37 ニュードラグーンの夜
獣人の里がニュードラグーンに変わった初めての夜。
俺は自分の部屋のベッドで寝ていた。
しかしおかしなことになかなか寝られない。
すごい眠いくて半分、寝ているのにそれでも俺は眠りにつくことができなかった。
俺は半分寝ながら無意識に立つ。
そしてふらふらとどこかへと歩き出した。
俺はある部屋の扉を開く。
そしてその部屋に置いてあるベッドに潜り込む。
その布団はすこし暖かくて自分を包み込んでくれるような気がした。
「おやすみぃ…」
俺はようやく長い眠りにつくことができるのだった。
「ほわぁ」
俺はあくびと共に伸びをする。
と、その時。
「え」
ベッドに隣で寝ている人物がいる。
その顔はいつも飽きるほど見ていたやつだった。
「…あ、起きた?」
その人物が薄っすらと目を開けてこちらを見る。
「なんで…ここに…?」
俺が色々と混乱しているとその人物、ファブリスが頬杖をつきながら教えてくれる。
「俺が寝てたら寝ぼけたお前がここに入り込んできたんだよ。すぐに言ってやろうって思ってたんだけどぐっすり寝ちゃってたから言えなかったわ」
「ご、ごめん」
俺は慌てて部屋から飛び出した。
だが色々と動転しすぎて壁に勢いよくぶつかる。
「あたっ!」
「大丈夫か!?」
ファブリスは俺に駆け寄ってくる。
「だ、大丈夫…」
俺は呻きながら自分の部屋に帰っていく。
その様子をファブリスは心配そうに見つめていた。
(でもまさか言えないよな)
ファブリスが着替えるためにクローゼットを開ける。
(夜にドキドキしすぎて寝れなかったなんて…)
ファブリスは夜のことを思い出して顔を赤らめた。
俺とファブリスは朝食を買うために街の中心にある商店街にいた。
昨日、お引越しを済ませたばかりなのにもうお店が開いているのにはさすがに驚いた。
俺たちはベーカリーに入る。
開店初日なのになかは人で賑わっていた。
「ルーナ、お前はどれがいい?」
ファブリスが俺に尋ねてくる。
「うーん、基本的になんでもいいかな」
俺が適当に答えると真面目にファブリスは選び始める。
「じゃあ…バゲットでいいか?」
「うん」
結局、全員分バゲットを買って家に戻ることにした。
俺はかつて日本でこういう体験をしたことがある。
いま思えばこのニュードラグーンは何となく軽井沢と雰囲気が似ている気がした。
俺の家族は軽井沢に別荘を持っていて朝にはこうしてパン屋にパンを買いに行ったものだ。
朝食にはそれと一緒にクラムチャウダーを食べていた。
俺はふいにスープを食べたいと思った。
「なあファブリス」
「なんだ?」
「スープとかない?」
俺がそう問いかけるとファブリスは色々と考えたあとに誰かと話し始めた。
「なんかルーナがスープを食べたいって言ってきたんだけどお前つくれるか?」
ファブリスが相手の返事を聞く。
「マジで!?で、なにを買ってくればいい?うん、トウモロコシ…タマネギ…わかった。ありがとう」
どうやら相手との会話は終わったようである。
「誰と話してたんだ?」
「テイラーだよ。あいつ意外と料理上手なんだ。調味料とかはあっちで用意してくれるって」
「そうか…」
俺はこの時、なぜだか知らないが料理を教えてもらおうと思ったのであった。




