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テイラー多重人格になる

アレン一行は爆音のした方──第2階層へと向かった──


階段前には有象無象の魔物達が居たがアレンの召喚したテイラーが一掃する。


第2階層へ向かう最中のこと──


「ん?あれ?テイラー薄くなってきてない?」


テイラーの姿が薄くなり背景が見えていた。


『オレサマは仮初の命を貰っただけだからな。用が済んだら消える運命よ。』


「え…そんなぁ…折角召喚したのに…あ!もしかしてだけど…夢の中で召喚して無いからかな?」


『そうなんだ。マスター。オレサマは現世に無理やり召喚された言わばお試し召喚獣なのさ。このままって訳にはいかねぇのよ。でもな?マスターさえ良けりゃあよ?また呼ぶことだって出来る。がしかしだ。オレサマが今話してるこたぁ全部忘れちまう。オレサマの人格やら性格も変わっちまうかも知れねぇ。それは仕方ないことなんだがな?ラッハッハッハ!』


「そうか…そうなのか…となると俺が此処で寝て妄想出来ればテイラーはこのまま現世に居られるの?」


『いんや。オレサマはどんな事があっても消える運命よ。しかもな?お優しいマスター様よぉ?ここは戦場だ。易々と寝るなんて不可能だぁ。まぁ仮に寝る事が出来たとしても危険が付き纏うじゃねぇか。召喚獣としてマスターを危険に晒す訳にはいかねぇのよ。分かっておくんなぁ?ラッハッハッハ!』


テイラーは自分が消えると言うのにあっけらかんと言葉を並べる。きっとそこには嘘偽りは無いのだろう。


──しかし俺は仲間を1人だって失いたくないんだ!


「ねぇ…チビ、クロ、ヒカリ?此処は任せてもいい?あと…ガウ?俺も背中に乗せてもらっていいかな?」


『『『アレン様の為ならば!』』』


『分かったガウ!』


困惑するテイラーを後目にガウの背中に乗るアレン。そこにはエリーゼも居るが構わず速攻で睡眠体勢に入る。どこから取り出したのか枕をアリスが渡してくれた。


「ありがとう。アリス。」


アレンがお礼を言うと洋人形なのに少し頬が赤くなった気がした。ちなみにアリスとアリサは召喚獣では無いのだが俺を主と認めた古代アーティファクトだ。魂の宿ったからくり人形である。


アレンは直ぐに意識を手放した。どんどん薄くなっていくテイラー。今更妄想したって意味が無いかも知れない。しかしそれでも仲間は裏切りたくないのだ。1%の可能性でも仲間であり続けることが出来るのならアレンは何でもするつもりだった。アレンは《郢曲(えいきょく)》に裏切られた。だからこそ自分は誰の期待も裏切りたくない。裏切らないのだ。


アレンが眠りに着く頃。有象無象の魔物たちが第2階層から押し寄せてくる。


刹那。ジークが突撃しライゴが援護する。


ドソラファドレドーー《乱水》


ライゴの放った乱水は8本の腕から一斉に渦を巻いて魔物たちへ迫る。すんでのところでジークが天井に飛び上がり《乱水》を躱す。素晴らしい連携だ。2人は召喚された時期も近く仲も良かった。故に連携もバッチリなのだ。


チビ、クロ、ヒカリはガウの周りに三角形の布陣で配備されている。アレンとは最も付き合いが長く阿吽の呼吸と言っていいほど連携は完璧だ。「よろしく」だけで察知出来るのは流石の一言である。


アレンは夢を見た。頭の中には文字が浮かんでいた。


──妄想スキルを選択して下さい──


──通常召喚 ◀︎ 《魔力消費0》


──神獣召喚 《魔力消費25》


──冥界召喚 《魔力消費25》


──異世界召喚 《魂消費1000》


こりゃ…なんだ? どれを選べばいいんだよ…?


順当に通常召喚か?いやいや…魔力消費しても神獣とか冥界とか凄いの出てきそうじゃん?いや…でもテイラーを…質問とか出来ねぇのが辛いな…ヘルプミーーーー!


アレンは迷った。本来テイラーをそのまま現世に残すなら迷うべきでは無かったが今まで召喚された珍獣たち。(特にライゴ)それが神獣、冥界といった異世界召喚獣となるやもしれない。カッコよくなるかも知れないのだ。


そして異世界召喚だ。召喚には魂消費と書かれてあった。どうやら何かの魂を消費してその代償として異世界から召喚できる様だった。そのメリットもデメリットも計り知れない。アレンは取り敢えずスルーする事にした。


「よし!ここは、、、通常でいいよな!よし!テイラー召喚!」


──妄想スキルを選択して下さい──


──通常召喚 《魔力消費0》


──神獣召喚 《魔力消費25》


──冥界召喚 《魔力消費25》


──異世界召喚◀︎ 《魂消費1000》


──異世界召喚──テイラー・スウィ〇トを召喚します──


── YES / NO ──


いやいやいやいや!テイラー・スウィ〇トって誰だよ!ってか異世界召喚なんて選択してねぇよ!…あ。待てよ?俺…通常召喚って言ってなかったわ。それが原因かもだな?よし…気を取り直して…


「通常召喚!いでよ!テイラー!」


アレンの夢の中には現実世界で見たそのままのテイラーが召喚された。


『えっ…?はっ…?オレサマはどうして此処に?あ。これはこれは君主様。オレサマを召喚してくれたのか?』


「うん。召喚しちゃった。神獣とか冥界とかも悩んだけど…やっぱりテイラーが良かったから!」


『うう…ありがたき幸せ…このテイラー君主様の下僕となって身を粉にして働くぞ!と、ところで…オレサマってこのまま神獣とかになれたりしないのか?ダメなのか?』


「うーん…俺はテイラーはそのままでいいかなぁって思ってね?性格とか人格的なのが変わっちゃうかも知れないしね?次からは神獣とか冥界の召喚獣を召喚する予定だから別にテイラーが神獣とかにならなくても良いんだよ。リスクも有るし。」


突然テイラーが土下座する。召喚獣が土下座するってどーなのよ。


『君主様…どうか…オレサマを…いやわたくしめを神獣とやらにしては貰えませんか?少々細かい事は言わねぇ…言いません。頼…お願いします。このままじゃ先に召喚された奴らに何も勝てる気がしねぇんでさぁ。お願いだからよぉ…』


「本当にいいの?性格変わるかもよ?記憶無くなるかもよ?」


『それでも…君主様の役に立ってこその召喚獣だからよぉ。頼むよぉ…お願いします…』


流石にそこまで言われたら断れないだろう。アレンは覚悟を決めて冥界召喚をする事にした。理由?それは…冥界って黒っぽいイメージだからかな?何かカッコイイじゃん?そんな適当な理由で初めての冥界召喚に選ばれたテイラーだった。ちなみに現在現実世界の《メリカリダスの奇跡》では逼迫した状況になっているのだが彼らは知らない。


「じゃやるよ?準備は良いかい?」


『はい!いつでもこいや!』


「冥界を司る冥界神よ。我に眷属を召喚する事を赦し、我が召喚獣と成りて契りを結べ!冥界召喚…いでよ…テイラー!」


テイラーの体にはアレンの手から出た黒い煙が纏わりつきテイラーを完全に包み込んでしまう。時折テイラーが苦悶の声を発生させているが本人の望んだ事だ。仕方が無い事だ。諦めてくれ。


あれから少し経った。苦痛に藻掻く声は消え去った。渦を巻いていた黒い煙は蠢く方向が変わり、上部に穴が開くとそこから黒い煙が入り込んでいる。黒い煙はどんどん膨らんでいく。突然、黒い煙が大きく膨らんだ。ちょっと突然とかやめて欲しい。当たるかと思ったじゃないか。危ないなぁもう。


それからまた少し経った。黒い煙は徐々に晴れて中には蹲ったテイラーが見え始めた。どうやら無事のようである。


「テイラー?大丈夫?」


『………ハイ。この者の名はテイラーと言うっすか。フムフム。』


「あ。やっぱ性格変わっちゃった?」


『いえ?違うっすよ。アッチの名はジュリアンテっす。テイラーの中に入った冥界神の眷属っす。まぁ8番目位の強さなんで弱いっすけど。ヒャッハッハー』


「えっと、、、ジュリアンテさん?テイラーとはどーやったら話が出来るの?」


『あー。アッチに《さん》とか要らねぇっす。ジュリアンテって呼んでくれっす。テイラーなら呼んだら代われるっすよ~!じゃ、変わるっすね?』


「うん。お願い。」


『あ!君主様!オレサマだ!テイラーだ!ラッハッハ!何かよぉ…2つの人格?性格があるみてぇでよぉ?気分次第で代われるみてぇだな?こりゃ便利だわ!ラッハッハ!』


どうやら簡単に代われて便利な様だった。まぁ所謂多重人格って所だろう。


「良かったね!テイラー!じゃまた現世で会おう!」


『了解だぜぇ!』


アレンは目を覚ました──


そこには──


凡そ10000の魔物達の中心に居たのだった。満身創痍のチビ、クロ、ヒカリ。


ジークは単身で突撃しているのか所々で魔物が吹き飛んでいる。


ライゴは広範囲魔法を唱えていたが魔物に阻まれ詠唱できない様だ。


エリーゼはアレンと共にガウの背中に居たため無事だったがあまりの光景に怯えていた。


そう──


アレン達はモンスターパニックの中心に立たされたのだ──

拙い文章ですが読んで頂きありがとうございます。

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