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【閑話:ふたりの意見は一致をみた】

そこは真っ暗な空間。

足元には濃い紫の大地があり、大きな真円を描いているのだった。

むくりと起き上がるアミュア。

左右を見回し思う。

(ここ知っている。前にもきた気がする)

そこはかつてダウスレムと戦ったラウマの異空間にそっくりな作りであった。

見通せない果てしない闇に浮かぶ、巨大な円盤状の大地。

(よく思い出せない)

ふと気づいて足元を見ると、そこに黒髪の少女が倒れている。

(黒髪、ウエーブ、わたしと同じ顔‥‥そうだカーニャが言っていた影獣だ)

頭の上にしゃがみこみ顔を見つめる。

「ほんとうにわたしにそっくりだ。これならカーニャもびっくりするはず」

しばらくじーっと見ていたが、起きる気配がない。

話しが聞きたくて、起こすことにするアミュア。

いつものようにおしおしすることにした。

頭の方からではおしおしが出来ないので、立ち上がり足元の方にあるいていった。

おしりの少ししたでキャミソールがゆらゆら揺れた。

ノアの腰の上にしゃがんだアミュアはお腹のあたりをおしおしするのだった。

「起きてください黒いわたし」

おしおしおしおし。

なかなか起きないので、パワーアップするアミュア。

おし!おし!おし!おし!

遠慮なくいろいろな所を押すアミュア。

「ふぎゃああ!!」

さすがにこれには耐えられなかったのかノアが起きた。

さっと頭が当たるのを回避したアミュアが仁王立ちで見下ろす。

腰に手をあて、胸を張っている。

「何するんだ?!びっくりしたじゃない!」

体を両手で隠しアミュアを見上げるノア。

ちょっと内またでペタリと座っている。

「なかなか起きなかったので、頑張って起こしました」

いつも好きなだけ寝ているノアには信じられない行為であった。

ジロっとアミュアを睨んでいた。

「黒いわたし、名前はあるんですか?わたしはアミュアです」

体形まで瓜二つの二人は、色違いの双子にしか見えない。

何時までも見下ろされるのが気に入らないノアが立ち上がった。

腰に手をあて立っているアミュアを、正面から腕組みで睨む。

「ノアよ。銀色はアミュアって言うのね」

お互いを色で認識していた二人は、ここで固有名詞を獲得し合った。

ふっと気づいてノアがきょろきょろ見回す。

「真っ暗‥ここはどこ?さっきまで城にいたのに」

「知らないんですか?」

ちょっとまた得意そうになりアミュアが教えてあげる。

「ここはラウマ様の空間です。わたしの生まれた場所?だと言われています」

「らうま‥」

ノアはその名前に聞き覚えがあった。

どこで聞いたかは思い出せなかったが。

「ラウマではなくラウマ様です」

「‥‥」

ノアにはそもそも敬称という概念が無かった。

きっとしつこくこの銀色アミュアは言うぞ、と思い言い返さないこととしたノア。

どこかの賢者よりも賢明であった。

「らうまさまとは誰なの?」

アミュアは少しイントネーションに違和感を覚えたが、音節はあっていたので認証した。

「わたしのおかあさんです」

「どうしたら帰れるの?これ」

ちょっと自慢気に答えたアミュアの言葉に一切興味を持たず、自分で質問しておいてさらに質問するノア。

「わかりません」

即答のアミュア。

「やくたたず銀色」

「黒いくせになまいきですノア」

色に優劣があるのか不明だが言い返したかったアミュアは、即時に思いついたことを言い返した。


ーーーこれは会話にならない、実力行使だ。


遂に脳内で意見の一致を見た、不穏な二人であった。

ゴウとアミュアから魔力が噴き出しノアを吹き飛ばす。

ほぼ同時にバックステップしたノアが、切り返し右回りに接近する。

アミュアの頭上には既にアイスジャベリンがあった。

ノアは右フックを顔面に叩き込もうとしている。

右手には影で巨大な爪が描かれていた。

ノアの爪とアミュアのアイスジャベリンが同時にヒット。

暗転した二人は元の世界に戻っていくのだった。

この空間では二人の魔力は強大で、地上よりも破壊力抜群であった。

皮肉にも意見の一致により帰還するノアとアミュアであった。




現実世界で先に目覚めたのはノアの方だった。

体には異常なしで、おでこが赤くなっているくらいだった。

足元のアミュアを睨みつけ、すっと遠くまで一足にジャンプして消えるのであった。

こうしてノアとアミュアの初めての接触は終わったのだった。






なんだか色々途中ですが、一旦第3章終了です。

お待たせしました、次回からは大騒ぎの予定です!

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