精神科の話
精神科を転院した話
最初に精神科へ通うようになった理由は、実は息子の付き添いでした。
詳しいことは書きませんが、息子の一人は重い障害を持っています。
本当はこの話を書くつもりはありませんでした。少々重い話ですから。
ただ、このことを書いておかないと、これから先の話が少し不自然になってしまうので、頭の片隅に置いておいていただければと思います。
その頃、息子の精神状態が不安定になり、通所施設の方から勧められて精神科を受診することになりました。
ちょうど同じ頃、私自身もさまざまなことが重なり、ほとんど眠れない状態になっていました。
そこで、息子の付き添いだけでなく、私自身も診てもらうようになったのです。
今振り返ると、それはよかったと思います。
精神科に対する抵抗感がぐんと下がったからです。
最初に通った病院は少し遠方にありました。
とにかく混雑していて、数時間待ちは当たり前。
それでも当初は診察も丁寧で、話もしっかり聞いてくださいました。
ところが、コロナ禍を境に患者さんが急激に増えました。
午前中の早い時間に行っても、
「本日の受付は終了しました」
となっていることがありましたし、午後に行っても、
「診察開始は30分遅れます」
という張り紙を見ることもしばしばでした。
駐車場は狭く、いつも満車。
ようやく診察を受けても、ほんの一言で終わってしまうことが増えていきました。
当時の私は症状が落ち着いていたため、断薬を希望していました。
相談したところ、
「やめていいですよ」
との返事。
以前、デパスの減薬で苦労した経験があった私は、
「そんなに簡単な話ではないのでは……」
と不安になりました。
転院を考えましたが、近くの精神科には苦い思い出があります。
正直なところ、
「あの先生なら数時間待ちの方を選ぶ」
と思うほどでした。
どうしたものかと悩んでいた時です。
何気なく「精神科」で検索してみたところ、自宅のすぐ近くに精神科のホームページが出てきました。
「えっ? こんなところに病院なんてあった?」
よく見ると、開業して間もない病院のようでした。
予約制で駐車場完備。
近くには大きなスーパーもあります。
そして何より近い。
私はすぐにホームページから事情を書いたメールを送りました。
「紹介状がないのですが、受け入れていただけますか?」
すると、
「大丈夫ですよ。予約をお取りください」
とお返事をいただき、無事に転院することができました。
初診の日、先生はまず確認してくださいました。
「息子さんは今までのお薬で様子を見て、お母さんは断薬を希望されているのですね」
そして、
「断薬は自己判断で行うと危険です。こちらでしっかりサポートしますので、一緒に頑張りましょう」
と言ってくださいました。
その言葉に、とても安心したことを覚えています。
さらに驚いたことがありました。
「ご本人の診察なしで薬だけを処方することはできません」
と言われたのです。
私は何年もの間、自分の受診のついでに息子の薬を受け取っていました。
それが当たり前だと思っていたので、とても驚きました。
その後、血液検査も行われました。
前の病院では一度も受けたことがありませんでした。
検査結果を見た先生は、
「お母さん、お薬の影響が出ていますね。断薬を急ぎましょう」
と言われました。
後になって薬の副作用と思われる骨粗鬆症が見つかり、治療を受けることになりますが、それはまた別の機会に書こうと思います。
半年ほどかけて減薬を進め、最終的には断薬に成功しました。
そして先生から、
「完治と考えてよいでしょう」
という言葉をいただいたのです。
その時のお話は以前書いているので、ここでは省略します。
(詳細は「現在の話」をごらんください)
息子の薬も見直されました。
先生はカルテを見ながら、
「この薬、本来は朝に飲む薬ですよね。ずっと夜に飲んでいたのですか?」
と首を傾げておられました。
話が少しそれますが、その病院は今でも大変な人気です。
私たち親子には、新しい病院の方が合っていたのでしょう。
そして何よりありがたかったのが、「自立支援医療制度」を教えていただいたことでした。
「私でも対象になるのですか?」
と聞くと、
「もちろん対象になりますよ。長く通院されていますから」
とのこと。
申請したところ、無事に利用できるようになりました。
その時は、
「もう必要なくなるだろう」
と思っていました。
完治と言われたのですから。
ところが人生はわからないものです。
一年以上経ってから、私はうつ病を再発しました。
今では息子よりも私の方が頻繁に通院しています。
後になって先生から、
「あの頃の日向子さんは、地獄をまとっているように見えました」
と言われました。
自分では必死で生きていただけだったので、少し驚きました。
それでも今は、小説を書いたり、好きなことを考えたりできています。
再発した時は絶望しましたが、以前通院していた経験があったおかげで、早めに受診することができました。
精神科は相性もありますし、運もあると思います。
もし今つらい思いをしている方がいたら、
「自分に合う先生に出会えることもある」
ということだけは、お伝えしたいです。
「先生、開業してくれてありがとう」と今でも感謝しています
最近、評判が広まって、予約が取りづらくなりました。
でも予約制なので、ちゃんとお話しを聞いてくれます




