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100/107

100 黒幕

11(イレブン)による潜伏兵強襲作戦の成功が報告されて部屋はすこしの間だけ緊張がほぐれた。

しかしすぐに緊張した状態が戻ることとなってしまった。

「失礼します!」

「なんだ?」

一人の兵が慌てた様子で部屋に駆け込んでくる。

「レクイエム地方ブルーハーバーにて交戦中第五軍、第六軍から連絡です! ブルーハーバーが突破されました!」

「なんだと!?」

ファブリスは思わず席を立ち上がる。

「街に被害は確認されませんでしたが、敵はニュードラグーンに向かっているようです。なお第五軍と第六軍は後を追っているとのこと」

その言葉にファブリスはすぐに手を打った。

「そちらのほうの迎撃には第三軍を向かわせる。今すぐだ。いいな? ヘルマン」

彼がそう第三軍団長に尋ねると団長は了承の印として頷いた。

それを確認すると連絡員が急いで部屋を出ていく。

ファブリスの作戦はこうだ。

ニュードラグーンに近づく敵の後ろを第五軍と第六軍が追うことによって敵の移動速度を早める。

これによって第三軍と敵が衝突するのが早まる。

そして敵が第三軍と戦っているときに第五軍と第六軍が合流。

敵を挟み撃ちにして一気にバーンッ!

というわけである。

おわかりいただけただろうか? 

「第一軍、第二軍から救援要請! オクシシオです!」

その声と同時に彼は地図を覗いた。

すると戦場に三体ほど大きな反応が確認できた。

「第四軍を出す。11(イレブン)も戻せ。ホレイソン、お前も出ろ」

「はっ」

ファブリスの言葉にホレイソンは敬礼で返す。

その時、誰かが異議ありと立ち上がった。

「しかしそれでは基地の防衛に穴が空きます!」

テイラーだ。

「そうだな。ではこうしよう。第四軍が到着したら第一軍を基地に戻し、まだ動けるやつを基地の防衛に回す。これでどうだ?」

「まぁ、それなら……」

「じゃあ決まりだな。そこのお前、第一軍と第四軍にいまのことを伝えておけ」

「はっ」

ファブリスに命令されたその男は敬礼すると部屋を飛び出していく。

それを見送りながら彼は全く別のことを脳内で考えていた。

(なぜ戦場にオクシシオが三体も……。例えニガレオス帝国が悪魔の国だとしてもそんなに多くオクシシオは召喚できないはず。ならばなぜ……?)

彼は地図を眺めながら様々な可能性を考えた。

そしてついに結論にたどり着く。

(オクシシオ一体の召喚にさえ、俺の魔力の7割を消費するという。現在ニガレオス帝国でオクシシオを召喚可能なのは一人。ソイツが三体も召喚しているということはソイツは俺を上回る魔力を持っているということになる)

()()()()()()()上回る者。

それは彼が知っているなかで二人しかいない。

一人はいま彼のそばにいる一振りの刀。

そしてもう一人は……

「クソッ!」

彼はその存在がこの戦争に介入していると確信して机を叩く。

まわりの困惑の視線を無視して彼は地図に浮かぶ三体の巨大な反応を凝視した。

(散々俺たちで遊びまくったくせに次はなにをしようとしている! あのクソ野郎!)

「第一軍が基地に帰還しました!」

「そうか。報告ありがとう」

彼は口だけで連絡係にそう答える。

(あのクソ女神……。いつかぶっ殺す!)

そう彼は誓い、刀を強く握りしめた。

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