43 ニュードラグーン連邦国と初キス
俺たちはその後、蜥蜴人とムシュフシュが傘下に入ることを前提に国をつくる準備を始めた。
首都はもちろんニュードラグーンである。
国は基本的に3つの地方に分かれていて、ニュードラグーン地方、フレア地方、そして蜥蜴人のネクスト地方の3つに分かれている。
それぞれの地方を知事が統治し、王はそれを束ねる。
フレアの知事はムシュフシュの長のハインリヒ=ドハーティ、ネクストの知事は蜥蜴人族の長のイェレミアス=ジェンキンス、そしてニュードラグーンの知事は獣人の長老であるトゥオマス=マーティンが務めることになった。
そして国王にはファブリスが就任する。
軍は第一軍、第二軍、第三軍をそれぞれの地方に配置。
万が一のためにすべての軍人は最高レベルを維持させることにした。
「俺はこれらに加えて非正規部隊をつくりたい」
「非正規部隊?なんですかそれは」
ハインリヒがファブリスに尋ねる。
「約30人程度で構成される先鋭部隊のことだ。そしてそれをルーナ、お前に預けたい」
「私に?」
「ああ」
俺が驚いているとハインリヒが異議を唱えた。
「そちらのお嬢さんはあなたの恋人なのでしょう?それなのにそんな部隊の隊長に任命していいのですか?」
「俺も心配だ。だけどルーナにはそれを覆すほどの力がある。お前も見ただろう?あの強さを」
「ぐっ…!」
まだ不満があるようだったがハインリヒは黙ってそれに従った。
どうやらレディーは戦場に行かせたくないらしい。
だが俺はその部隊の隊長になることを了承した。
「最後に国の名前だがなにかいいのはないか?」
ファブリスがそう尋ねるとみんな黙ってしまった。
国の名前は最重要案件だ。
普通はそんなにはやく決められない。
「あの…」
俺が控えめに手を挙げる。
みんなの視線が俺に集中した。
「ニュードラグーン連邦国というのはどうでしょうか?」
「ニュードラグーン連邦国か……。悪くない。お前らはどう思う」
「いいんじゃないでしょうか」「同感です」
どうやらみんなは俺の考えた国の名前を気に入ってくれたようだ。
俺はほっと息をつく。
「ロザリア、できたか?」
「はい」
いきなり後ろから声がした。
驚いて振り返るとそこには秘書のようにテキパキ仕事をしているロザリアの姿があった。
いつの間に…!
さっきのファブリスに抱き着いたところも見られたかと思うと恥ずかしくなった。
ロザリアがハインリヒとイェレミアスの前に作ったばかりの誓約書を置く。
三人がそこにサインするとロザリアはどこかへと消えてしまった。
ああいうのをキャリアウーマンというのだろうな。
「ではそろそろ私たちは帰らせていただきます」
「ああ、また来いよ?」
「はい。では失礼します」
そう言うと二人は移動短縮魔法で自分たちの領地へと戻っていった。
「おいルーナ」
「なんだ?」
俺がなにかあったかというようにファブリスの顔を見る。
「そろそろ、離れてくれないか?」
「あっ」
俺は掴んでいたファブリスの腕を急いで放す。
「ご、ごめん!」
「いや、いいんだ」
俺はその場から離れようとする。
その時、俺の腕をファブリスが掴んだ。
俺がファブリスに振り返ると俺にファブリスの腕が伸びてくる。
そしてその手が俺の顎をクイッと上げた。
俺とファブリスの視線が合う。
「あ……」
「お前、可愛いな」
そう言ってファブリスが顔を近付かせてきた。
そして唇と唇が……
「がはっ」
重ならなかった。
俺の足がファブリスの腹に食い込んでいる。
「そんな簡単に初キスを奪われてたまるものか」
そう言い残して俺はその場から立ち去っていった。




