18 友達
俺とファブリスは試合終了後スタジアム近くの公園にあるベンチに座っていた。
「今日の試合はどうだった?」
「あー普通、かな」
「俺はつまらなかったな。俺もはじめてあの大会を見に行ったんだがまさかあそこまで低レベルの戦いだったとは思わなかった。龍が強かった時代も終わりを迎えたのか……」
「龍は前はあんな強さじゃなかったのか?」
「もちろん! 特に俺たちの国、ドラグーンの龍が最強だった」
「ん? その言い方だとドラグーンの他に龍の国があるように聞こえるのだが」
「まさか無いと思ってたのか?」
「逆にあるの?」
「俺たちだけで龍のすべてを管理できるわけがない。かつてはドラゴン平和連邦という国が管理してたんだが今じゃバラバラだ。双頭龍アンフィスバエナ領のドラゴナイト、翼龍ワイバーン領のレクイエム、火龍ムシュフシュ領のフレア、そして俺たち黒龍ジル二トラ領のドラグーン。この4つだ」
「意外と多いな」
「まあな。だがそろそろ関係が危ない。特にアンフィスバエナが」
「戦争になったりするのか?」
「だけどまだ先の話だ。焦らなくてもいい。そんなことより……」
「?」
「ちょっと、離れてくれないか?」
よく見ると俺の顔はファブリスの顔にあとすこしでくっついてしまいそうなぐらい近かった。
「す、すまん」
俺は顔を赤くしながらファブリスから離れる。
「ほら、お前もそんなに嫌いな相手と近くにいると機嫌悪くなるだろ?だから…」
そう言うファブリスの横顔はどこか寂しそうに見えた。
「……嫌いじゃない」
「え?」
「嫌いなわけじゃない。でも好きなわけじゃない」
「まぁ、そうか……」
「だからこれからは友達になってやるよ」
「友達? いままでは違ったわけ?」
「いままではただの神器と守護神の関係だった。それを友達に変えてやる」
「じゃあついでに婚約……」
「それはない」
俺はファブリスの口を押さえつける。
「(でも、すこしだけ考えておく)」
俺は小声でボソッと呟いた。
「なにか言った?」
「な、なんでもない!」
俺たちはしばらくすると寝室に戻った。
俺は今、お風呂にいる。
浴槽はかなり大きくまるで日本の大浴場のようだった。
寝室とつながっているうえにこんなに大きいお風呂を独り占めできるなんて夢のようだ。
「はぁ」
俺の声が部屋中に響く。
裏ステータス。
その表示方法は不明。
一体どうやったら見ることができるのやら。
いまはそんなことを気にしてないでゆっくりするか。
俺は湯船にじっくりと浸かる。
その時、大きな音をたてて大浴場の扉が開いた。
俺がなんだなんだと振りかえるとそこには腰にタオルを巻いているファブリスの姿が。
「友達としてまず、裸の付き合いを……」
俺はファブリスの話を無視し近くにあった桶を取るとファブリスに投げつける。
その桶は見事にファブリスの顔面に命中しファブリスはその場で伸びてしまった。
「下心が丸出しなんだよ馬鹿が。友達になったからって調子に乗るな」
俺は再び湯船に浸かると天井を見る。
「本当に馬鹿……」




