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鶴見日向子の独り言(還暦過ぎてうつ病になった主婦の日記)  作者: 鶴見 日向子


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「先」を行っていた息子

温かい未来が見えた話

夫が、


「孫ちゃんの誕生日プレゼント、これ、よくない?」


と、スマホに映したおもちゃの画面を差し出してきました。


(自分の子供たちは『フルシカト』だったくせに)


私は遠い目になります。


「シカト」とは、今では死語かもしれませんが、「無視する」という意味です。


フルシカト=まったく目に入れていなかった状態。


夫が、自分の子供におもちゃを選んだことなんて、一度もありません。


勝手に処分したことなら、数え切れないほどありましたけど。


私は、息子の気持ちを考えて、少し胸が痛くなりました。


孫までフルシカトじゃなくていいけどさあ……。


孫ちゃん本人に、


「何か欲しいものある?」


と聞いたら、


「犬!」


と答えました。


息子が住んでいるところは社宅なので、動物は禁止です。


「無理だなあ……。私も欲しいけど」


孫ちゃんは、しょんぼりしていました。


私は息子に相談しました。


「メダカならいいでしょ? 飼育セットを送ろうか? 容器が発泡スチロールだから、いらなくなったら処分できるし、メダカはたくましいし、比較的世話も楽だよ。動くお魚、喜ぶと思うよ?」


すると、


「いや、メダカは近所の人たちがやたら飼っているから、いらない」


と言います。


(動物禁止だから、みんなそちらに行ったか)


私は苦笑しました。


「了解! 現金送るわ」


「助かります」


「そういえばね、私、アクアリウムを始めたんだよ」


そう言って、レイアウトした水槽の写真を送りました。


私としては、「こんなことができるくらい、かなり回復しているよ」と伝えたかったのですが、


「きれいですね。でも、『砂』を入れたほうがいいと思います」


と、息子。


意外な返信に、私は目を丸くしました。


「いや、砂を入れちゃうと手入れが大変だから。

自分の今の年齢で、手入れできる方法に合わせたのよ。

砂を入れなくても、底が鏡みたいになって、上の水草が反射して映るから、きれいだよ」


と返信しました。


すると、


「いいですね。僕もやりたいから、するときは教えてください」


「はい???」


まさか息子がアクアリウムに興味を持っているなんて、まったく思いませんでした。


「水槽もあるんです。だから、子供たちが大きくなったら『いつか』やりたいです」


「うん。私も『いつか』と思っていて、『今』始めた。お金はかかったけど、満足だよ」


そう。


私もずっと、「いつかやりたい」と願い続けてきたのです。


「よかったです。昔、お母さんがしていたの、覚えてますよ。懐かしいです」


黒歴史、覚えられていたか!!(苦笑)


「今はネットで何でもそろえられるから、あの時代とは違うよ」


私は笑いました。


「そうですね。僕もネットを見て、やりたくなりました。水槽はあるんですよ。60センチのが」


「へえ……。なんで??」


小型水槽全盛期に、なぜ60センチ幅?


狭い社宅のどこに置いたのであろう?


それは言わないでおく。


「実は、ご近所の方から大量にメダカをいただきました」


へっ???


「そうしたら、増えすぎて……。生態系が崩れて、全滅しました」


間違いなく、親子だ。


血は争えない……。


いつか落ち着いたら、私の姉(筋がね入りの小型水槽専門アクアリスト&苔リウムレイアウト達人)も交えて、お嫁ちゃんや孫ちゃんたちと、水槽の前でいろいろ話ができる。


そんな未来が見えてきた気がしました。

なんだか、胸が温かくなりました。

過去の「なんじゃそりゃ??」ばかり、書いてきたので、こういう話が書けてうれしいです

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