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魔竜ダジリグア

あれから丸一日──


帝都カナルギアまであと少し。距離にして100m程だろうか。


いきなり周囲が少し暗くなる──


ん?なんだ?何が起こった?


アレンがハッと上を見上げるとそこには1体の大きな翼を持つ何かが飛んでいた。


俺たちはその何かの影に入ってしまっただけだった。


なんだ──と思った瞬間。


俺たちを追い越したと同時に物凄い数の雨が降ってくる。


「さっきまで晴れていたのにおかしいな?」アレンはそう思っていた。


チビはギョッとした顔つきになりドーム状の《絶対防御》を仲間たちの周囲に展開した。


たかが雨くらいで大袈裟な……と思っていたアレン。


しかしジュージューと音がする。


もしや──これは雨では無いのか?


徐々に侵食してくる謎の液体。


《絶対防御》も完全に絶対では無い。まぁそういう名前の特技なのだ。ちょっと厨二病感があるが勘弁していただきたい。


《絶対防御》を侵食し続ける謎の液体。周囲の草花を見ると腐敗し黒くなっている。もしもあの液体に触れたら俺達も同じ結末を辿っていたかもしれないな──


謎の液体が侵食する速度が思ったより早くチビの《絶対防御》が破られそうになった。


俺は念の為に《全属性耐性》を発動する気だった。だが……あの覚醒したライゴがずずいと前に出てきた。


『あらあら?ここはアタイの出番ねぇ?いっちょどデカい花火でも上げてあげようじゃないのぉ~♡』


ラファソラシミミラシド~


『覚醒したアタイの新しい技よぉ~いっけぇ~♡《海精音(クリオネ)之触手(ハンド)》』


ライゴの放った数百と言う無数の透明な触手は《絶対防御》からどんどん伸びていき上空にいる巨大な何かに向かう。途中謎の液体に当たっているが弾くように地面に落ちている。おかげで《絶対防御》の上には落ちてこなくなった。有難い。が……かなり気持ち悪い。決して手を出したらいけない技に手を出してしまった感じだ。


チビ達も『うげぇ……気持ち悪いです……』とそれぞれに不快感を顕にしているが当のライゴは楽しそうである。


ライゴの放った透明な触手は巨大な何かにまとわりつく。


触手によりどんどん引きずり落とされていく巨大な何か。徐々に逆光になっていて黒くて見えなかった部分が顕になる。


──腹は鱗に覆われている……か。もしかして龍?あの伝説の龍なのか?しかしそれにしてはデカい──


龍──それは人々の恐怖の象徴であり、世界最強種。圧倒的な力を持つが気まぐれな性格。


人類の生まれる数千年前から存在すると言われている。この世界で1番触れてはいけない存在。それが龍だ。


──怒らせると国が……いや……大陸が滅ぶとまで言わしめている。


徐々に見えていた巨大な何かは全貌を表し始める。


黒い鱗。10mにものぼる長い尻尾。頭には捻れた三本の角。短くそして太い手足。ギョロりとこちらを睨みつける巨大な6個の目。眼球にも鱗状の膜が張られどこにも隙らしい隙が見当たらない。そんな風貌。これが龍なのか──?


アレンは巨大な何かを傍観していた。何故か?それはライゴの触手によって巨大な何かは抵抗も虚しくどんどん落下の一途を辿りとうとう地面に落下してしまったからだ。


ズゥゥゥン!


体長30mからなる巨大な何かは矢張り龍なのだろうか?龍を実際見たことの無い俺には判断がつかなかった。


『こ、これは……魔竜ダジリグア……』とテイラーと性格が切り替わったジュリアンテが語る。


「魔竜?ダジリグア?なにそれ」


『アッチも見たことは無いんすけど……聞いたことはあるんっすよ。魔界に君臨する魔王の従魔ダジリグアの存在だけっすけど。体は大きく手足はちんちくりんで厳つい角があるくせにブッサイクらしいんす。』


──確かに──ブサイクだ。


鼻は潰れタラコ唇。眉毛はゴン太で手足はちんちくりん。これはダジリグアで間違いない。


召喚獣達は思った。


なんて可哀想な見た目なんだ──と。


すると魔竜ダジリグアが話し始めた。


《貴様ら!よぐも……よぐもやってぐれたな?すり潰してオラの昼飯にしてやるだぁ~!》


ライゴの触手にまとわりつかれたままデカい口を叩いてくる魔竜ダジリグア。


『あんた!アタイの主様になんて口を聞くのよぉ!?あんたこそ棒で叩き潰して細切りにして胡瓜と一緒に食べるわよ!』ライゴは棒棒鶏にする気だ。美味そうじゃん。


「ライゴ?程々にね?」アレンは口に溜まった唾液を飲み込み食材(魔竜ダジリグア)を見つめる。ゴクリ。うむ……筋肉質ではありそうだが鳥に似た風貌(不細工だが)だ。若しかすると鶏肉の代用として最適かもしれない……また唾液が口に溜まり始めた。舌なめずりをするアレン。


《なんだぁ!?お前たちらぁは!オラの散歩の邪魔するんじゃねぇだ!》


数本の透明な触手が細くなり鋭利な包丁の形状に変化する。拘束する触手はそのまま魔竜ダジリグアを捉えている。


《や、やめてくれぇ~オラは食べ物じゃないだぁ~食べても美味しくないだ~毒も入ってるだ!オラは悪い魔竜なんかじゃないんだよぉ~》ダジリグアが悪い魔竜じゃないとかどこかのスライムの様な口調で念話してくるが無視だ。俺は騙されない。


「魔竜なのに悪くないとか無いでしょ?しかも無抵抗な俺たちにいきなり変な液体かけてくるし。悪意ありまくりじゃん?じゃそゆことで。ライゴやっちゃって!」


『あぁ~ん♡アタイ頼まれたら嫌って言えないのよねぇ~♡じゃダジリグアちゃん?大人しく捌かれなさい!』急に口調が変わった。ライゴ覚醒してから更に怖くなった感じするけど……悪化してない?まぁいいか。気にしたら負けな気がする。


《ま、まて……待ってくだざぃぃぃ!捌かないでぇぇ!ご慈悲をぉぉぉぉ!》魔竜ダジリグアは泣きわめき始める。


流石に泣き喚かれたら情が出る。アレンは近寄り声をかけようとした。が。それは魔竜によって遮られる。


《よっしゃーーーー!チャンスキターーーー!1番弱そうなガキが喰われに来ただべ!いただきまー》魔竜ダジリグアは大きな口を開けてアレンをひと飲みにしようとした。


その瞬間──


クロの一閃により頭部はズリっと滑り、頭部と胴体は離れた。


こうして魔竜ダジリグアの死は確定したのである。


「まだ帝都カナルギアについても居ないのに物騒なところだな……トゥルントに早く帰りたくなってきたよ……」


『『私達も早く御屋敷に帰りたいです!お掃除が私達を呼んでいるです!』』アリスとアリサもアレンと同意見のようだった。


「じゃさっさと村長助けて帰ろー!」


『『『『『おーー!』』』』』


その後魔竜ダジリグアを捌いて棒棒鶏を作り美味しく頂いたアレン一行であった。

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