私の技量で全て丸く納めました
親睦会も数日前の話
定例会議があと数日と迫っていますが、何とか発注分は用意しました
あれです、サクラさん大活躍です
具体的には大鍋の火の管理ですけど
今はだいたい終わったので次に何しようか考え中です
キミドリさんは来ていませんが色取り合戦は多発してます
私も一度挑まれました、戦意を喪失させる薬を使ったので戦いにはなりませんでした
グループメッセージの方では皆さんやいのやいのやってます
クロさんも守り通してますがサクラさんはやはり可愛い色だからか、よく挑まれてます
特に後輩の方の色がコロコロ変わるので早く確定して欲しいところですね
『やっぱり色取り合戦の時はシロの薬なしにしようよぉー!』
『それはある、特にサクラ、強すぎ』
『む、私はそもそも投薬実験中に呼ばれることが多いのですが』
『サクラっていつも投薬実験されてない?』
「今もしてますよ」
『笑』
『今もかよ』
『あ、シロさん今暇です?色取り合戦しましょー!』
「えー…先程瓶詰め終えて疲れてるんですけど」
『じゃあ尚更!』
改良版の透明薬を試して見ますか
転移っと
転移の魔力痕が少し残る施設に尋ね人が一人
「…あの、こちらで合ってますかね」
「…何色だ?」
「あ、キミドリです、こんにちはサクラさん」
「シロ殿は今色取り合戦に行ったぞ」
「え…あ、ほんとですね」
「ここで待つといい、なんなら下で様子が見れる」
◇
透明薬はなかなか使い勝手がいいです、魔力消費を抑えたので持続力と疲労度に改善が見られます
その代わり制限時間が設けられますがまぁ許容範囲でしょう
透明薬、透明魔法の使用、戦意喪失薬投薬
以上です、降参しませんか?で、そうですね…
ってな感じです、見ていて面白いものでは無いでしょうね
「戻りました…おや、キミドリさん」
キミドリさんは色が変わってないんですね
「こ、こんにちはシロさん」
「じゃあ早速施設の案内をしますね」
「え、えっと、いま潜伏任務中の空き時間で来てるだけで…とりあえずあいさつはしておこうかなって」
「あぁ…それで…潜伏任務はどういった?」
「野良で冒険者に潜ってダンジョン跡の洞窟探索です」
それはちょうどいい
部隊内で洞窟探索の潜伏任務をしているのはキミドリさんだったのですね
「じゃあ現場で落ち合いましょう、そろそろ潜伏任務で待たされるのも飽きました」
「えっえっ?」
というか今のうちに仕込みたいので潜伏任務を強制的に終わらせましょう
キミドリさんの潜伏任務は私たちの施設から出ることが出来る場所の安全確認が目的でしょう
施設からの転移先、出口の確保が表向きならぬ裏向きの内容ですね
ならもうキミドリさんの潜伏先パーティーを丸ごと認識の改ざんを行っちゃいましょう
移動含めて半日以上の経過です
そこそこ遠いですね
『そろそろですか?』
『はい、今着きました』
現在はもう日も落ちた頃でしょうか
「あの、ほんとに行くんですか?」
スタッフからも心配されます
なんでも異形の魔物がいるので気をつけてとか何とか
「たまには外に出たいって事でここはひとつ」
「はぁ…」
「分かりました」
呆れてますね
◇
俺は剣の達人の冒険者だ、メンバーからはソード兄さんなんて呼ばれてる
今はダンジョン跡地の探索だ
ここらで消える魔物の目撃情報があって安全の確認の依頼を受けた
実入りがいいからパーティーメンバー以外の冒険者も一緒だ、炎の魔法使いと回復の魔法使いも一緒に連れている
前衛ばかりのパーティーだから後衛は受け入れやすい、まぁ俺らはいなくても何とかなるがな
どっちかってーと子分二人が魔法使いの二人に積極的に話しかけてる感じか?
…まぁ強気な子と地味めな子で可愛くないこたねぇが、戦場だからな?
六人乗りの馬車に五人で乗り込み半日以上揺られて目的地に
遠いのもあって報酬が上がるのはいいが…体が訛っちまうな
「ここね!」
「みたいっすね、ソード兄さん」
「…」
「廃墟にダンジョンがあった感じっすかね?」
「みたいだな、瓦礫の影に注意しろよ、死角だかんな」
寂れきったかつて建物が並んでただろう瓦礫の山
何となく面影もあるが…
前方にダンジョンの小山が
全体的に白っぽい瓦礫の山に加えて小山も白っぽい
白の街なんて昔は呼ばれてたのか?なんてほか事に思考をとばしながらもジリジリとダンジョン入口に近づいていく
「なぁ、霧っぽいのが出てるよな、これ」
はっと気がつくと全体的にぼやけて見えている
ダンジョン前まではもう少しだが、いつの間に霧が?
ダンジョンの入口横から人影が
「やっと来たか」
それは力強い女性の声
黒い服装を着ていること程度にしか分からない
「…っ」
地味めな回復魔法使いがあからさまに挙動不審だ
…いや、その姿に俺の体も強ばった
黒い鎧を着ている騎士
赤いラインと共に際立つ体のライン
フルフェイスにより素顔は拝めないが
…つよい
ただそこにたっているだけで圧力がある
「私は漆黒のサクラ、見ての通りの黒騎士だ…ふふ、私は貴様を知っている、剣技に優れている者だろう?」
「…ほぉう、俺を知ってるのかい」
「あぁ、だがすぐに過去の者となるがな」
黒騎士がシュランと黒い剣を抜き、構えた
やる気か…いいだろう
「…まぁ、もう終わったがな」
それは横から、俺の真横から聞こえた
…いつの間に?この鎧でこの速度?
俺は膝から崩れ落ちた
意識が暗転し悪夢にうなされる
何度も、何度も黒騎士に斬られる悪夢だ
……
「あのぉ…大丈夫ですかー?」
声をかけられ目を覚ますと回復魔法使いが俺の顔を覗き込んでいた
「…確か、洞窟の安全を確認した帰りに…黒い騎士に襲われた、んだっけ?」
「えぇ、見逃してくれたので今はもうすぐ街ですけど」
そうか…
回復魔法使いが一瞬微笑んだ気がするが気のせいか?
とにかく帰ってこれたのか…黒騎士は報告しとかねぇとな
元ダンジョンの小山の洞窟は安全、その道中にて黒騎士と遭遇
…洞窟は安全、だったよな?あぁ、安全だ
…うん
◇
「透明な異形も何故か私の言うこと聞いてくれて助かりますねー」
「この二足歩行の魔物から薬品の匂いがするのですが」
「え、魔物の投薬は知らないんですけど…認識阻害のやつかな…?」
キミドリさんと来た冒険者たちを拉致して施設から一方通行で外に出れる洞窟を安全と認識させました
ただこれは特殊な魔道具を使いましたので脳に負担がかかってます
そこでサクラさんに暴れてもらうことで意識の誘導をすることに
多分上手くいったでしょう
キミドリさんに確認を取ってもらえば終わりです
早く終わって浮いた日数はキミドリさんのアシスタント業に時間をつかわせてもらいましょう
ちなみに施設からでて冒険者をボコしたあと改ざんしながら人力車で帰ってます
サクラさんが荷車を引っ張ってくれました
ガッタガタ揺れるので酔いますよ、これ
行き来は一方通行だからね、仕方ないですね…
到着は朝で雷の街の門の近くでキミドリさんとは別れました
◇
「それで、調合なんですけど…」
キミドリさんをお迎えして施設でお菓子を摘んでます
ようやく私のアシスタントが確保出来たよ
「私、やったことなくって」
「……なん、だと!?」
いや、しかし私のシックスセンスは…
とりあえずやらせてみよう
簡単な塗り薬を、はいどうぞ
ボふんっ
「調合でなんで爆発するんですか?」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
小さな鍋だからまだしも…
ふむふむ、固まりすぎて下の空気の逃げ場が…じゃなくて
アシスタント、そう、アシスタント!
まさか、私の勘が鈍ったとか?
それってまずいよ?
今までとりあえず直感、迷ったら勘で動いてましたので
「言いたくないならいいんだけど、組織に入った理由って?」
「あー…えーっと」
「言わなくってもいいよ?」
「薬が理由のひとつなんです、なのでシロさんの施設に呼んでくれた事は嬉しいんです」
大ハズレではないと?
「ただ、物覚えが悪くって…魔法学校も単位不足で落ちちゃって」
へぇ、魔法学校ってエリートじゃないですか
魔法使いになりたいならダメ元で受けてひと握りだけ受かるっていう認識のやつですね
受かるだけ凄いです
「じゃあやれって言われたことをやるのはどうです?説明通りにこなすだけ」
「それならさすがにできますけど…」
さすがにと申しますか
先程の塗り薬の作り方を書き出していく
「スタッフさーん、いますー?」
「あ、はい」
呼べば来てくれる、ゆうのーう
「まな板と包丁、すり鉢、鍋の使い方を簡単に書き出しといてください」
「わかりました」
一般的な調合で使うものです、パッと見で分かりますが一応ね
「あの…なんかすいません」
「いいよいいよ、なんならどうせだしサクラにもやらせる」
「…もご?」
サクラさん、無言でお菓子食べ過ぎです
◇
「私も調合はやったことがないのですが」
「調合って案外簡単なんですよ?手順と材料の組み合わせが取っ付き難いだけで」
こっちから全部用意してしまえばあとは作るだけです
センスの問題ですよ
「じゃ、調合開始!」
サクラさんは切るのとすり潰しの工程の手際が良かったです
「とりあえず細かく切るとはこのような感じでしょうか…」
「…いい感じに潰すとはどのような感じですか」
にっこり
キミドリさんは説明書とにらめっこはしているけど着々とドロドロにしていっています
「少し待ってから入れるとはどのくらい待つのでしょう…」
「早すぎず遅すぎないとはこのくらいですか?」
にっこり
サクラさんの質問にはひとつも答えてません、ただ微笑むのみ
「シロ殿、一向に煮詰まる様子がないのですが」
「シロ殿、薄い緑の液体になってしまったのですが」
にこにこ
サクラさん、失敗してますね、水適量で入れすぎましたかね?
「シロ殿…私のは薄い緑の水なのですが…塗り薬のレシピなんですよね…?」
サクラさんが無駄に手間をかけて色の着いた水を完成させた頃、キミドリさんは鍋で煮詰める作業の途中でした
…塗り薬はとりあえず完成かな
私の見込んだ通りなら、私の作る時と同等か、それ以上ができるはず
「…でき、ました」
「じゃあ冷ますまでちょっとまとっか」
あぁ、うん、私と同等の塗り薬だね
「さっきの植物はですね、回復効果が青みがかる程強くなるんです、私もあんまりないけど一番いいのは青黒くなること」
「…私のはどうでした?」
「青みがかってた、普通のひとは緑のまんまです」
失敗はしらない
「ぅー」
サクラさんが唸ってます、知りません
後でね
「えっ、じゃあ」
「はい、アシスタントとしてよろしくお願いします」
パァと明るい顔になるキミドリさん
簡単に何をして欲しいのかを伝えて
キミドリさんの塗り薬を確認した
やはりいい仕上がりですね
手伝って欲しい時は呼ぶと伝えてその日は解散しました
◇
さて、定例会議でした
相変わらず暗い部屋なので後で内容の確認をします
ポーションの人は絡んできませんでした
そして宿題?をもらいました
とりあえずのように大量とまではいかないが、なかなかの量を発注されました
そして、別の街の闘技大会を邪魔してきて欲しいという宿題です
闘技大会ねぇ…
「という感じです」
「じゃあそこの宿屋にしばらくいるってこと?」
「はい」
ナコさんと久しぶりに離れることになります
なので一緒に寝ましょう
いえ、寝ます
「うーん、明日予定を見てきて空いてたら行こっかな…」
おや、ナコさんも来たいのですか?
あぁ、でもほら、考え事なんてするので投薬済みましたよ
「…ふぬぅ」
「おや、ナコさん眠いのですか?力不足ではありますが肩を貸しましょう」
「シロ殿わた…いえ、お皿を洗おうと思います」
えぇ、サクラさんは賢いですね
「こちらですよー」
「んむ…」
…そういえばナコさんの背は私より小さいんでした
ふふ、私の部屋のベッドまで楽々です
今日の薬には魔力のかく乱作用がありますのでナコさんの認識阻害も効きません
ふふ、私の薬も日々進歩してるのですよ、ちょっと強力にしてしまいましたが
モゾ…
「…しっぽ、だと!?」
ひゃほーい、ナコさんかわわっ!
調合というかもはや料理
アシスタントとしてキミドリさんが増えました
よくあるおなじみ闘技大会ですが、悪者側からのアプローチです、筆が乗りました
黒い鎧の騎士っていいよね…意気揚揚と名乗るイメージはないけど…




