41 救出
俺と杉浦が接触した数日後。
俺とファブリスはドラグーンの城に潜り込んでいた。
「(なあ、本当にやるのか?)」
俺は小声でファブリスに話しかける。
「(やるに決まってるだろ。はやく親父とお袋を助けてあげないと!)」
「(まぁそう焦るなよ)」
俺たちはいま、ファブリスの監禁されている部屋の前にいる。
その目的は他ならぬファブリスの両親の救出だ。
しかし救出するためにはひとつの問題をクリアしなけれいかなかった。
それは見張り番である。
これを突破しなければなにも始まらない。
俺とファブリスはまわりを警戒しながらドアをノックした。
これで見張り番が外に出てくるはずだ。
ドアノブが回転するのを確認すると俺は出てきた見張り番を『蜘蛛の糸』でぐるぐる巻きにした。
「んん!むぐぅ!」
見張り番が暴れるが口を塞いでいるので誰かに聞かれる心配はない。
俺は念のため見張り番の首を手刀で叩き、昏倒させる。
「だ、誰だ!」
「俺だ。親父」
ファブリスが二人にむかって歩いていく。
「ファブリスか……。そして『千年越しの悪夢』様も」
「『千年越しの悪夢』という風に呼ぶのはできればやめていただきたいのですが…」
俺がそう言うとファブリスの父親は失礼いたしました、と俺に謝罪した。
「さあ親父、お袋、逃げるぞ」
「どこに?」
ファブリスの母親が俺たちに問いかける。
その質問に答えたのはファブリスだった。
「俺たちの街、ニュードラグーンだよ」
そう言うとファブリスは移動短縮魔法の魔法陣を展開させた。
そして両親と俺を連れて魔法陣に入っていく。
魔法陣を抜けるともう見慣れたニュードラグーンの商店街が見えた。
ファブリスの両親は呆気にとられてその街を見ていた。
しばらくするとファブリスが二人に話しかける。
「まだ親父たちの家を用意してないから今日は家に泊まるといいよ」
「いや、遠慮しておく。その代わりにどこかに小さい家はないか?もう俺たちは年寄りだし、大きいと不便なんだ」
「だったらひとつ俺たちの屋敷の近くに誰も住んでいない小さい家がある。そこに住むといいよ」
「ありがとうね」
ファブリスの母親が俺たちにニッコリと笑いかける。
「そうそう、ルーナさん」
「はい。なんでしょうか?」
ファブリスの母親が俺の耳元に口を近付けた。
「(ファブリスのこと、よろしくお願いしますね)」
「なっ…!」
俺は顔を赤面させる。
「ふふふ…お可愛いこと…」
ファブリスの母親はクスクスと笑った。
男たちはなにがあったのかわからない様子でキョトンとしていた。
「じゃあいまからこの街を案内してもらおうかしら」
「わかった」
ファブリスが二人に街を案内する。
俺はファブリスたちにテクテクとついていった。
「良い街だ…」
「だろ?」
ファブリスは二人にベンチに座らせてパンを手渡す。
「ありがとう」
「どういたしまして」
二人が一口、パンを食べる。
「だが、お前の話を聞いているとまだ体制が整っていないように思える。街のことはどのようにして決めている」
「街の決め事は基本的に長老が決めている。これからは俺たちも積極的に意見を出していこうと思ってる」
「それでいい」
そう言うとファブリスの父親はもう一口、パンをかじった。




