Ⅸ
意識が浮上して真っ先に覚えたのは『不快』のひと言だった。
それが後ろ手で両手を縛められ、石床の上に直接転がされているために覚えるものだと理解した時には、すでに目の前に立つ人物が誰なのかが認識できている。
「……まさか、貴方が最後の黒幕だったなんて」
自身の寝起きの良さに感心しながら、アナスタシアはゆっくりと体を起こした。
「案外、やり手でしたのね? ウォードレット卿」
「貴女様からお褒めの言葉を賜るとは。恐悦至極の限りでございますよ、アナスタシア様」
神殿の最奥部。本来ならば限られた神殿関係者しか立ち入ることができないはずである場所には、知っている顔から知らない顔まで、随分とたくさんの人間が詰めかけていた。
その中心。血走った目でアナスタシアを睨み付けるアルバートの隣に悠然と立った老爺は、アナスタシアの呼びかけにゆったりと笑みを浮かべる。
セドリック・ウォードレット。
この国の祭祀を司る神官長。本来ならば何があっても聖女を守る絶対の盾にならなければならない人物は今、リンゼル侯爵が派遣したと思わしき兵を従えてアナスタシアの前に立ち塞がっている。
──まさか最後の最後まで尻尾を掴ませなかった関係者が、神殿内部にいたとは。
レティシアに語った通り、アナスタシアはすでにおおよその黒幕を調べ上げ、捕縛の段取りを終えていた。リンゼル侯爵一派が動き出しさえすれば、それで王手だったはずだ。
だがその一方で、埋まらないピースがあったのも事実だった。今リストアップされている人物だけでは、王宮内での黒幕達の動きを完全に再現できないのではないかという疑念も、確かにアナスタシアにはあった。
──神殿関係者は、聖女を失えば一方的に痛手を受ける。そう安直に考えて疑念の対象から外した、わたくしの落ち度ですわね。
そのたった一点の思い込みで、自分は安々と敵の手に落ちた。誰に行動を知らせることなく自らの足で安全地帯の外へ踏み出し、味方だと思い込んでいた面々に物理的に押さえ込まれてここにいる。
いくらアナスタシアが聖女の権能を備えていても、正規の神殿付きの兵に後ろから不意打ちで手刀を落とされて意識を奪われては何もできはしない。
その点で、レティシアが神殿との行き来の際にアナスタシアの護衛を務めてくれていたのは、正しく敵への牽制になっていたのだろう。実際今日だって、レティシアが同行していてくれたら、こんなことにはなっていなかった。
「何が目的でして?」
己のミスを内心で認めてから、アナスタシアは神官長へ問いを投げた。
「神殿関係者である貴方が、アレスティアを裏切ってルーベルスについても、大した旨味はないと思うのだけれども」
悠然と、あえて尊大な響きを纏わせたアナスタシアの言葉を受けても、神官長が浮かべる穏やかな笑みは崩れない。幼い頃から事あるごとにアナスタシアを諭し、導いてきた老爺から変わることなく笑みを向けられていると、今目にしている光景は出来の悪い悪夢なのではないかとさえ思えた。
「信仰と権威だけでは、欲と心は満たされんのですよ、アナスタシア様」
だが老爺が口にした言葉は、アナスタシアが見ている景色を嫌になるほど肯定している。
「神殿にいては、金を稼ぐことはできん。神官の家に生まれついたというだけで、生まれながらに備えた一切の欲を捨て、清貧に生きることを強いられるなど、不平等だとは思われませんか、アナスタシア様」
「『生まれながらの聖女』に対して、それを言いますの?」
「特別である貴女様と、ただの凡夫を同列に語らないでいただきたい」
「そうだぞアナスタシア!」
穏やかな笑みを浮かべたまま至極勝手な理論を展開するウォードレットの隣で、今度はアルバートが叫ぶ。その場に立っているだけなのにフーッ、フーッと獣のように息を荒げるアルバートは、すでに正気を失っているようだった。
「お前のせいで全部失ったっ!! 全部全部消えてしまったっ!!」
「お兄様」
「あの場には誰も残らなかったっ!! 王太子は僕なのにっ!! お前が退出したら誰も残らなかったっ!!」
唾を撒き散らしながら叫ぶアルバートには、王の子としての威厳や気品はどこにもなかった。改めて見れば、服装は昨日の盛装から上衣を脱ぎ捨て、タイを緩めただけのものだ。
恐らくだが、アナスタシアとレティシアが退出した後、あの婚約披露宴はなし崩しにお開きとなったのだろう。
聴衆がその場から消えてしまえば、披露宴も何もない。そのあまりにも悲惨な状況に、ソフィアも『お友達』も逃げを打つことにしたのだろう。あるいはアルバートのあまりの無能さに、黒幕であるリンゼル侯爵から撤退の指示が出たのかもしれない。
どちらにしろ、そちらに関してはすでに手を打ってある。レティシアを陥れる手助けをした輩は一人たりとも逃がすつもりはない。
──それにしても。
アルバートはレティシアとの縁を自ら断ち切り、父王選りすぐりの側近達を自ら遠ざけた。その上で新たな婚約者に据えたソフィアにも、意気投合したと思っていた『お友達』にも逃げられたアルバートの傍には今、本当に誰も残っていないのだろう。
一人きりでは服装ひとつ整えられず、自らの意思だけでは理性的な行動のひとつも取れない。
そんなアルバートが頑是ない子供のように無茶苦茶なことを喚く様は、滑稽を通り越して哀れでさえあった。
「ズルい、ズルい、ズルいっ!! 僕は王太子なんだぞっ!? 次の国王はこの僕だっ!! この国の全ては僕のものだっ!! なのにどうしてお前は全部僕から奪っていくんだっ!? お前は生まれながらに全部持っているくせにっ!! それなのにどうしてまだ僕から奪っていくんだっ!? 何が足りないと言うんだっ!! この意地汚い乞食めっ!!」
そんな相手に何を罵られようが、アナスタシアの心には響かない。
アルバートを冷めた表情で見据えたアナスタシアは、視線を巡らせて自らが置かれた状況を確かめた。
──兵は五十人ほどかしら? 聖女としての権能を振るえれば、大した障害にはならないけれども。
問題は、その『聖女としての権能を振るえれば』の部分だ。
「お気付きになられましたか、アナスタシア様」
ウォードレットもまた、アルバートの声を聞いてはいないのだろう。アナスタシアだけに視線を注いでいたウォードレットは、目ざとくアナスタシアの内心を掬い上げるとニタリと嫌な笑みを浮かべる。
「貴女が脅威であるのは、聖女であるからです。聖女としての権能があるからこそ、貴女様を誰もが恐れる」
そう。ウォードレットは神殿の関係者であるからこそ、余計に聖女の恐ろしさを知っている。
巷での聖女へのイメージは『女神に選ばれし乙女』『神と国の橋渡しをする存在』と漠然と敬意を抱かせる美しいものだ。神殿で日々祈りを捧げ、祭事の際には着飾って衆目を集める聖女のイメージは、見る者に幻想的な印象を与えるらしい。世の少女達が憧れを抱くのは、そうした姿ばかりが目につくからだ。
だが実際のところ、聖女はそんな清廉で美しいだけの存在ではない。それだけの存在であるならば『神裁の代理執行官』などという物騒な二つ名は生まれないはずだ。
聖女は、女神より与えられた力を攻撃に用いることができる。
それこそ有事の際は生身のまま戦の最前線に立ち、敵国の軍隊を一人で一掃することを期待されるくらいの脅威を聖女は帯びているのだ。
──まぁ、一概に『聖女』と言っても、個々人の力と技量の差はありますし、歴代の誰しもがそれを成せたわけではないけれども。
さらに言えば、どれだけの力を振るえるかには女神の意思も関わってくる。
アレスティア王国を守るための戦いならば女神は力を貸してくれるだろうが、アレスティア側が他国を蹂躙するような戦では女神は力を貸してはくれない。そんな風に『聖女の権能』というものは、当人の技量のみによるものではなく、状況にも強く左右される。
今、アナスタシアはアレスティアという国を守るために動いている。そんなアナスタシアが敵の奸計に嵌って危機に陥っているというのが今の状況だ。
女神から見れば、正義はアナスタシアにあるはずだ。アナスタシアが願えば、女神は身を守るための力を貸してくれるだろう。
恐らくリンゼル侯爵達は、そのことをきちんと理解できていた。
だからこそ、向こうはウォードレットを仲間に抱き込んだのだ。
「私はそれを誰よりもよく知っている。貴女様の技量が、いかほどのものであるのかも」
「だからわざわざここにわたくしを転がしたのね?」
『話がくどい』と言わんばかりに、アナスタシアはウォードレットの言葉を断ち切った。ついでにカツンッと爪先で石床を叩き、そこに刻み込まれた陣を示す。
「封印の陣。リンゼル侯爵達が貴方を抱き込んだ最大の目的は、貴方にこの陣を描かせるためかしら?」
祈りの間の石床には今、アナスタシアが転がされた場所を中心に複雑な紋章が描かれていた。
簡単に掻き消されないようにと念を入れたのか、石床に直接陣を刻み込んだ上から赤黒いインクを染み込ませて陣を描き出しているらしい。幾重にも重ねられた精緻な円と、隙間を埋めるように描き込まれた文字とも記号ともつかないおびただしい線は、とてもじゃないが一朝一夕で描き上げられるものではない。狂気的とも言える光景は、そのままアナスタシアへの執念を示しているかのようだった。
「……っ」
──これが神殿に伝わる秘術陣……!
見つめ続けていると、クラリと目が回る。そんな目眩を覚えるのがこの場で自分ただ一人しかいないことを知っているアナスタシアは、ジワジワと感じ始めた不調を察されないように静かに視線をウォードレットへ据えた。
曰く、女神の力を封じるために神殿が伝えてきた、徒人が持つ最後の切り札。
それがこの『秘術』と呼ばれる不思議の技だ。
──まさか我が身で体感する日が来るとは、思ってもいなかったわね。
神殿に仕える神官達は、日々の祭祀を担い、女神と聖女に仕え、国と民を護り導くことを使命としている。その一方で、万が一聖女や女神の力が暴走した場合は、命を賭して民の盾となるのも神官の務めとされてきた。
その際に神官達の武器となるのが、この『秘術』と呼ばれる技だ。
神官達は代々この秘術を学び、いざという時に備えて鍛錬してきた。聖女は神殿の最高権力者ではあるが、この秘術は『いざという時に聖女と女神を止める』という目的のために作られた御業だ。それを理由に存在こそ教えられるものの、詳細や理屈の一切は聖女には秘匿されている。
アナスタシアもそれは例外ではなかった。秘術がこんな形をしているのだということも、こんなに覿面に効くのだということも、アナスタシアは今この瞬間に生身で初めて知る。
──できれば一生、知らないままでいたかったわね……!
生まれついての聖女であるアナスタシアは、物心ついた頃から手足を使うように女神の力を扱うことができた。意識しなくても女神の意思はアナスタシアの意識の傍に常にあったし、漠然とした第三者の息吹を身近に感じながらアナスタシアはここまで生きてきた。
だがこの場で目を覚ましてから、アナスタシアは女神の気配を一切感じ取れていない。
まるで見えない第三の手足をもぎ取られたかのような。見えない箱の中に押し込められて世界から断絶されているかのような。そんな気持ち悪い閉塞感を打ち破れずにいる。
何より、聖女の権能を行使しようと世界に呼びかけても、力が応じる気配がコトリともしない。
今のアナスタシアは、聖女としての力を完全に封じられてしまっている。
この場にいるのは、ただの『アナスタシア』だ。十六歳の少女の中で比べても一際華奢で、力にも体力にも乏しい、ただただ美しいだけの無力な娘。
「……その生意気な口も、いつまできいていられますかのぉ?」
恐らくウォードレットは、その事実に勘付いている。
それを裏付けるかのように、ウォードレットは顔から笑みを消すとスッと片手を挙げた。
その合図に従って、人垣の中から数名の男が進み出る。その中にはアルバートも混ざっていた。アルバート以外の男達の顔には、ニタニタと下卑た笑みが浮かんでいる。
その表情だけで彼らが何を企んでいるのか察したアナスタシアは、無意識のうちに体を後ろへ引いていた。わずかな動きであったはずなのに目ざとくそれに気付いたウォードレットは、冷めた瞳でアナスタシアを睨めつける。
その上でウォードレットは、感情が見えない声で言い捨てた。
「乙女でなくなれば、貴女様は永遠に聖女の資格を失う」
「……っ!」
彼らはこの場で、アナスタシアを穢すつもりなのだ。
本来ならば、女神に祈りを捧げるためにある、神聖な場所で。これだけ大勢の人間が詰めかけている中で。
実兄であるアルバートまでもが加わって、寄ってたかってアナスタシアを壊す心積もりでいる。
その事実に、ゾッと嫌悪感が肌を這い回るような心地がした。サァッと血の気が引いて、指先や足先がカタカタと震え始める。
確かに、アナスタシアにとっても、アレスティア王国にとっても、この上ない痛手だ。
聖女を失えば、アレスティア王国は大きく国防力を下げる。アナスタシア個人としては、……言葉にする必要さえないだろう。
──どうにかしなければ。
立ち上がって、逃げ出さなければ。今だけは無様に背中をさらして逃げ出しても許される。純潔を散らされればおしまいだ。聖女として、王女として、それだけは何としてでも避けなければならない。
分かっている。とにかく立ち上がって、動き出さなければ。この陣が刻み込まれている範囲から脱出することさえできれば、最悪活路は見出だせるはすだ。
アナスタシアの理性は必死に今なすべきことを己の体へ訴える。
だがアナスタシアの意思に反して、足は力の伝え方を忘れたかのようにピクリとも動いてくれなかった。
──動け! 動きなさい……っ!!
必死に両腕を捻って拘束を緩めようとしても、縄と擦れ合う手首に激痛が走るだけで拘束が緩む気配はない。アナスタシアの無様な抵抗を嘲笑うためなのか、近付いてくる男達はことさらゆっくりと歩を進めていた。
──どうして、
そんな男どもを必死に睨み付ける視界が、不意にユラリと揺らいだような気がした。目元に集まる熱を散らすために、アナスタシアはさらにきつく男どもを睨み付ける。
──どうしてわたくしは、普通の女の子として生まれてくることができなかったのかしら?
聖女ではなく。王女でもなく。ただの普通の女の子として生まれていたら。
周りから期待を押し付けられることもなく。完璧を求められることもなく。自由を奪われることも、豪奢で窮屈な檻に閉じ込められることもなく。
こんな風に一方的な悪意にさらされることもなければ、危険にさらされることもない。
……ただただ平凡な少女として生まれていたら。
それはどれだけ幸せなことだったのだろうか。
──聖女として生きることを、自ら望んだことなんて、一度もない。
『欲しい』『寄越せ』と群がってくる人間に、いっそ全てをくれてやりたいと思ったことなど、一度や二度のことではない。聖女として権謀術数に巻き込まれるたびに、アナスタシアの心にはそんな暗い澱が溜まっていった。
それでも周囲は、アナスタシアのそんな心を知ろうともしないまま、勝手に叫び続ける。
寄越せ、寄越せと。どうして奪うのか。恵まれているのだから、少しは分け前を恵んでくれてもいいではないかと。
その一方で、いつだって彼らは虎視眈々と、アナスタシアを引きずり落とす契機を狙っているのだ。
──どうして。どうして、いつもこんな……
近付いてくる気配に、心はどんどん死んでいく。顔が下を向いていくのも、背中が小さく丸まっていくのも止められない。
その瞬間だった。
「……っ」
スルリと何かが髪を伝ってくると思った瞬間、アナスタシアがうつむく先にポロリと何かが落ちてきた。
差し込む朝日をアナスタシアの白銀の髪が反射させている。状況にそぐわず光があふれた中に転がり出てきたのは、赤みを帯びた金の台座に紅茶色の石があしらわれたイヤリングだった。
愛しい伴侶の色を映し込んだ、この世にふたつとない大切な装身具。彼女にとって大切な品だったからこそアナスタシアに贈られた、大切な大切なお守り。
「……っ、レティ」
【わたくしの大切なものを、アンナ様は決してないがしろにされませんでしょう?】
そう言って、彼女はアナスタシアの耳にこのイヤリングを飾ってくれた。
【ですから、わたくしの大切な物を身に着けたアンナ様は、アンナ様御自身も大切にしてくださるはずです】
嬉しくて。本当に嬉しくて。寝起きの髪を整えることよりも、この耳飾りを身に付けることの方を優先している自分がいた。
【痛いものは、痛いです。聖女であろうが、王であろうが、同じ人間ですもの。同じように痛みを感じるはずです】
ずっと昔にそう言ってくれた時から、彼女が与えてくれる温もりだけは変わらなくて。
【怪我をすれば、痛いです。当たり前のことではありませんか】
そうやってアナスタシアには優しく語りかけるのに、自分の痛みはひた隠そうとする彼女を、今度は自分が守りたくて。
その気持ちを、ずっと支えにしてきた。その気持ちがあれば、心の澱に呑まれずに済んだ。
伝えられなくてもいい。隣じゃなくてもいい。
ただあの日の温もりを、自分の心にそっと宿し続けることを、許してもらえるならば。
──そう、思っていたはずなのに。
「レティ」
最愛の人の名前を囁いた瞬間、限界を越えた涙が目尻を伝っていた。転がり落ちた雫は、イヤリングの宝石に当たるとパッと弾けて光の中に消えていく。
「痛い、です。……痛いのです、レティ」
情けなかった。こんな泣き言を言うなんて、聖女にあるまじき失態だと分かっている。
だけど訴えずにはいられなかった。
だって彼女ならば、聞いてくれるから。
聖女ではない『アナスタシア』の、そのままの声を。
「助けて、レティ」
ジリジリと距離を詰めていた男達が、ついに足を止めてアナスタシアを取り囲む。
無遠慮な手が伸びて、肩に指がかかったのが分かった。誰かが後ろから髪を掴んで引っ張ったのか、頭皮に鋭い痛みが走ると同時に無理やり顔を上げさせられる。
だけども。
そうやって無理やり顔を上げさせられていたからこそ、正面にある扉が勢いよく開かれ、その向こうから人影が飛び込んできたことに、アナスタシアはいち早く気付くことができた。
「れ、てぃ?」
扉の向こうから光が差し込んでいるから、現れた人物の姿は逆光になっていてはっきりとは分からない。フワリと柔らかく広がったシルエットから、かろうじて女性だと分かる程度だ。
それでもなぜかアナスタシアには、レティシアが来てくれたのだという確信があった。
「離れろ、下郎」
その確信は、低く響いた声を受けてさらに強くなる。
「わたくしの最愛から手を離せ」
──来て、くれた。
状況は絶望的な状態から何も変わっていない。
それでもアナスタシアは、飛び込んできてくれた最愛の伴侶へ、花が咲きほころぶような笑顔を向けた。




