めちゃくちゃ、通報をためらった話
もう、したくない119番通報
今のところ、この話で最後です
救急車をお呼びしたシリーズ 第四弾。
数年前の出来事です。
我が家の事務所で、お客様方がお茶を飲みながら話をされていました。
五人くらいだったかなあ……。
前回登場した看護師さんも同席していました。
私は基本的に、夫の仕事関係の方々と親しくすることはありません。
なので、その場にはいませんでした。
すると夫が、
「おい、消毒液ないか?」
と私に言いました。
「ないなあ……。メンソレータムならあるんじゃない? なんで?」
と聞くと、
「つまようじが刺さって……。傷口に塗る薬が必要だ」
と言います。
「つまようじ? 刺さった?」
指先にでも刺したのかな?
でも、傷の深さによっては病院へ行った方がいいな。
私は軽い気持ちで薬箱をあさり、抗生物質の軟膏を見つけました。
それを持って事務所へ行き、
「メンソレータムじゃなくて、抗生物質の軟膏があったから……」
と言いかけて、自分の目を疑いました。
つまようじが、足に刺さってる……!
しかも、垂直に、まっすぐ。
足を貫通していました。
そして一人の男性が、
「じゃあ、抜くぞ」
と、ペンチで引き抜こうとしているところでした。
「待って!! 抜かないで!!」
私は叫びました。
「抜いたら駄目です。傷が深いから、塗り薬だけでは消毒しきれません。お医者さんに診てもらって、抗生物質の飲み薬も出してもらわないと。だったら、処置もお医者さんにしていただいた方がいいです」
男性は手を止めました。
「〇〇さんは、どう思いますか?」
私は看護師さんに話を振りました。
「私も、それがいいと思います」
看護師さんも同意してくれました。
しかし、その日は祝日。
近所の病院は休みで、休日当番医はものすごく遠い。
「どうしましょう?」
全員で顔を見合わせました。
一人の女性が、
「救急車?」
と、つぶやきました。
私も決意しました。
「救急車を呼びましょう。私、何度も救急車を呼んでいるから、ベテランです」
そんなベテラン、いるのか?
ですが……。
つまようじです。
これは絶対に、突っ込まれる案件です。
私は覚悟を決めて、119番しました。
「すみません。足につまようじが『貫通』していまして、素人では処置ができません。足なので歩けず、こちらでは運べません。救急車をお願いできませんでしょうか?」
「はああ?? つまようじですかああ???」
そういう反応になりますよね。
「信じられないと思いますが、本当に足を貫通しているんです。お願いします。本人も、ものすごく痛がっています」
電話の向こうで、複数の方がぼそぼそと話し合っている声が聞こえます。
「はあ……。一応行きますけど、軽傷だったら帰りますからね」
「はい。それで結構です。とにかく、助けてください」
私は必死にすがりました。
そして、救急車が到着。
救急隊員の方々が事務所へ入ってきました。
つまようじの刺さった足を見た瞬間、
「なんで????」
救急隊員の方々も、びっくりしていました。
「これは……病院で抜いてもらいましょう」
どうやら搬送していただけるようです。
私は、ほっとしました。
救急隊員の方が、つまようじ付きの足の写真を撮ります。
そして、
「歩かないでくださいね。我々が運びます」
と言い、その方を抱えて、無事に搬送してくださいました。
結局、お医者さんでも簡単には抜けず、切開したそうです。
止めてよかった、私。
自分で自分を褒めてあげたい。
しかし、つまようじ……。
どうしてそんなことになったのか、本人にも分からなかったそうです。
たかが、つまようじ。
されど、つまようじ。
床に落とさないよう、気をつけたいと思います。
そして夫。
安定の、丸投げ。
「えー、救急車呼んだの?」
本当なら、あなたが対処するべきだったんじゃね?
と思ったけれど、言いませんでした。
たかだかつまようじ・・・
まさか、救急車要請になるとはですが、運んでくださって本当にありがとうございました。
感謝です




