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2歳児アレン

アレンのステータスそれは決して謎などでは無い。子供の時から最近までレベル12から一切変化が無かった。


子供の頃──


俺は兄を失った──


とても悲しい事故だった──と記憶している。


兄はいつもの様に村の中央にあった広場で遊んでいたそうだ。俺はと言うと──まだ2歳。家でお留守番だ。


兄は活発な性格で5歳とは思えないほど体格が良かった。木刀を振り回し剣聖の真似事をする事が好きだった兄。近くの友人と一緒にチャンバラごっこと言うものをしていたのだとか。


そんな時であった──


村の危険を知らせる警笛が鳴り響いた──


ピーーーーーーーーーー


兵士「魔物だ!魔物が近づいてきているぞ!皆逃げろ!子供は地下室へ!男連中は門の外へ頼む!」


この時兵士は周囲に警戒を促し住民の避難があらかた済んでから自身は門へと向かったと聞いた。この時直ぐに門へと向かっていてくれたらと後で聞いた時何度思っただろうか。それはただの俺の我儘だ。村に迫った魔物たちから住民を守り、魔物を排除しようと奮闘する兵に対する侮辱かもしれない。しかしそれでもそうも思う他なかった。


最愛の兄を──


息子を失ってしまったのだから──


兄を失ったつらさからか両親は喧嘩がたえなくなった。俺も何度となく殴られた記憶がある。親の言うことを聞かなかった兄に対する苛立ちからかもしれない。


あの日兄は警笛・警告を聞き一目散に村の外へ出たのだ──


村の外には2体のオーガ──


オーガは餌を探していたのだろう──


兄は皆を助けようと立ち向かったのかも知れない──それは誰も知らない仮説──


兵士が門へと向かった時には兄は……


周囲には血が飛び散り……蹂躙され──体を貪られ──まるで食料の様に咀嚼されていたのだから──


兄の犠牲のお陰と言うべきかオーガはそのまま村に危害を与えることも無く森の中へと消えていったという。


この日アレン2歳は暴走したそうだ。最愛の──仲の良かった兄──メルトが帰らぬ人になったのだから──


その日アレンは夢を見た。兄ちゃんが帰ってくる夢だ。後日両親から聞いた話だがあんな事があった直後なのに俺の寝顔は微笑んでいたのだとか。


夢の中で兄ちゃんは帰ってきたが《何故か話せないのだ》──


それから数日同じ夢を見た。それでも兄ちゃんは一言も話さないのだ。ただ俺の傍に寄り添ってくれた。俺が寂しくないようにと。


俺は夢の中の兄ちゃんに救われていた──


絶え間なく続く夫婦喧嘩。家から出ようとすると殴られた。両親から外出禁止令が発令されたのだ。兄の様に死ぬぞ!と。


俺は両親の言い付けを守った。外出できない日々……かなりのストレスだった。


トイレ以外の外出の禁止。それは辛かった。軟禁状態である。そんな日々が続いたある日。俺はまた夢を見た。


兄ちゃんが謝罪する夢だ──涙ながらに土下座する兄ちゃん──夢の中の兄ちゃんは生前の様に優しかった──


──メルト兄ちゃん──ずっと一緒にいれたらいいのにね?──夢の中だけじゃなく──ずっと──


すると兄ちゃんは何を思ったのか夢の中で猫の鳴き真似をした──


それは夢に兄ちゃんが出てくるようになって初めての声だった──いつも声をかけてくれた兄ちゃん。一緒に遊んでくれた兄ちゃんの声だった。


俺は嬉しくなって──兄ちゃんが猫になってずっと傍に居てくれる事を願った。いや……願ってしまった。


その日から兄ちゃんは夢に出てこなくなった──


代わりに猫が毎夜毎夜夢に出てくるのだ──


俺は兄ちゃんに会いたかった──兄ちゃんに会いたいと猫に言うと猫は《ニャー》と鳴いた。まるで返事をしたかのように──


けれども兄ちゃんは一向に出てこなかった──猫が夢に出るようになってから1度も見ていない。


俺はもしかしてと思って猫に「君がメルト兄ちゃんなの?」と聞いた──


すると一言「ニャー」


俺はこの猫がメルト兄ちゃんの生まれ変わりなのだと思うことにした──


毎夜夢に出てくる猫と俺は遊んだ──


村の中を走り回って遊んだ──夢の中だが──とても楽しかった


猫(メルト兄ちゃん)は色んな所を教えてくれた──虫のいる場所──森への抜け道──風呂が覗けるポイント──など兄ちゃん……外で楽しく何してたんだよ!と嫉妬もした。


そんな日々が半年続いたある日──


ニャー


家の外から猫の声が聞こえてくる──


ニャー


いつも夢の中で聞いていた声……鳴き声だった……


俺は外出禁止令があるにも関わらず外へと飛び出した。


そこには《端正な顔立ちの三毛猫》が家の前にちょこんと座っていた。


俺を見た猫は『ニャー』と一言鳴くと足へと擦り寄り喉をグルルと鳴らした。


その日この猫を飼いたいと両親に懇願した。動物嫌いの両親だ。本来なら認められるわけが無い。更には元々貧乏だった家庭。富裕層が愛玩として飼う猫を飼育するなど贅沢の極みだ。しかしアレンはここで折れる訳にはいかなかった。この猫はメルト兄ちゃんだから。俺は全身全霊で懇願し、両親に生まれて初めて土下座すると渋々飼うことを了承してもらった。全ての面倒を俺が見ると言う条件で。


その猫の名は──タマと決めた。


猫が現れた日から何故だか体が軽くなり力も漲るようだった。タマの世話は全て俺がやる事になったのだからと外出禁止令を解いてもらい餌の調達や水汲みなど精力的にこなした。桶に一杯の水。約10キロ程だった。一般的に10キロの物を持とうと思うなら倍くらいの体重が無いと難しいと言われている。


アレンの年齢は2歳。体重10キロ。自分と同じくらいの水を持っていることになる。ありえないと両親に言われたがありえるのだから仕方がない。


毎日毎日アレンはタマの世話をした。タマは知らない場所を案内するように毎日色んな場所に連れて行ってくれた。2人は兄弟のように寄り添っていた。食事する時も寝る時もトイレの時以外はずっと同じ空間だった。だがそれは2人にとって至福のときだった。それも長くは続かなかったのだが。それはまた別の話である。


アレンのステータスの謎。それはアレンの勘違いにある。レベルとはそもそも職業に沿った鍛錬でのみ上がるとされている。アレンは自称賢者と思っていた。それは何故か?彼が厨二病だったからである。更に悪いことにアレンは器用だった。魔法書を読めば魔法が使え、剣を取れば剣術を覚えた。まぁそこそこの領域にしか到達出来ないのだが。所謂器用貧乏なのだ。そして賢者と勘違いしていたアレンは今までの間ずっとタマが来た日に突然レベルが上がったことを知らなかったのだ。レベル1からいきなり12へ上がったことを。


それは妄想召喚士として《タマ》を召喚したのだから──


アレン(2歳当時のステータス)


職業 妄想召喚士

年齢 2歳

レベル 12

攻撃力 84

防御力 51

素早さ 40

魔力 104

魔防 83

運 77


特技 妄想召喚

拙い文章ですが読んで頂きありがとうございます。

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