45 パーティーでの出来事②
俺はファブリスにリードされながら広場の真ん中で踊っていた。
いつしか広場で踊っているのは俺たちだけとなって他の人たちは俺たちを眺めている。
俺は踊りながらファブリスに話しかけた。
「なぁファブリス」
「なんだ?」
「こないだのことなんだけどさ、あの時はごめんな」
俺はその場でターンする。
「いや、あれは俺が悪かった。こちらこそごめん」
俺とファブリスの顔が急接近した。
「俺が蹴っちゃったところ……痛くないか?」
「さっきまで痛かったけどお前の顔を見たら治っちまった」
そう言うとファブリスはニヤリと笑った。
俺の頬がすこし赤くなる。
「お前って本当にお調子者だよな」
「そうかな?」
俺とファブリスは踊り続ける。
そして曲が終わったときには他の人たちの拍手が鳴りやまなかった。
その様子をエヴェリンとナディーヌが遠くから見ている。
「団長ってあんな風に女の子っぽくなれるんだね。いつもは男みたいなのに」
「団長だって女の人なんですから……。でもずっとあんなかんじでいてほしいですよね」
「だな」
そう言ってエヴェリンは手元のグラスに入っているワインを飲んだ。
「しっかしこの服、重くて気持ち悪いんだよなぁ」
「仕方ないではありませんか。大事な式典だったんですから」
「そりゃあそうだけどさぁ」
どうやらエヴェリンはこういう服装が嫌いなようである。
ナディーヌは話題を変えることにした。
「そういえば国王様が軍の他に新しい部隊をつくるって言ってましたよね?」
「ああ11ってやつ?」
「はい」
11とはルーナが隊長を務めることになっている非正規特殊部隊だ。
しかしそのメンバーは発表されていない。
ちなみにその名前の由来はルーナの裏称号であるNO.11だ。
「あれって国のほうから選抜されるメンバー以外は募集されるんでしょ?」
「あの部隊に選抜されるメンバーって一体誰なんでしょうね」
「さあ?アルバートの爺さんは確定じゃない?あと団長も」
「私はエヴェリンさんも選ばれると思いますよ?」
「まさか」
そんなはずはないとエヴェリンは笑って否定する。
「だって私は前の戦争でそんなに活躍しなかったんだよ?」
「それを言ったら私だってただ治癒魔法をかけていただけです」
二人が静寂に包まれる。
それを破ったのは二人とは違う第三者だった。
「エヴェリン!ナディーヌさんも!」
「団長!」
そこに来たのはルーナ、つまり俺だった。
その横にはファブリスもいる。
俺は二人に話しかける。
「なにを話していたんだ?二人とも」
「11に誰が選ばれるかナディーヌさんと話してた」
エヴェリンが答える。
「11か。なぁファブリス、あの事を言っていい?」
俺がファブリスに尋ねるとファブリスはコクリと頷いた。
それを確認すると俺は小声で二人に話しかけた。
「(実はな、メンバーはもう決まってるんだ)」
そう、11のメンバーはもう決まっていた。
それは元々、第七軍だったみんなだ。
それを二人に伝えると……
「(そうなの!?じゃあ募集するって言ったのは?)」
「(それは11のメンバーが病気とか、ケガしたりした時に変わりに入ってもらうんだよ。要は補欠だ)」
「「なるほど……」」
どうやら二人に納得してもらえたようだ。
その後、俺は二人に色々と質問されたのだが途中でファブリスに連れだされてしまったので詳しく教えてあげることができなかった。




