36 ようこそ!ニュードラグーンへ!
「街を、つくるぅ!?」
「ああ!」
獣人がせっせと俺たちの屋敷をつくっている間、俺たちはファブリスからとある計画について聞いていた。
「でも一口に街をつくるって言っても…」
「それが俺にはできるんだよ」
ファブリスがそう自信をもって言う。
(こいつ、何か隠していやがるな)
俺がそう思っているとファブリスが『龍神の剣』を腰から抜いた。
《『鑑定』を開始します》
するとすぐに『鑑定』の結果が出た。
《龍神の剣》
真の龍の王のみが手にすることができる剣。龍神の力の一部を使用することができる。この剣が持ち主を本当の主と認めた時、龍神の力が覚醒すると言われている。
能力:『恐怖の刃』『龍神の加護システム10%』『自動都市製造システム』
「この剣には都市をつくるという能力がある。これを使って屋敷が完成したあとに街をつくる。これはもう長老にも了承済みだ」
「でも街を変えるなんて獣人からは反対はなかったのか?」
俺がそう尋ねるとファブリスは大丈夫と言う。
「多少は反対の声もあったけどほとんどが賛成と言ってくれたらしい。理由はそういうことをするお金がなかったからだそうだ。反対の人については家が気に入ってるから変えたくないとのことだ。彼らに関しては家をそのまま残すということで合意した。他になにか?」
「・・・」
その後は誰も異議を唱えなかったので解散となった。
数日後。
例の屋敷が完成した。
「おぉー」
屋敷は二階建てで下の階にリビングとお風呂、上の階に俺たちの部屋がずらりと並んでいた。
ここに住むのはファブリスと俺、フェルナンド、セレスティア、それにテイラーだ。
他の人たちはこれからつくる都市の家に住む予定である。
だが今日のメインイベントはこれではない。
俺はファブリスに連れられて街の広場となる予定の場所に来ていた。
俺たちのまわりには見物人がたくさんいる。
「あの人綺麗…」「え?どの人?」「ほら、あの白い髪の…」
見物人がザワザワとしているとファブリスが口を開いた。
その途端、見物人のざわめきが消える。
「では、これより儀式を始めます」
そうファブリスが言うと長老が色々と書き込まれている地図を渡した。
ファブリスはそれを受け取ると地面に置く。
そして剣を逆さまに持ち、頭上に大きく掲げた。
「『自動都市製造システム』、発動!」
剣を勢いよく振り落とす。
刃先が地図を貫き、地面をも貫いた。
空にいままで見たことのないような大きさの魔法陣が展開される。
それがゆっくりと降下してきた。
魔法陣がある一定の高さに到達するといくつもの建物の屋根が現れ始めた。
そしてその魔法陣が俺たちの足元にまで降りてくるとそこにはひとつの都市が現れていた。
「ようこそ!ニュードラグーンへ!」
ファブリスが高らかに宣言する。
しかし俺はこれが新たなドラグーン家の歴史の始まり、そして波乱の時代の幕開けとなることをまだ知らない。
ドラゴナイトの首都、アンフィスレインの城内にて。
「ユウナ=スギウラ様、NO.11の居場所が掴めました」
メイドが地図を渡してくる。
それを受け取ると杉浦は口を開いた。
「ありがとう。いますぐ出るからあいつらを呼んできて」
「畏まりました」
メイドは返事をすると部屋から出て行った。




