64 レクイエムのお姫様
そのモゾモゾと動く袋の上を開ける。
そこには金色の髪をした少女がいた。
「ぷっはぁ!苦しかった……」
少女は苦しそうに呼吸をする。
その呼吸が落ち着いてくると俺に尋ねてきた。
「あなたは誰?まさか誘拐犯じゃないでしょうね?」
そう言って軽く睨んできた。
「私はあなたを助けた通りすがりの者ですよ。ルーナと申します。あなたは?」
「私はアリス=レクイエム。ワイバーンの姫だ」
「へぇ……お姫様……」
・・・
!?
「お姫様!?」
「はい。そうですがなにか?」
少女は真顔で不思議そうに聞いてくる。
「そんなお姫様がなんでここに……?」
俺がそう聞くと一瞬、悲しそうな顔をしてアリスは言った。
「学校帰りに誘拐された」
そんなことあるぅ!?
俺が色々と混乱しているとアリスが馬車から飛び降りた。
「よいしょっと。すみません、ブルーハーバーはどちらの方向ですか?」
アリスが困った様子で聞いてくる。
「私もこれからブルーハーバーに行くので、お供しましょうか?」
そう聞くとアリスはコクリと頷いた。
俺はそれを確認すると馬車から飛び降りた。
女神様、ブルーハーバーまでの地図を出して。
すると目の前に地図が浮かび上がってくる。
「アリスさんは自分で飛べますか?」
「飛べる」
「わかりました。では私についてきてください」
そう言って俺は浮上した。
アリスも俺のあとをついてくる。
それから俺とアリスは色々なことを話し合った。
例えばアリスの兄弟についてとか、親についてとかだ。
親も兄弟も優しい上に末っ子だからこんなわがままな性格になってしまったのだと言っていた。
「大丈夫ですよ。自分のことがきちんと理解できているならあなたは変われます」
俺がそう言うとアリスが真顔で聞いてくる。
「本当に変われる?」
「もちろんです」
俺は大きく頷く。
その時、アリスがなにかに気づいて「あっ」と声をあげる。
俺がその方向を見ると遠くのほうに海が広がっており、海辺には街があった。
そしてその真ん中には城がある。
俺たちはその城にむかって加速した。
そしてその城の門の前でアリスを返そうとしたのだが……
「そうだ!あなたも来なさいよ。私を助けてくれたお礼として招待してあげる」
そう言うと俺の意思関係なく手を引っ張っていく。
「ちょっ……」
しばらく歩かせれるととある部屋の前まで来た。
そしてその扉をバーンッと大きな音をたててアリスが開いた。
「ただいま戻りましたッ!」
部屋のなかにいた者はその音の大きさに耳を塞ぎながらも姫の帰還を喜んでいた。
走ってこちらに来る影がある。
「大丈夫だったか!?アリス!」
「お父様!」
そう言ってアリスと、その父らしき人物が抱き合う。
「そこの方は?」
アリスの父が俺のことを見てくる。
「私を助けてくれたルーナさん」
アリスから説明を聞くと慌てて俺に頭を下げる。
「はじめまして。私、レクイエムの国王でアーサー=レクイエムと申します」
「私はニュードラグーン連邦国非正規特殊部隊11隊長、ルーナと申します」
俺の自己紹介にアリスの父が眉をひそめる。
まわりもざわついている様子だ。
「さぁ、こちらで話しましょうか」
そう言ってアリスの父は俺を別室に連れて行った。




