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鶴見日向子の独り言(還暦過ぎてうつ病になった主婦の日記)  作者: 鶴見 日向子


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はああ???

前の話の続き

健常の息子――ここでは「健君」としておきます――は、ギプスをつけ、松葉づえ生活になりました。


「足の甲の骨折だけで済んでよかった」


本当に、ほっとしました。


事故から数日後。


障害のある息子――こちらは「障君」にします――が、夕方、外へ出ていきました。


そして、すぐに戻ってきたのですが、ゲラゲラ笑いながら足を引きずっています。


なんか変……。


足を見て、びっくりしました。


足の甲の厚さが、倍以上になってる!!!!


ところが、本人はまったく痛そうではありません。


障君には、つらい時や困った時に、笑ってしまうという特性がありました。


翌日、すぐに整形外科へ連れていきました。


レントゲンを見た先生が言います。


「ああ、典型的な『階段から落ちた時』の骨折ですね」


当時の我が家、平屋だったんですけど……。


家の裏側には階段がありましたが、障君は外へ出てからすぐに戻ってきました。


そこまで行ったとは考えにくい。


残るのは、勝手口にある「三段」の階段です。


「階段三段で骨折?」


絶句……。


担任の先生にも言われました。


「お宅に、階段なんてありました?」


「三段ならあります」


先生も絶句。


障君は、運動神経だけは抜群で、一輪車を乗り回していた子です。


その障君まで、ギプスに松葉づえとなりました。


「兄弟そろってかよ!!」


_| ̄|○


当時の母の心境です。


ところが障君、ギプスをつけたまま、普通に歩きます。


「普通は痛くて、足をつけないのですが……」


お医者さんも困惑していました。


この時、痛みにかなり鈍いことも判明しました。


後日、再びレントゲンを撮ると、


「骨折がひどくなっています。でも、本人が平気で歩いてしまうので、どうしようもありません」


先生が頭を抱えます。


ギプスは補強のため、どんどんつけ足されていき、見るたびに太くなっていきました。


その頃、健君と娘は、あるスポーツをしていました。


夫も一緒に参加していました。


健君が行けなくなったので、夫は娘と二人で出かけました。


自分の好きなことには、協力的なのです。


そして……。


足を引きずりながら、帰ってきました。


「痛いんだけど……歩けない……」


「はあああ????」


です。


翌日、三人そろって整形外科へ。


「ああ、足の腱が切れていますね」


はい、松葉づえ決定!!


家族の男三人、全員松葉づえ。


人生って、いろいろありますね。


――普通、こんなことはないだろ!!


## 後日談##


健君は三週間ほどで骨がくっつきました。


リハビリも一度しただけで、すぐに松葉づえなしで歩けるようになりました。


障君は相変わらずギプスのまま普通に歩いていましたが、一か月以上経って、ようやく骨がくっつきました。


ギプスが厚くなりすぎて、レントゲンを撮るのも大変だったようです。


何度も撮り直していました。


そして、ギプスを外すのにも、とても時間がかかりました。


ようやくすべて外し終えた先生は、疲れ切った顔で言いました。


「君はもう、リハビリをしなくていいから」


交通事故による骨折は、三週間で完治。


勝手口の階段三段での骨折は、一か月以上。


ものすごい皮肉です。


夫もしばらくすると歩けるようになりましたが、その後一年ほど、痛がっていました。


子どもの骨折は、それくらいの期間で治ってしまうのですから、すごいものです。


ただし、年を取ってからの骨折は悲惨です……。


## さらに後日談


事故を起こした若い女性は、かなり重い処分を受けたそうです。


罰金三十万円に、免許停止半年だったでしょうか。


ずいぶん昔のことなので、正確には覚えていません。


すると後日、その女性の母親が、我が家へ怒鳴り込んできました。


「お宅の子どもが飛び出してきたんだろうが!」


いやいや。


事故現場は垣根のせいで見通しが悪く、事故のあと、その家の垣根はすべて伐採されていました。


私は警察の事情聴取でも、こう話しています。


「事故の直後に土下座までされましたし、ご近所の若いお嬢さんです。どうか、あまり重い罰にはしないでください」


「足の骨折だけで済みましたし、保険会社からの賠償も、きちんと済んでいますから」


何と言っても、その時の我が家には、階段三段で骨折した男もいましたからね。


すると警察官の方が、逆に怒りました。


「全治四週間のけがを負わされて、どうしてそんな甘いことを言うんですか!」


まあ、そりゃあ、そうなのですが……。


私は障害児施設で、重い障害のある子をたくさん見てきました。


息子が元どおり元気になったのなら、それでよかったのです。


ところが、私が本当に腹を立てたのは別のところでした。


現場検証では、息子が道路へ飛び出したことになっていたのです。


息子は、


「植木で左右が見えなかったから、少しだけ首を出した」


とはっきり話していました。


飛び出したわけではありません。


そのことを警察官に伝えると、


「処分には関係ありませんから」


と言われました。


いや、関係あるでしょう。


処分の重さだけではなく、事故がどうして起きたのかを正しく記録することも、大事なのでは?


若い女性に重い罰を与えてほしかったわけではありません。


ただ、息子が悪かったことにされるのは、納得できませんでした。


警察って、案外いい加減です……(苦笑)


そして、事故の直後には土下座までしていたのに、一転してこちらを悪者にしたお母さん。


交通事故というものは、けがだけではなく、いろいろな意味で悲惨なのだと思いました。

幸い、2人とも、その後骨折するような事はありませんでした。

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