迷子ちゃんと遭遇した話
大人になって、楽器を再開した時、「自己流じゃなくてちゃんと習いたい」と思って、教室に通っていました。
その頃のお話
楽器を習っていた頃の話です。(だいぶん前です)
ある日、某ホールでコンサートのリハーサルがありました。
教室のみんなで出演する予定だったので、私も参加していました。
その後、先生のお宅で発表会のための「ピアノ合わせ」がありました。
伴奏のピアノの先生と一緒に演奏を合わせる、あれです。
リハーサルが終わり、駐車場に戻ると、私の車の横で4〜5歳くらいの男の子が一人、ぶらぶらしていました。
「どうしたの?」
と声をかけると、
「家族とはぐれた」
とのこと。
迷子ちゃんです。
その場所はホールだけでなく、大きな公園も隣接していて、駐車場も広大でした。
今なら110番するか、管理事務所に連絡すると思います。
でも当時はどうしていいのかわからず、とりあえずその子のそばにいることにしました。
とはいえ、広すぎて迷子の呼び出しも難しそう。
私は、
「ピアノ合わせの時間が~~!!」
と思いながらも、その子を放置することができませんでした。
そして、そのまま一緒に待つこと約1時間。
「ついてない……」
と思い始めた頃でした。
「あ、いた!!」
その子によく似た、少し年上らしい男の子が走ってきました。
「探したんだぞ~~!」
どうやらお兄ちゃんのようです。
「車のそばにいれば、お父さんとお母さんが来ると思ったんだもん」
そう言って、男の子は私の車の隣を指差しました。
そこに停まっていた車こそ、家族の車だったのです。
なるほど。
小さいながらに考えた結果だったのでしょう。
「おりこうだったね」
そうほめて、私は急いで車に乗り込みました。
「ああ、ピアノの先生に迷惑をかけてしまった……」
その時です。
携帯電話(当時はガラケー)が鳴りました。
「あ、鶴見さん? 私です」
教室の先生でした。
来ないので心配して電話をくださったのだと思い、
「すみません、迷子を見つけてしまって、今から向かいます」
と答えました。
すると先生が、
「じゃあ、まだホールにいるんですね? よかった~~」
と、心底ほっとした声を出したのです。
(はっ???)
私が想像していた反応と違います。
「はい、まだホール横の駐車場ですが……」
そう答えると、先生は申し訳なさそうに言いました。
「実は、ピアノの先生とホールで待ち合わせしていたんですが……私、先生を置いて帰ってきてしまったんです」
絶句。
「鶴見さん、申し訳ないのですが、先生を乗せてきていただけませんか?」
……どうやら、迷子は一人ではなかったようです。
私は急いでホールの玄関へ向かい、無事にピアノの先生をお乗せして、先生のお宅へ向かいました。
今となっては、とても懐かしい思い出です。
先生には、全然悪気はなく・・・・
「まあ、先生だから」で大人の生徒達はそれで済ませていました。
楽器の経歴はすごい人だったんだけどなあ・・・・(苦笑)




