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悪の組織の悪たるゆえん  作者: ファイル
20/35

私と修羅場と身投げと失敗


「…アグ」


露天風呂から宿に帰る途中にアグさん、この街の冒険者、知らないおじいさん達


これは良くない雰囲気が漂ってます

とりあえずナコさんには酔い覚ましを、サクラさんに投薬しておきますか


…服装も違うために手持ちの薬が少ないですね



「昨日もサボったな、今日もサボるのか?」


アグさんが質問します


すごい、全く内容がわかりません


「…」

「おい、フウカ」


「嫌だ、この街はおかしい、あんなのやりたくない」


「なんじゃ、今更」

「ワシらの恩を忘れたか!」

「これだから若いもんは…」


おじいさん達が口々に呟きます


…ふむ


「長老、俺が説得する」


「説得なんて無駄!私は私の生きたいように生きるの!」


フウカさんがガシッと私を引き寄せます


…なにこれ修羅場?


「いこっ!」


「踊れ」


アグさんが一歩、力強く踏み込みます


するとそこから炎が線のように吹き出します


地面には魔法陣が


…熱くないんですかね?熱くないんでしょうね



フウカさんに組まれた腕に力が入ります


あ、痛い、痛いですよ?


フウカさんの顔は強ばり、力が入っています


「いやだ!」


「無駄だ、お前はそういう運命なんだよ」



「計画前倒しってできる?」

「…まぁ、いつでもできますが」


フウカさんが小声で聞いてきます


もとより知人の前でやる計画でした…ですがこっから、今から、この服装でやるんですかね?


やるんでしょうね…



「風よ!」

「っ!逃げるな!」


「巫女が逃げたぞ!追え!」

「追えぇ!」

「ほれ!早く追うんじゃ!」


足元に風が吹き荒れ、私たちの体が浮かび…いえ、飛び上がります



…巫女?

おじいさん達だけでしたらこれだけで逃げきれたんですけどね


着地し、

カランカランと音を立てて走ります


「気が狂ったか!フウカ!」


「狂ってない!こんなとこで骨を埋めるなんて私は嫌だ!」


…自身に投薬しながら走ります


喋りながらよく走れますね

舌噛みますよ?





「とまれ!フレアランス!」


「風よ!炎の槍を受け止めて!シールド!」


魔法合戦がフウカさんとアグさんの間で繰り広げられています


…サクラさんを帰したのは不味かったですかね?戦闘に参加させるべきでした





「ナズ、大丈夫?」

「ナコさんは……演出の…じゅんびひ…だけぇ…」


「あ、うん、分かった、喋らなくていいよ」


…しといてください


舌噛みました…





「何が嫌だってんだ!」

「全部よ!やる側の身にもなったらっ!?」

「いいじゃねーか!綺麗だしよ!」

「アンタも!嫌いなの!その軽率な頭も嫌!」


軽率な頭…アグさん馬鹿ってことですか?


「今までなんも言わなかったじゃねーか!」


「我慢してたの!」



「ちっ!なんだよ!何が変わった…そいつか!」



…ん?これ私に飛び火しましたか?


「関係ない!ずっと!ずっとずっとずっと!我慢してただけ!」


そんなこと言ってるうちに火山の頂上が見えてきました




と、その途端に天地がひっくり返りました



…嘘です、カッコよく言いたいだけです

私が転びました


「あっ…ぶへっ!」


「ナズ!」

「ナズ!?」


…いったぁ、靴で紐とか、切れるに決まってるじゃないですか!欠陥品ですよ!

使うにしてもこの切れ方は予想できるでしょうが!



「ぜはー…はー…諦めろ、お前は一生この街で俺と過ごすんだよ」


「っっっっ!いやだ!そんなんなら私は死ぬ!」


「無理だ、お前にそんなこと出来ない」


「来るな!こっから飛び込むだけだぞ!」


ズサズサと私を引きずって火口にたちます


靴も両方とも脱げました、服も泥だらけです


まぁ構いませんけど


フウカさんが乱雑に私を扱うんですけど、気にもとめてくれません


…昂ってますね、感情



「そんなとこに立ってどうするんだ!」

「フウカ!やめて!」

「はやまるな!」


ぞろぞろとお仲間さん達が集結します



…これだけ証人が集まればいいと思います



「じゃあクライマックスですね」

私の声を聞いてか聞かずか喋り始めました



「この街も、爺達も、アンタらも、アグも!嫌い、キライ、きらい!大っ嫌い!私は私の自由が欲しかった!私はアンタらのおもちゃじゃない!こんな人生!クソ喰らえ!」



フワリとフウカさんが私を締め上げながらジャンプします

後方、火山の中心へ、煮えたぎるマグマの上へ


「がふ…くる…くるしっ」

ちょ、フウカさん、締めすぎ、しぬ、死にます!



あっ…



落下をし始めた瞬間、完全に締めあげられました


私の意識が落ちていきます

転移…紐…てん…

転移の紐は光りませんでした




バチャンっ


…熱い…ですね







「っはぁっ!?」


生きてます!生きてます!わたし!


流れでは人を集めて火山へダイブ、火の海直前で転移紐を使い本部へ、という流れです


いやぁ、締めあげられたときはどうなるかと思いましたが!

何とか転移が間に合ったようですね


一瞬ダイブした気もしましたが!


無事!生還!





…ここは施設のジェルの中ですね



…え?ジェルの中?


ジェルってアレですよ?肉体腐敗防止の魔法ジェル、スライム仕様…



じゃあ私のスライムボディ死んだんですか?


…え?



…転移失敗?うそ、まじ?



「あっ、ちょ、出してください…」


周りに人がいねぇ!おいスタッフ!?


ジェルを押し退けながら上のボタンを押します、中から出れるやつです



ぽぴっ



だばぁ…


「おえっ…おっ、ごほっ、おえぇ…」


あぁ、やだ、薬臭い



ベチャベチャとジェルを撒き散らしながら歩きます


シンプルな服はつけてますがシンプル過ぎて脱げそうですね、ここ改善点




…ん?施設のメインルームから声がします



「…ロ!シロ!」


よろよろとメインルームへとたどり着くとなんだか人だかりができてます


そして名前を叫ばれています


「…えっと、なんですか?」


「へ?」

「うぇ?」


いっせいにこちらを向きます

スタッフ、キミドリさん、フウカさん


みんなの中心には私の体が



「うん?」


…よく見なくてもスライムボディです、下半身全部無いですけど、特殊な服装跡が見えます



…あとフウカさんも全身ジュワジュワしてますね

あれですね、人工スライムで体の代用してるんですね、応急処置ですね、ちゃんとした処置をしないと



…え?


「転移失敗しました?」


「うわぁあん!シロさぁあん!」


キミドリさんが私にタックルをしてきます


抱きとめれるはずもなく後ろに、転倒せずに誰かに抱きしめられます


「あ、サクラさん」


透明化を解除したサクラさんが転倒を防いでくれました



「…勝手に死なないでくださいよ」


おおぅ、いや、ごめんて



「フウカさん?は全身燃えながら魔力消し飛ばして転移してくるわ来たらきたで意識を失うし、シロさんは下半身失ってピクリともしないわで…もう!」


いや、ごめんて、キミドリさん、ごめんて


フウカさんは私の帰還転移で帰ったんですね…よかったぁ

そんで代用ボディでの魂の実験を話してないから私のスライムボディが取り囲まれていたと




「…クロさんは?」


「…」


「主、一緒だったのでは?」


「……あ、死んだ?これ?」



「なっ、あっ…え?」

「クロって猫耳の彼女のことか?」

フウカさんも知らなそうですね

キミドリさんも転移されてない反応です


「…緊急転移先には誰も来ませんでした」


サクラさんからも報告



「死にましたね…」


「なっ」


「じゃあ、ジェル施設に戻りますか、サクラさん、運んでください、ヌルヌルするので落とさないでくださいね」


「え、あっはい…」





私の目覚めた横、ジェルでいっぱいの中でクロさんがこちらを睨んでいました



…ぽぴっと



だばぁ…



「…シロ」

「あ、はい」

「転移紐が機能しなかったんだけど」


「そのようですね」

人工スライムボディの改良点ですね

落ちてる時にクロさんも紐を使ってくれたんですかね?ありがとうございます


転移紐は魂と体内魔力とも結びついているとすると人工スライムでは発動しなかったということですかね?




「あと」


「はい」


「いつから私はスワンプマン?になってたの?」


「…いつ、いつですか、私がクロさんのアレを認知し始めた頃ですね」


アレとはしっぽのことですね

そりゃ本体別にありますもの、認識できますよ



「むううううう!!!」


ぷくっと頬を膨らませて怒ってしまいました


「げんえっ!」


次の瞬間にはクロさんが消えました

魔力器官は訛ってませんね、流石です


…今はフウカさんですかね?

あとで謝りに行きますが


「えっと、フウカさんを投薬可能ジェルへ、再生の効果のジェルでお願いします、サクラさんの体は一旦こちらの保管場所に移動で、チューブを繋いで回復が早くなるように、回復したら型どってしまいましょう」


「…私も変な体になるのか?」


フウカさんがジュワジュワしてる体をヨタヨタさせながら聞いてきます

早くしないと全身溶けて死にますよ?


「まぁ、死にませんし、死んで欲しくないですし」


今回は魂の転移を失敗してたので転移紐が使えなかったんですね

お守りと紐づけることはせずに改良中です



戦争とやらが始まる前に改良しておきたいところですね



「無茶してもいいってこと?」


おっと、フウカさん嬉しそうです

ナコさんはそれはもう嫌そうにしてましたよ、勝手にやりましたけど


「まぁ、死んでもここに戻るだけですし」


「そっか、ふふん!そっか!」


何が嬉しいのかフウカさんはスタッフに誘導されて投薬可能ジェルの方へ向かいました



「サクラさん、荷物を」

「はい」


「…キミドリさん、また迷惑かけましたね」


「…ほんとですよ、心配ばかりかけて、先輩!もっとしっかりしてください!」


嬉しそうなのがまた…



「ほら、私も手伝います!なにすればいいですかっ!」


「人工スライムボディの元の作成ですね…えっと資料は」


「大丈夫です!どれだけ入り浸らせてもらってると思ってるんですか?結構やれますよっ!」


元気な後輩ですね…ふふ



これは、戦争準備の薬品も頼りになりそうです





「…ほんとに巫女が身投げしたのか?」


「…あぁ」


「風魔法が得意じゃろ?ほんとに落ちたのか?」


「…あぁ、俺もファイヤーアーマーで飛び込んだ、フウカとお気にとその連れ、三つの死体が溶けていってたよ」


「……そうか」


「なぁ爺」


「あの巫女は良かったんじゃがの…仕方ない、巫女の仲間を呼び出せ、そこにおなごがおったじゃろう」


「…………わかった」


「次は逃げない工夫がいるのう」


「……」

ナコさんのスワンプマン状態の確定とフウカさんの引き込みの成功です


勇者側の闇を書きたかったんですが…無理ですね、筆が乗っているので次行っちゃいます

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