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鶴見日向子の独り言(還暦過ぎてうつ病になった主婦の日記)  作者: 鶴見 日向子


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お腹は丈夫だった話

今だから笑える話

ちょうど右肩の手術後、だいぶ右腕が動かせるようになった頃の話です。


当時、社員寮に住んでいた息子の様子を見に行きました。

まだ独身の頃です。


一緒に買い物をして、夕飯を作り、卵やら何やら買い込みました。

重い物が持てなかったので、買い物は息子に手伝ってもらいました。


翌朝。


オムレツを作ろうと冷蔵庫を開けると、扉の卵置き場に卵が四つほどありました。


「あら、卵あるじゃない」


私は当然のように、


「古い方から使おう」


と思いました。


卵を割ってみても見た目は普通。

特に違和感はありません。


ふわふわのオムレツを作り、ケチャップをかけて完成です。


起きてきた息子が目を輝かせました。


「美味しそう♪ お母さん、先に食べてていいよ」


私はお言葉に甘えて、一口。


「あれ?」


何だか変です。


卵の味がしないというか、妙にぼんやりした味。


首をかしげていると、息子がおそるおそる聞いてきました。


「それ……昨日買った卵で作ったんだよね?」


「いいえ。冷蔵庫にあったのを先に使ったわよ」


すると息子の顔色が変わりました。


「なんで新しい方から使わないの!?」


「えっ? 普通、古い方から使うでしょ?」


そう言いながら、私はすでに半分ほど食べています。


当時の私には、

「食べ物を残す」

という選択肢がほぼありませんでした。


息子はオムレツを見つめたまま言いました。


「俺、朝ごはんいらない。ごめん。時間ないから行く」


「えー、せっかく作ったのに」


私は不満顔。


息子は玄関で靴を履きながら振り返りました。


「あの卵、半年以上前に買ったやつ」


そして、そのまま逃げるように出勤。


私はしばらく固まりました。


「えーーーーーーっ!?」


もちろんオムレツは即処分です。


でも、


「食べちゃったじゃないかあああ!」


という気持ちは消えません。


その日の夜、帰宅した息子と口論になりました。


「何で半年も卵を放置するのよ!」


「昨日、『卵ないから買おう』って言ったよね?」


「言われたけど、実際にあったら勘違いだと思うでしょ!」


すると息子が言いました。


「息子を信用しすぎだよ。僕がちゃんと自炊していたとでも?」


確かに。


冷蔵庫の中には賞味期限切れの物が大量に入っていました。


「言ってくれたら卵も捨てたわよ!」


「気付かなかったの! 新しく買ったから大丈夫だと思った!」


まあ、済んだ話を蒸し返しても仕方ありません。


私は、


「これからはちゃんと処分してよ!」


と強く言い聞かせておきました。


ちなみに、食中毒は大丈夫でした。


本当に何ともありませんでした。


変なところだけ丈夫な私です。


それ以来、息子の冷蔵庫に入っている物は信用しないことにしています。


後日談


息子の冷蔵庫には、さらに恐ろしい物が入っていました。


謎の海外食品です。


どれも日本語ではない文字が並んでいる。


「ああ、それね。海外赴任した同期がお土産で持ってきてくれるんだよ」


息子の部屋は本社に近く、独身だったこともあって、同期たちの宿代わりになっていたそうです。


賞味期限はたぶん大丈夫。


たぶん。


でも、中身も食べ方も分からない。


半年物の卵を食べた私ですら、そっと冷蔵庫を閉めました。


「息子君、君、あれ食べる気ある?」


「ない!」


即答でした。


半年間卵を放置した男である。


結局、帰る前に新聞紙を持ってきて、中身が見えないように包み、私がまとめて処分しました。


あの頃の息子の冷蔵庫は、まさに魔境でした。


今思うと、よく半年物の卵だけで済んでいたものです。


その後、息子は無事に結婚しました。


今はしっかり者のお嫁ちゃんがいるので、さすがに冷蔵庫が魔境になることはない……と思いたいです。

卵って、意外に大丈夫なんですねー(遠い目)

真似しないでください(誰もしないと思うけど)

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