部屋は出入口が厳重に警備されていて誰かに聞かれる心配もない。
「ところでなのですが、ルーナ様は先程ニュードラグーン連邦国非正規特殊部隊11の隊長だと申しましたが主にどんなことを?」
アーサーが俺に控えめに聞いてくる。
恐らくアーサーは俺たちがアンフィスバエナの軍隊をボコったことを聞いたのだろう。
そう予測しながら俺は真顔で問いに答えた。
「普段はただダラダラとしているんですけど、国王から依頼が来たときだけ戦います」
「なるほど……。ちなみにここへはなにをしに?アリスの話によると、ここへはなにか目的があって来たとのことですが」
そう尋ねられると俺はファブリスのことを思い出した。
こんなところでゆっくりしている暇はない。
「ここには龍神がいた場所だと聞いて訪れたのですが、なにか知りませんか?」
「龍神ですか……」
アーサーはすこし考えると再び口を開いた。
「いいでしょう。話します。ここにはたしかに龍神がいました。彼は約2000年前にいたと言われています。我々は彼を信仰して神殿をつくりました。しかし彼はそのことになぜか激怒して壊してしまいました。それから彼の消息はわかっていません。人によれば海を渡ってどこかへと行ってしまったそうですが真相はよくわかっていません。これが私の持っている情報のすべてです」
そう言うと「力になれなくて申し訳ございません」と謝る。
「いえいえ」
俺が首を振るとアーサーは「申し訳ない」と再び謝った。
「このあとはなにかやることはあるのですか?」
アーサーが俺に尋ねる。
「これからは龍神の調査をするつもりです」
そう言うと二人はすこし寂しそうな顔をした。
「もう帰るの?」
アリスが上目遣いで言ってくる。
しかしファブリスのためにもここからは立ち去らなければいけない。
俺はアリスに頷いた。
「またいつか会えますよ」
「本当に?」
「はい」
そう言って俺は悲しそうな顔をする彼女の頭を撫でた。
「それでは」
俺はアーサーに挨拶すると部屋から出ていく。
その後は部下の人に案内されて城の外まで歩いた。
涼しい風が俺を横ぎっていく。
俺は手がかりを見つけるために街を歩くことにした。
ブルーハーバーは西洋風の海辺の街でかなり坂が多かった。
空は澄み渡るほど青く、海は宝石のように美しい。
俺としてはこんなところに住んでみたいと思えるような街だった。
空を一匹のワイバーンが飛んでいく。
その光景はまるでひとつの絵のようだ。
俺は海を眺めながら龍神のいた街で共通することを考えていた。
アーサーは龍神が神殿を壊したと言っていた。
なんで龍神は神殿をつくったことに怒って壊したのだろう……?
恐らく前の二つも同じ理由で街が壊されたのだと俺は思う。
だけど神殿を壊す理由がよくわからない。
俺は、まぁいいと思考を止める。
「さて、行きますか!」
俺は伸びをすると空にむかって飛び立った。
次の目的地はフリオン。
別名、幻の島である。




