40 蒼き翼
俺の『伸縮刃』と杉浦のビームが激突する。
それが俺と杉浦の間で爆発し俺たちは引き離された。
俺は力尽き、下の街に落下していく。
その時、誰かが俺を抱いた。
暖かい感触が肌を通して伝わってくる。
(あたた、かい……)
俺はそこで気を失った。
ルーナと杉浦が接触したとき、ファブリスはベーカリーにいた。
なにか軽いものを買いたいと思っていたのだがなかなか決まらない。
その時、とてつもない大きさの衝撃音と同時に店の外でこちら側に人がどっと流れ込んできた。
彼は思わず外に飛び出す。
(あの衝撃音はルーナを待たせている広場のある方向だ…!はやく行かないと!)
彼は広場にむかって走り出す。
だが大勢の人が彼の動きを封じてしまった。
彼はなんとかその集団から抜け出し、ルーナのもとへむかう。
その時、道を黒ずくめの5人の人物が塞いだ。
「どいてくれ。邪魔だ」
「まぁそんなに愛している人のために頑張るなよ兄上」
真ん中の人物がフードを外す。
「なっ……」
そこに立っていたのはかつて国から追放されたアルノルトだった。
「なぜお前がここに…!」
ファブリスが聞くとアルノルトは顔を憎しみで歪ませて答えた。
「国を追放されてから俺はドラゴナイトに行ったんだ。そして情報を提供するかわりにドラゴナイトで十二賢人のひとり、ユウナ=スギウラ様の親衛隊隊長になった」
「十二賢人?」
「そんなことも知らなかったか兄上」
そう言うとアルノルトはにやりと笑った。
「十二賢人とは異世界から来たりし十二の賢人のことだ。国によっては勇者と呼ばれているらしいがな。おっと、そんな無駄話をしていると時間が無くなっちまう。はやく遊ぼうぜ兄貴」
アルノルトは剣を腰から抜き、その刀身を舐めた。
「ひひひ…」
ファブリスも右手に『龍神の剣』を顕現させ構える。
「お前ら、やれ!」
アルノルトが手を前にサッと突き出した。
その瞬間、彼の部下たちがファブリスを囲う。
「「「「電撃の鎖」」」」
四人が同時に呪文を唱える。
すると彼らの前に魔法陣が展開され、そこから鎖が飛び出した。
「『龍神の加護システム10%』起動!」
《起動、確認しました》
ファブリスのからだが青く光る。
ファブリスのからだに鎖が触れるその瞬間、彼という龍は空に大きく羽ばたいていた。
「なに!?」
アルノルトはあまりのスピードに驚愕する。
アルノルトが空を見上げるとそこには青い透明な翼を纏った一人の男がいた。
翼がバサリと広がる。
するとその翼から波紋のようなものが広がっていった。
それがアルノルトたちにぶつかると彼らの頭になにかが流れ込んできた。
(これは……)
アルノルトの首が吹っ飛ばされる。
死ぬ瞬間に彼の目にはファブリスがにやりと笑っている姿が映っていた。
「うぁああああああああああああ!!!」
アルノルトが発狂する。
しかしその途中で自分がまだ生きているということに気付いた。
首ももげていない。
これが『龍神の加護システム10%』の力、死の恐怖を与える能力だ。
アルノルトは深呼吸をして心を落ち着かせる。
その時、再び大きな衝撃音とともに爆風が吹き荒れた。
その方向を見るとルーナと杉浦の二人が力尽きて落下している。
ファブリスはルーナにむかって羽ばたいた。
そしてルーナを空中でキャッチするとお姫様抱っこの状態でそのまま屋敷に帰還した。




