59 報告
たった一日で俺たちはドラゴナイトを制圧することに成功した。
そのことを直接、ファブリスに報告するために俺は家に帰っていた。
だが……
「なにが……?」
俺はその光景を見て絶句する。
ファブリスはベッドに横たわっていた。
そしてその横にはフェルナンドとセレスティアがいる。
ここまでは普通だ。
あくまでここまではだが。
「うぅ……」
そのうめき声で俺は我に返った。
そこに見えているが現実なのか何度も確認するが現実のようだ。
俺は意を決してしっかりと、横たわる彼のことを見る。
そこにいたのは怪我を負って包帯を巻かれているファブリスだった。
フェルナンドがこちらを向いて説明してくれる。
「お兄ちゃん、実はドラゴナイトの国王のところに乗り込んでいって勝負を挑んだの。それがこの有様」
「そんな……」
まさか戦争をするなんて言ったのは、敵軍の注意を俺たちに引き寄せるため……?
俺はファブリスに近寄っていく。
セレスティアが席を譲ってくれたのでその席に座ると俺はファブリスの手を握った。
「あとは安静にしていれば大丈夫なはずです。私はこれで」
セレスティアがそう言うと二人は部屋から出ていく。
しばらくするとファブリスが目を覚ました。
「あぁ……ルーナか……」
ファブリスが弱々しい声で俺の名前を呼ぶ。
「今日はドラゴナイトとドラグーンを制圧してきたよ。ドラゴナイトのほうは11のみんなに任せてある」
「そうか……」
そう言って長い呼吸を吐く。
「なぁ、なんであんなことしたんだ?」
俺は思いっ切ってファブリスに聞いた。
「あんなこと?あれはな……いてて」
ファブリスが起き上がろうとして体を痛める。
「無理をするな」
俺はそう言ってファブリスを押さえつけた。
「はぁ……今日、あいつのところに行ったのはあることをするためだ」
「あること?」
それはドラゴナイトの国王が言っていたことだろうか?
「俺は龍神になりたい。そのためには同じ龍神の加護を持つあいつを殺すことが一番だと俺は思ってた。だけど違ったんだ。あいつは俺なんかよりも龍神に近づくための方法を研究していた。それで俺はあいつにやられて……」
なにか心にくるものがあったのかファブリスは涙混じりに語る。
「そして知ったんだ。俺は龍神なんかになれないって。俺は……俺は……」
涙混じりにそう語るファブリスはどこか悔しそうで悲しそうでもあった。
なんかこんな顔見ていると俺まで悲しくなってくるな……
そう思っているとファブリスの顔に吸い込まれる気がした。
そして無意識にファブリスの額に……
ファブリスが目を見開く。
俺は自分がしたことに驚き、ファブリスから急いで離れる。
「ルーナ、さん?……こ、これは?」
ファブリスが赤面しながら聞いてくる。
俺はもはやファブリスのことを直視できなかった。
「こ、これは……その……別に好きとかというわけじゃなくて……」
え?俺なにした?
おかしい。なにかがおかしい。
いつもの俺じゃない。
いつもはもっと普通に接していたのに突然なんか……
その後、俺たちはしばらく恥ずかしさのあまりお互いに話しかけることができなかった。




