不審者発見!
見切り発車第二弾です。先が全く見えませんー
一
「何を寝言を抜かしているんだ、お前は!?急に目の前に女の子が現れただぁ?俺をバカにしてんのかテメェ?」
高圧的な態度を取りながら隣の細身の影に話しかけているのはまごう事なきこの国の総理大臣だ。
「いや、親父、本当だって!!!エネルギー保存も相対性理論も何もかも無視して俺の目の前に現れたんだって!何だよ!我思う、故に我ありとは言っても、我思う故に美少女ありだなんて聞いてないぜ?妄想が具現化?非科学的にもほどがあるだろう!?でもな、親父、世の中には理不尽な事が沢山あるって教えてくれたのはあんたなんだぜ?」
彼自身、もはや自分が何を言っているのか全く理解できていないのであろう。だが、自分の部屋に明らかにうちの国とは違う服を着た女の子がぽつんと立っていたのだ。
彼女の周りには神聖な金色の光の粒が乱舞しては消えていた。そして、その光が収まると彼女は徐に目を開けた。
彼の存在を認識して、彼女は一気に泣き崩れた。
普段なら一発で通報したであろう彼も流石にこのレベルの怪奇現象を目の当たりにした後ではどうしようもなかった。結果混乱した彼は、今のところ一番頼りになる父親、もとい総理大臣を呼び出したのだ。
「あぁ?確かにそうは教えたが、それは俺の政治理論であって嘘を吐く方便として教えた覚えはねぇよ」
そう言って総理はまるで取り合おうとしない。
「なら自分の目で確かめろって!そこにあるのはパーセンテージで表せるような生半可なな存在じゃねぇ、本当に女の子がいるんだってば!」
彼の錯乱ぶりに呆れながら総理はため息をつく。
これ以上取り合っても仕方がないだろう、自分の目で存在しない事を確認させて一発殴ってやろう、そう思っていた。
「まぁ、いい。一応見に行ってやるよ。もし嘘だったらどうなるか知らねぇぞ?」
そう言って彼は総理私邸の階段を上がる。
そこにあるのは少年の部屋だ。件の事件はそこで起きたらしい。
「ほら、俺が開けるから安全を確認したら入ってくれよ?」
「ちゃんと総理の重要性を解ってるってことはクスリの線はないってことだな」
父親に失礼なことを言われているのにも気付かず、少年はドアを開けた。
「あれ?」
そこには誰もいなかった。
当の少年はキョトンとしている。
「おい、雅也?いねぇぞ?」
そう言いながら半ば本気で総理は頭を抱えた。自分の息子が酷い妄想症状に襲われているとなると、これは病院に入れたほうがいいのか?タチの悪いイタズラかと思っていたが、本気の様子だったので冷静になって考えると責める気が失せてしまった。まぁ、十八にもなってイタズラなどしているのならそれこそ支援の準備が必要なのだが。
「なんで、だよ!?さっき確かに?」
「雅也……。病院、行くぞ?」
「いや、本当だって、病気扱いしてもらっちゃ困るぜ親父!!!確かにそこにいたんだ!絶対にみた!!!」
まるでサンタクロースをみたと駄々をこねる子供のように声をあげる息子をどうしようかと総理が考えていた時。
「あれ?さっきの人ともうひとり?」
総理大臣の背後に目元を赤くした誰かが立っていた。




