60 行方不明
ドラゴナイトの大将はニュードラグーン連邦国に降伏した。
国王は俺が目撃したように側近とともに逃亡。
その後の行方はわかっていない。
ファブリスはドラゴナイトの責任者に第一軍の副団長、ドラグーンの責任者に第二軍の副団長を命じてこれらの都市を支配下に置いた。
このようにして俺たちのもとに平和が戻ってきた。
ファブリスの怪我も完治しいつも通りの毎日を送れている。
「おかえりー!」
フレイヤが俺に抱き着いてくる。
「ただいま」
俺はそう言ってフレイヤを抱きしめた。
中身が男だから心配になる人もいるだろうが、フレイヤと俺たちは姉妹のような仲でこういう行為はよくある。
「ねぇねぇ、どこに行ってたの?」
フレイヤに上目遣いで尋ねられる。
「旅行をしに近くの国に行ってた」
「ふーん」
そう興味なさそうに言うフレイヤの尻尾は犬のように勢いよく振られていた。
「ルーナさんズルい!私も!」
フェルナンドがフレイヤに抱き着く。
それと同時にフレイヤの頬に自分の頬をすり始めた。
「わぁ!くすぐったいよぉ」
フレイヤは楽しそうに声を上げる。
俺はそれを笑顔で見ながら自分の部屋に戻ろうとした。
その時、俺の目の前に魔法陣が展開される。
俺が驚いているとそこからファブリスが出てきた。
俺は一瞬、この間のことを思い出したが何事もなかったようにファブリスに話しかけた。
「おかえりなさい。どこに行ってたの?」
「ただいま。ドラグーンにある秘密の図書館に行ってた。ちょっと調べたいことがあってな」
「そう……」
なにを調べていたのだろうと不思議に思いながら俺は自分の部屋に戻る。
ファブリスも自分の部屋の扉を開けてなかに入った。
これが彼を最後に見た瞬間だった。
一週間後。
俺たちの屋敷にはファブリスの姿はおらず、その代わりに国の主要メンバーが応接間にいた。
そしてみんな重苦しい雰囲気に包まれている。
「国王代理は妹である私が務めます」
そうフェルナンドが言うとみんな頷いた。
「きっとすぐに戻ってきますよ。ねぇ?そう思いますよね?」
テイラーが場を和ませようと口を開く。
だがその言葉に反応する者は誰一人としていなかった。
その理由は簡単だ。
絶対に彼が戻ってくる保障がないからだ。
百パーセント戻ってくる可能性があるならいい。
だけど彼は書置きさえも残さず、どこかに行ってしまったのだ。
ふとドラゴナイトの国王の言っていたことを思い出す。
彼はファブリスの目的が龍神になることだと言った。
ならばファブリスは龍神になるためになにかをしに行ったのではないだろうか?
俺は頭のなかでそう仮説を立てる。
なぜそこまで龍神になることに執着するのか意味がわからない。
そう思いながらも俺はファブリスのことが心配だった。
実際はドラゴナイトの残党に殺されたんじゃないか?それとも暗殺者に殺されたりとか……
今すぐにでもファブリスのところに行かなければならない。
そう思うと自然に俺は席を立つ。
口が開くよりもからだが動くほうが速かった。
「いまからファブリスのことを探してきます」
そう言って俺は街に駆け出した。




