63 リレイア
みなさんへ
身勝手な私の行動をどうかお許しください。
私はこれからファブリスさんのことを探しに行きます。
しばらく戻れないので留守を頼みます。
そう書かれている書置きを見てフェルナンドとセレスティアはため息をついた。
「まさかルーナさんまで……」
とフェルナンド。
「しかも探しに行くって……」
セレスティアが呆れながらそう言う。
「まぁルーナさんならやりかねないね」
フェルナンドはそう言いながら前にあった出来事を思い出していた。
あれはルーナとフェルナンドが最初に会ったときのことだった。
あれは二人を襲おうとした暗殺者をルーナが情報を吐き出させたあとに殺したのだ。
それはフェルナンドにルーナは躊躇なく人を殺すという怖い人だと思わせた。
だがしばらくすると人を助けたり、優しくしたりできる人だと気づいたのだ。
そして人のためなら自分はなんでもできる人だということにも気づいた。
だったら今回、自分の兄を探しに行ったのも不自然ではない。
できるならルーナに兄を見つけてほしい。
そう思いながらフェルナンドは窓の外を眺めていた。
ダークマターにて。
俺はテントのなかでお茶を飲みながら休んでいた。
素晴らしいことにこのテントは全自動で料理を出してくれる。
そのため、俺は自分でお茶を入れる必要もなくただ休んでいた。
そもそもダークマターで休んでいるのは雨が降ってしまったためだ。
雨のなかを飛ぶのはバランスが崩れる可能性があり、自殺行為に近い。
だから俺はこうして仕方なくゆっくりと休んでいるのだ。
「あ。そうだ」
俺はふとペンと紙を取った。
そして紙にペンを走らせていく。
俺が書いているのはダークマターの特徴だ。
今後、ファブリスの手がかりを掴むための材料になるかもしれない。
そう思ってひたすら書き続ける。
メモを書き終わったころにはもう雨は止んでいた。
俺はテントから飛び出す。
空には虹がかかっていてとても綺麗だった。
俺はテントを『空納』のなかに収納すると再び空にむかって飛び立つ。
ダークマターのまわりには森が広がっていたがしばらく飛んでいると森が消え、砂漠が現れた。
どこまでも続きそうなほど広かったが目的地は意外とはやく現れた。
砂漠にひとつの街がある。
これが砂漠のオアシス、リレイアだ。
俺はゆっくりと降りる。
しかし女神様から聞いた話より随分と酷かった。
街は街でも、ダークマターのように人がほとんどいなかった。
ここもすぐに立ち去ることになりそうだ。
そう思いながら俺は道を歩き続ける。
ダークマターと共通しているのは既に衰退している都市だということだ。
そしてここにもダークマターのように大きな神殿の跡地がある。
つまり、どこの都市でも龍神は信仰されてきたということか?
俺は適当に答えを出す。
その時、俺は前から馬車?のようなものが来ているのに気付いた。
しかしこの砂漠を馬車で来るのはさぞかし大変だっただろうになぜ馬車でなんか……
馬車が急停止する。
するとなかから誰かが出てきた。
「おい、そこの女!」
その人物は俺に話しかけてきた。
もう一人、なかから出てくる。
二人はゴニョゴニョと小声で話し合い始めた。
はやくしろよ……
俺がイラついていると話し合いが終わったみたいでこっちに顔をむけてきた。
そして俺に近づいてくる。
俺が不審に思っているとそいつが俺の手首を縛った。
「なにするんだ!」
俺が怒鳴るとそいつが答えてきた。
「お前はいい商品になる。俺たちのために来い」
そう言って俺のことをジロジロと見てくる。
俺はキレて『変形刃』で糸を切断。
そして男たちを刀で瞬殺する。
醜い肉片と化した男たちの近くを横ぎり馬車を見るとそこにはもぞもぞと動いている袋があった。




